2級車の特徴

2024年06月14日

 2級車とは
 
 現在、オートレースで使用されるエンジンは大きく分けて2つ。スズキ製のセア(Super Engine of Auto Raceの頭文字でSEAR)で、排気量が500ccの2級車と600ccの1級車。選手が新人としてデビューしてから約1年半は、2級車での競走を強いられる。その後は1級車に乗り換えて、企画レースでもなければ1級車に乗り続けることになる。では、この排気量の違う1級車と2級車ではどのようなことがレースに影響するのだろう。2級車の特性をメインに述べていく。
 2級車.JPG
 性能
 1級車と比べて排気量が少ない分、グリップを開けた時のパワーが違う。具体的にはスタート時や、グリップを1度絞って再び開ける時の車の進み方が良くない。そのため、スタートダッシュが付きにくいし、コーナーの立ち上がりでの加速が非常に良くない。2級車に乗っている選手が、ハンデが後ろの選手にスタートで叩かれるシーンが多いのはこのためでもある。もちろん、スタート切り方やクラッチミートが巧い新人なら後続の選手に叩かれず安定して出ていくことも多い。しかし、エンジンパワーの差は明らかにある。
 
 コース取り
 2級車はスタートを切って周回を重ねる時に、大きなコースを通ることが多い。小さいコースを通るとなると、コーナーの入り口でグリップをある程度絞らなくてはならない。遠心力のことを考えると、スピードが乗ったままではコーナーを回り切れないからだ。そして、コーナーの立ち上がりで再びグリップを開けることになるのだが、その時パワーがない分、トップスピードになるまでに時間がかかる。大きなコース取りをすると、コーナーの入り口でそこまでグリップを絞らなくてもよくなる。そして、立ち上がりでもスピードがそんなに落ちていないので、トップスピードになるまでに時間がかからない。
 
 実情
 結果としてコース取りが大きくなって走る距離が増えたとしても、短い時間で1周を回ることができる。2級車での競走で早くゴールを迎えるとなると、コース取りはほぼこの1択になる。先頭を走っている時は自分の好きなコースを走れるので問題ないが、ハンデを背負ってのレースとなると難しくなる。前を走る選手が大きなコース取りをしていると、なかなか抜けない。その選手より更に外を回らなくてはならないからだ。
 1級車.JPG
 例外
 しかし、最近ではその常識を打ち破る走りをする選手が登場している。36期の栗原佳祐選手や37期の浅倉樹良だ。デビューしてから快進撃を続け、早々とハンデを背負うレースが増えていったが、当初はこれまでの新人と同じように人を抜いていくレースに苦しんでいた。もちろん、スピードの違いで外から交わして好成績を残すレースもある。しかし、稀に内から抜いていくケースも見られるようになった。普通なら内から抜くとなるとコーナーの入り口でグリップを絞ることになるので、コーナーの立ち上がりで車速が乗らなくなるのだが、この両者はあまり車速が落ちず立ち上がっていけている。競走車のコントロール、巧みなグリップワークがなせる業だと思うのだが、やはりレースセンスが高いのだろう。1級車に乗り換わった時、どんな強烈な走りを見せてくれるのか、今から楽しみでならない。
 
 文/高橋

 

レース場の特徴知れば、雨走路も怖くない!

2024年06月07日

走行写真①.jpgのサムネイル画像 まもなく梅雨入りシーズンとなりますが、オートレースは晴走路と雨走路では、ガラリと予想が変わる事が多いのは常識ですね。

 今回は川口、伊勢崎、浜松、飯塚、山陽の5場別にそれぞれの「雨走路」に注目し、その走路の特徴を考えたいと思います。降水量や乾き具合による差違はありますが、それぞれの場に個性があるので予想の参考にしたい所です。

 まずは埼玉県川口市にある「川口オート」の雨走路。2022年11月に走路改修が終了して、新走路となりましたが、1年半を経過してやっと落ち着いてきました。走路改修が終わった当初は、「黒潮がついていない」「走路上の油分が落ち着いていない」などの理由で軽ハン勢の頑張りが目立ちましたが、現在ではまずまず食い付く雨走路に変化してきてた印象です。食い付くコースですが、インかアウトと一概には言えず、「インコースのやや外目」が利く印象です。
雨の鬼・加賀谷優勝.jpg

