1級車での練習は

2024年12月13日

 排気量が500ccの2級車でデビューするオートレーサーは、一定期間が過ぎると600ccの1級車に乗り換わってレースをすることになるが、その1級車に乗り換わる数ヶ月前から1級車で練習できるようになる。それまで乗っていた2級車との違いについて、2025年1月から1級車に乗り換わる36期の選手からコメントをいただいた。
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 祐定響...「いやぁ難しいですね。跳ねて全然乗れてない感じなので。フレームを点検したり、交換とかもいろいろしてはいるんですけど、跳ねてあまり乗れてないですね。2級車の時はあまり跳ねなかったし、跳ね持ちとかではないんですけどね。エンジンなのか他のところなのかまだ分からないですね。たぶんエンジンだと思うので、そこをやっていこうかなって感じです。練習できる期間も少ないので、どこやればいいか探し中です。まずはちゃんと乗りたいので。(エンジン的には)2級車よりはるかに進むので、車の行き方が全然違いますね。なんでこんな2級車に乗ってるんだろうっていうぐらい。びっくりしました。こんなに違うなら、そりゃあ抜かれるわって感じです。でも、やっぱりコーナーは2級車の方が乗りやすいんで、そこが有利なのかなとは思います。スタートもいろんな切り方を試してます。結構、(思い切り)クラッチを離そうとしたら(車が)浮いちゃうんで、そこの兼ね合いも2級車と違うなと思います。それで(エンジンの)噴かし方もいろいろ変えてみたりしてます。でも、楽しみですね1級車は」
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 帆影岬...「最初はこんなの乗っててズルイなぁって思ったんですけど、なかなか乗りこなせないですね。突っ込んでからも曲がれないし。2級車とは全然違います。1級車じゃ乗れないけど、そんなことも言っていられないので、とにかく練習するしかないですね」
 
 浜野翼...「2級車との違いというか、とにかく時間がなさすぎて。復帰節(2024年11月18日)から1級車の練習を始めたんですけど、1級車の練習期間が合計で3節くらいしかなくて...。ちょっとやばいですね。乗り込むしかないなって感じですね。真っ直ぐスタート切ることと、ちゃんと6周回まともに走れるように。それができるようにしか考えてないですね。2級車は正直、整備だったり、タイヤとか意外となあなあでいいと言うか、そこまで白黒はっきりしてないって感じなんですけど、1級車はトルクがあるので、タイヤの良し悪しがほんとに分かれるのと、整備はそこまで分からないですけど、乗る面では力が強いので、ちゃんと抑え切れてないと乗れないので、難しいところばっかりですね。2級車と同じ感じで乗っちゃうと全然ダメだし、そもそもどういうコースを走るかっていうのからイチからまたやらないといけないので難しいですね」 
 
 やはり、デビューしてから乗っていた2級車とは勝手が違うようだ。しかし、1級車に乗ってから走力が飛躍的にアップする選手はこれまでに多くいた。選手にとっても大きな節目になることは間違いない。
文/高橋

 

10連勝記録について

2024年12月06日

 
 
 12月3日、川口オートの第8レースで佐藤励が1着でゴールし、自身初となる10連勝を達成。オートレースは走路状態の変化に対応しなければならなかったり、優勝戦ともなるとメンバーが濃くなったりするので勝ち星を挙げ続けるのは至難の業。それを24歳の若者が達成したのだから見事としか言いようがない。
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 ちなみに、これまでに10連勝を達成したことがある選手は14人。複数回達成した選手もいるので、回数で表すと計26回となる。
 