 次に群馬県伊勢崎市にある「伊勢崎オート」の雨走路。2023年5月に走路改修が終了して、約1年が経ちました。新走路になった当初からきっちり追い込みも決まるイメージで、新走路特有の軽ハン勢が有利という印象はないです。食い付くコースは「中バンク」といわれる中間コースからやや外がいいと聞きます。また、特に伊勢崎は地元の選手が連に絡んでくるイメージがあります。

 続いて静岡県浜松市にある「浜松オート」の雨走路。近年、走路改修は行われておらず、それまでは蓄積したデータが使えるので特徴がかなり見えやすいレース場です。食い付くコースはズバリ「インコース」です。雨走路では軽ハン勢が残りやすい環境になります。そして雨巧者がいないレースでは、雨の実績がない選手でも、ハンデが軽いという理由だけで絡む割合が高くなります。また、グレードレースの短ハンデ戦では、スタートで先行した体系のまま勝負が決まるケースもよくあります。

 次は福岡県飯塚市にある「飯塚オート」の雨走路。ここも近年、走路改修は行われておりません。データ的にもここの食い付くコースはズバリ「アウト」です。選手それぞれに雨走路でも走る得意なコースが違いますが、ここは大外ブン回しと言われるライン取りが有効です。他場では雨走路が苦手な選手も、「飯塚では外が食い付くから乗れる」と言う選手も多いです。近況はインコースも全く利かないわけではなくなってきたようですが、雨走路なのにタイムが速いという一面もあります。

 最後に山口県山陽小野田市にある「山陽オート」の雨走路。2023年12月に走路改修が終了して、新走路となりました。まだ、改修をして約半年という事もあり、若干インコースが有利に感じます。ミッドナイトの雨走路の状況は捲っての追い上げが利きづらい印象で、前残りの選手が穴を提供しているイメージ。地元山陽の選手がミッドナイト出走が多いため、自然と地元選手の活躍が目立つようです。

 全国のオートレース場の雨走路の特徴を頭に入れて、ぜひ車券推理の参考にしてもらいたいです。

文/金子

 

最終日の仕事

2024年05月31日

 オートレース場、最終日の流れ
 
 オートレーサーはレースをするだけではなく、他にもやることがたくさんある。それも最終日となると次の戦いの場へ向けての準備が...。
 
 まず当日のレースが終わるまでは基本的に最終日前日までとそう変わらない。その日のレースに向けてタイヤを準備したり、選手によってではあるが、試走路と呼ばれるエンジン音を確認するために簡単な走行ができるエリアとロッカーを行ったり来たりして調整を繰り返したりする。もちろんレースが始まるちょっと前には競走車を検車場に出し、フレームなどに不具合がないか検査員に点検をしてもらう。やがて出番がやってきて、試走が終わるとピットで待機し神経を集中する。
  
 そしてレースが終わると、自分で競走車を自分のロッカーまで押していく。ちなみに、新型コロナウィルスが蔓延する前は、レースが終わった選手の競走車やヘルメット、手袋などをその選手の仲間(ロッカー所在地が同じ選手や同期、整備仲間など)が受け取って、その選手のロッカーまで運んだりしていた。いわゆる、レース後のお出迎えは現在、新型コロナウィルス感染予防のため、行われなくなっている。
 手押し.JPG
 レースを終えた選手は自分のロッカーで整備道具、レース中に着ているつなぎ、タイヤなどの荷造りを始める。ひと通り終わると、運送会社のスタッフが競走車、整備道具などが入った梱包、運びやすくまとめたタイヤなどを引き取りにくる。それらの物は、その選手ごとに次に出場するレース場の札を付けられ、大きなトラックに運び込まれていく。
 運搬先の札.JPG
 消音マフラーを装着して行われる開催の場合はこなす業務が一つ増える、消音マフラーはレース場ごとの持ち物なので、最終日のレースが終わると競走車から取り外し、所定の場所に返却しなければならない。消音マフラーを所定の場所まで運ぶ作業は、主に新人選手や若手が行う場合が多い。消音マフラーはそんなに軽くないので、これがそこそこの重労働。
 消音 片付け.JPG
 そうして全ての作業が終わった選手は参加解除となり、レース場を後にする。ただ、例えば第3レースで競走を終えた選手であっても、仲間の選手が後半のレースで走るような場合は、その仲間の選手がレースを終えるまでは待っているケースもある。特に仲間が優勝戦に乗っている場合はその傾向が強い。いつも整備などを手伝ってくれる仲間がもしも優勝したら、一番に祝福の言葉をかけたいというものだろう。
 
 開催を終えた選手は、しばし休息に入る。次の戦いに向けて万全の状態で臨めるために。しかし、最近ではリレー開催が増えている。例えば、5月19日から飯塚でナイターの3日間開催があったが、その最終日の21日がそのまま飯塚ミッドナイトレースの前検にもなる。この場合、連続で参戦となる選手は飯塚オートレースに居残りで、休息もなくすぐに次の戦いが始まる。選手の方々はオートレースファンへ興奮をもたらすために、まさに身を粉にして働いている。

 文/高橋

 

車名の由来 3

2024年05月24日

 車名を決めるにあたっての理由を聞いてきました。
 
 谷島俊行...ウンテブレカー。「(ウンテブレカーってどういう意味なんですか?)遮断機です。ええと、ウンテブレカーは、何語だっけなあ。ちょっと待って。ウンテブレカーはドイツ語で、ブリザール『以前に乗っていた車名』はフランス語です。(抜かせないぞ、とそういう思いで?)そうそうそう、自分が走ってるときに左足が出ていることを、みんながいじってくるから、その逆返しで、遮断機で、行かせないよっていう、止まってくださいっていう、そういう返しで。まだ使ってないけど、ほかの言語で遮断機も登録してあります」『走法的に左足をピンと突っ張ってコーナーを回る選手は何人かいるが、それが元で車名の由来になるケースもあるようだ』
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 木村悦教...クリームソーダ。「これね、俺らが中学ぐらいの時にすごく流行ったのよ。あのね、原宿のお店の名前で。小物とか洋服とか、ようは中学生が好きそうな。で、ちょっとおしゃれみたいな。(飲み物のクリームソーダではないんですね?)あのクリームソーダも好きだけどね。(けっこうお店には行ったんですか?)そうね、格好いいのが売ってるのよ。一応、1950年代のロックンロールみたいなアレで、店内にウッドベースが響いてるのよ。お店の近くに行くと、そのウッドベースが聞こえるだけでいい、みたいな。俺らの時はめっちゃくちゃ流行っていたよ」『昔を懐かしんで、思い出の店を車名にしている選手もいる』
 
 高橋絵莉子...フウコ。「由来は、伊勢崎は風が強いんですけど、自分がけっこう風が得意なのもあって。『風の子』でフウコと。(伊勢崎ホームで風に強いのはいいですね?)そうですね。他場の選手は苦戦する所なので。1、2コーナーからだいたい吹くんですけど、そっちの風は基本的に強いですね。たまに逆もあるんですけど。割りと周りにも得意だねって言われるので。あと、一番はアニメのキャラクターなんですけど、そこからも来てます。(どんなアニメですか?)クラナドってアニメの、好きなキャラクターで。(じゃあ、ダブルの意味があるんですね?)そうですね」『車名の由来にもなっている風。強い時ほど車券的に狙い目となるか』
 
 山本将之...サンフラワー。「特にはないですね。黄色い花を選んだだけなので。(黄色い花が好きなんですか?)そういうわけではないです。ただ、黄色から連想していって、花にしてみようと思ったんです。(好きな色は黄色なんですか?)黄色ですね、はい。(それは?)金運アップじゃないですけど、なんかそういうの聞かないですか。それで、黄色を選んでいるんです」『好きな色から、それに関係するものを選んだようだ』
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 中山光...ヒカルンデス5。「これは養成所で同期が考えてくれて、それで付けました。(このシリーズはずっと続けていくんですか?)そうなんですけど、9までしか入らないんですよ。文字数的に。(あと4回までは大丈夫ですね。6、7、8、9と)はははっ。(しかし、デビューしてから10年ぐらい経ちますけど)他の選手でいるのかな、10年も同じような車名なんて」『同期の仲間が決めてくれた車名を大切にしている』
 