 一番最初は元オートレーサーの飯塚将光が1977年3月19日に達成している。この時は12連勝まで記録を伸ばしている。飯塚将光は1982年2月11日にも11連勝を決め通算で2度、10連勝の大記録を持っている。飯塚将光は言わずと知れたオートレース界のスーパースターだった。『ミスターオート』の異名を持ち、一時代を築いた名選手だ。最高峰のレースであるSG日本選手権オートレースで6度の優勝を誇っている。
 ↓2013年7月、元オートレーサー・飯塚将光の引退セレモニーにて
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 その飯塚将光と同期の篠崎実も10連勝を達成している。1978年3月13日に地元川口で決めた。その時から46年経過した現在でも現役バリバリでレースをしているのだから恐れ入る。2023年には、73歳10ヶ月29日で優勝し、公営競技最年長優勝記録も保持している。もちろん今でも血気盛んな走りは健在。最重ハンの10メートル前から競争している。
 
 同じ15期でライバル関係にもあった岩田行雄と元オートレーサーの田代祐一も1回ずつ、10連勝の記録を持っている。岩田行雄は1992年12月14日に11連勝を決め、田代祐一は1988年12月13日に12連勝を決めている。両選手は前を走る選手を交わせる距離に入ったら、必ずインに突っ込んでいくのでファンから熱い声援を受けていた。岩田行雄は67歳になった今でも最重ハンから競争をしており、常に全力投球の走りを披露している。
 
 『絶対王者』・高橋貢はこれまでに10連勝以上を4回達成している。最初に決めたのは2001年1月14日で、この時は14連勝まで数字を伸ばしていた。この14連勝は最多連勝記録としてしばらく破られることはなかった。その記録を上回ったのが中村雅人。2015年8月1日に15連勝の新記録を作った。これまでは重いハンデから追い込む側に有利な冬場に連勝記録が作られることが多かったが、夏場に達成したこの記録は14連勝を越えた以上の衝撃が走った。この15連勝の記録もまた、長い間破られなかったが、2024年4月26日に鈴木圭一郎が16連勝を決め、記録を塗り替えた。鈴木圭一郎はその後、2つ数字を伸ばし、結果的に現在でもトップとなる18連勝の新記録を作った。鈴木圭一郎はその後も13連勝を決めるなどし、10連勝以上を4度経験している。
 
 10連勝記録を最も多くマークしているのは青山周平で6回。最初の記録はデビューからの12連勝。13走目も1着を取り、無敗で初優勝を決めたが、その優勝戦ではフライングを切り、記録は12連勝までとなっている。そのため、デビューからの連勝記録で言えば浅倉樹良の13連勝が最多。これは当分、塗り替えられることはないだろう。他にも10連勝を決めているのは和久田正勝(引退)、木村武之上和田拓海丹村飛竜などがいる。
 

 

ブチ走路は好配当の宝庫!?

2024年11月29日

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オートレースの走路状況には「良走路」「湿走路」「斑(ブチ)走路」と種類があります。
 その中でも特殊なのは「斑(ブチ)走路」です。
 そんなブチ走路は2種類あります。

①良走路から雨が降り出して、表面がうっすら濡れてきた状態
②湿走路から雨が止んで路面が乾いてきて、まだら模様になってきた状態

 ①も②も試走の時とは急速に走路の状況が変わっているため、レースでは試走タイムからの予想とは異なる結果になりやすく、好配当や高額配当が出やすいイメージがあります。

 走路状況は実際にレース場にいれば分かりやすいのですが、テレビ中継のみの場合は判断が難しい。
 走行ラインがうっすらと白く乾いてきていればブチと判断できますが、走路の色が分からない場合は、コース内のアスファルト部分が濡れてテカテカしているかどうか、というのが一つの目安になるかもしれません。

 では、好配当が出やすいブチ走路のレースを車券的にどうやって狙えば良いのか。一つの手としては試走タイムに関係なく「ブチ走路が得意」な選手を狙う、という事が思いつきます。

 以前に、ブチが得意と思われる選手にお話を聞いたところ「多少のブチなら晴れと同じ気持ちでコーナーに突っ込んでいく」との事で、ブチ巧者の選手は滑りを恐れずに突っ込んで行けるメンタルと、滑っても対処できる技術を持っているのでしょう。

 「ブチ走路が得意」と公言している選手が実際にいますし、公言していなくても、ブチになると明らかに成績が良くなる選手もいます。

 ここからはあくまで主観となりますが、比較的ブチを得意としていると思われる選手をピックアップします。

【川口】上和田拓海 泉田修佑 加賀谷建明 佐藤励 篠崎実 長谷川啓 若井友和 
【伊勢崎】岩田行雄 清水卓 高橋貢   
【浜松】岩科鮮太 金子大輔 辰巳裕樹 
【飯塚】佐藤裕児 篠原 睦 田中 茂 東小野正道 松尾隆広 
【山陽】池田康範 緒方浩一 西久保英幸

と、パッと思いついたブチ巧者を挙げましたが、皆さんもこれからブチのレースでブチ巧者を発見したらアップデートしてください。

 また、ブチ走路が不利になるのは2級車。走路はレースでの走行ラインから乾いて行く傾向が強いため、2級車の走るアウトコースがまだ濡れている事が多く、スピードが出しにくくなる。なかには例外もいるかも知れませんが、2級車はかなり厳しい戦いを強いられます。

 走路状況で好配当を獲れるチャンスがありますので、特にブチ走路に変化した時は、注目して狙ってみて下さい。

文/金子

 

10月の出来事

2024年11月22日

 
 
 10月14日、新記録のニュースが飛び込んできた。この日に行われていたG2若獅子杯争奪戦の最終日に鈴木圭一郎が1着でゴール。この勝利で今年の1着回数が98回となり、これまで青山周平が持っていた年間最多勝記録を更新した。この時点での出走回数は123。つまり、123走して1着が98回と、驚異的な1着率を叩き出していた。
 
 その時の鈴木圭のコメントを一部抜粋。「自分が持っている(年間最多勝利数)94勝は144走以上走っていると思うけど、今年は120走ぐらいで98勝しているので早かったと思います。次節はしっかり勝ち上がって100勝できたら嬉しいと思います」。ちなみに、この節の若獅子杯争奪戦では3日目に落車妨害で勝ち上がり権利を失っていた。そして、次節となったSG日本選手権では初日から連勝決め、10月31日にオートレース史上初の年間100勝を達成。その時の鈴木圭のコメントは「100勝は嬉しい。だけど、開催日数も増えているので、そのうち抜かれますよ(笑)」。大記録樹立に素直に喜んでいたが、謙そんする気持ちも忘れていない。確かに、ミッドナイトレースなどの増加により、開催自体が多くなり全体的に以前より1年間の出走回数も増えているが、とはいえ年間100勝を越えるのはなかなか厳しいだろう。ましてや125走で100勝など異次元の勝率だ。これまでの年間最多勝記録は2023年に青山周平が打ち出した97勝。この記録は135走してのものなので、今年の鈴木圭の1着率は際立っている。更に「今年はできるところまで伸ばしていきたい」と語っており、11月以降も1着を量産している。 
 
 10月中の最初の優勝戦は、2日に行われた伊勢崎アフター5ナイターでのレース。ここで優勝したのは白次義孝だった。今年は春先から夏場にかけて苦しんでいたが、9月の中旬から上向いてきた。そして、10月の上旬に約2年ぶりとなる優勝を決めた。スピードが持ち味の白次はこれからの季節でこそ活躍が見込まれる。
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 同じく夏場はイマイチだった木村武之は、5日の山陽ナイターで優勝。その後の17日の川口でも優勝し連続Vを決めた。下旬から始まったSG日本選手権では2日目に反妨したが、その後の4走はオール1着。エンジン的には完全に復調していた。
 
 20日の山陽ミッドナイトで優勝したのは落合巧。その後のSG日本選手権では苦戦を強いられたが、次の伊勢崎では準優勝していた。一時、伸び悩んでいる時期はあったが、ここにきて再成長の兆しが見えている。
 
 16日の伊勢崎アフター5ナイターで優勝したのは佐久間健光。今年はおおむねエンジンが安定しており、その後の伊勢崎ナイターでも準優勝している。以前は課題に挙げられていたスタートも、だいぶ改善されている。同ハンに数車並んでいても枠ナリには出て行けている。
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 26日の山陽オーバーミッドナイトで優勝したのは長田恭徳。長田恭は今年最初の節で落車し、長期離脱を余儀なくされたが9月から戦線復帰。そこから5節目で早くも復帰後初Vで完全復活となった。
 
 ちなみに、10月29日はオートレース発祥の日だった。1950年10月29日に千葉県船橋市にある船橋競馬場のコース内側で初めてオートレースが開催された。それから74年間、多くのオートレースファンを賑わすレジャーになっている。

文/高橋 

 

川口勢のSG優勝は?

2024年11月15日

 
 先のSG日本選手権は川口の若手・黒川京介の優勝で幕を閉じたが、川口勢のSG優勝は2020年に森且行が日本選手権を制して以来となる。久しぶりに川口にSGのタイトルを持ってきた黒川は立派。近5年のSG競争では青山周平と鈴木圭一郎のどちらかが優勝するケースが多く、先述の森の他では荒尾聡(飯塚)、金子大輔(浜松)、篠原睦(飯塚)が1回ずつ優勝している。
 
 黒川はこの後もSG戦線で活躍できることを証明したが、他にも川口の若手の中に将来性を感じさせる選手はいる。まずは佐藤励。2021年にデビューした佐藤励は、ここまで順調な成長を見せている。デビューしてからは3連勝。デビュー後10走中、1着が8本といきなり鮮烈な印象を残した。その後もメキメキと力をつけていき、自身初優勝がなんとG2若獅子杯争奪戦だった。優勝戦は0ハンに2車並んだ外枠に置かれ、スタートこそ内枠の選手に行かれたが、1周目で先頭に立つと後続をブッチ切ってゴール線を駆け抜けた。2級車ながら試走29、上がり417のタイムをマーク。大器っぷりを結果で証明してみせた。G2若獅子杯争奪戦は2024年にも制しているし、G1も2023年に山陽のスピード王を獲っている。これまで通算で14回の優勝があり(2024年11月8日時点)、SGで優勝するだけの舞台は整っている。そのSGでのこれまでの実績はと言うと、初出場となる2023年の全日本選抜の初日にいきなり周回誤認の反則。そのまま参加解除になった。ある意味、大物感を残したが、その後のオールスターでは準決に進めなかったものの後半3日間は3連勝。続くオートレースグランプリでは初日から2着を3連続で取っていた。ここでもSGで十分通用する走力を見せつけた。今年に入ってからもSGのシリーズ中に上位着を取るシーンは多い。
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 佐藤励の1期先輩になる上和田拓海もポテンシャルは高い。デビュー戦から4連勝を決め、前評判の高さを結果で証明。勝ち上がり権利発生後3節目で初優勝を決めてみせた。2021年1月から1級車に乗り換わり、その節で5日間オール1着の完全優勝を達成。2021年のオールスターでSG初出場すると、初日にいきなりSG競走で白星を挙げた。そこから頭角を現しそうな気配はあったが、SGでの優出はまだないし、近況はやや伸び悩んでいる感じがなくもない。ただ、本人の潜在能力は確実にあるので、それを発揮するだけの起爆剤があれば、もうひと皮むけるだろう。
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 もはや若手とは呼べない域に入ってきている加賀谷建明も、SGタイトルを獲得できるだけの可能性を秘めている。2022年に一時休養する期間があり、戦線離脱していたが、復帰してからの活躍は見事だった。復帰戦となる飯塚のG1開設記念レースでいきなり優勝。これが初のG1タイトルとなった。続く浜松のG2オートレースメモリアルでも優勝し、記念レースで連続V。更にその後の地元では一般開催ながら4連勝で完全V。3節連続の優勝を決めていた。戦線復帰後は以前よりパワーアップした印象すらあった。現在では選手間でも雨巧者として高い評価を受けており、SGシリーズ中に雨が降ったり、優勝戦が重走路になるようなら悲願のSG初優勝も十分ある。
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 次に川口にSGタイトルを持ってくるのはどの選手か。
文/高橋

 

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