文/高橋


 

体重管理

2024年05月17日

 体重管理の話
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 角南一如...「マックスは養成所で、体重増えてましたけどね。食べるのも飲むのも好きなので、食べる分、動くようにしています。レース場では朝と夕方に運動するようにしています。朝に運動するのはどちらかと言うと腰のためなんですけど、まあ、なるべく運動するようにしてるってのは、やっぱ、食べる分、食事制限で(体重を)落とすっていうよりは、動いてどうにかしてって感じです。ただ、歳とともに代謝が落ちてくるんですよね。やっぱり若い時より1キロ、2キロくらい増えています。でも逆に、落としすぎてフラフラするよりは、何かいい気はするんですよね。『以前、夕方練習の後とかに歩いているのを見かけましたが、今もやっているんですか?』今もなるべくやってます。朝に4周、夕方に6周とか、10周を目安にしてます。まあ家でも、どれくらいですかね、やっぱ、30分くらい、ランニングとウォーキングを合わせて1時間くらいするようにはしてますね。朝、決まったコースがあるので、河川敷を走ったりして、だいたい決まった所を走ってますね。それで、だいたい今日は体調いいなとか悪いなとか分かりますね。それもまあ、絶対しないといけないとなると、今度はできない時にストレスになるので、できるだけするようにって感じで。でも、しない日が続くと気持ち悪くなります。『素晴らしいですね』いやいや、そんなことないですよ。上には上がいます。そういうストイックさっていったら山陽では飛竜(山陽29期・丹村飛竜選手)ですね。『飛竜さんも昔から体形変わらず細いままですもんね』う~ん、どっちかって言ったら、昔よりも更に細いかも。『ミスターストイックですか』ですね。なかなかマネできないです。(自分とは)比べ物にならないくらい」
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 丹村飛竜...「食事、運動、まあいろいろできる限りやってます。『食べる量も多くしないでって感じですか?』いや、食べる量っていうより食べる質ですかね。『運動もけっこうされているんですか?』そうですね。夕方走ったり、空腹時の有酸素運動をやるようにしています。『それって何か勉強されてやっているんですか?』そうですね。空腹時が一番、脂肪燃焼しやすいので。『食べるものの質っていうのはどんな感じなんですか?』食べるものもそうですし、PFCバランスを守ったりとか、GI値の低いものを食べたり。まあタンパク質、脂質とかのバランスと、GI値ってのは血糖値が上がりにくいものを選んで食べたりとか。それだけじゃ体に栄養がいかないので、サプリメントを摂取したりとか。『ラーメンとかは食べないんですか?』食べません。そういうジャンクなものを食べるとしたらもう、チートデイじゃないですけど、何週間に1回とか、そうやって決めて食べますね。体に揺さぶりをかけるじゃないですけど、ちょっと停滞してる時とかは、揺さぶりかけて1回バンッと上げとこうかなと。『そういうやり方もあるんですね』まあ、人それぞれやり方はあると思うんですけど、自分に合ったやり方がいいんじゃないですかね。こればっかりは。元々、太りやすいので。『いろいろされてすごいですね』いやいや、全然。まだまだだと思います。まあ、この仕事につながると思ってやってるだけで。きついですけどね。何よりもお金がかかります。サプリメントとかもかかるし、食品にも気を使うのでお金かかるし、まあ家族には迷惑をかけますね。『その分は仕事で取り返してって感じですか?』まあ、そうですけどね。取り返せればいいですけど。『なんとなく角南さんが言っていたことが少し分かってきました。ストイックだと言っていたので』ほんとですか。知識だけはあるので。昔みたいに(減量を)がむしゃらにやってて、体調を崩すっていうことがないので今は。昔はがむしゃらに食事制限とかして、まあ、体重が落ちてるだけで、寒いし風邪も引きやすいし、抵抗力も落ちてたし、風邪はよく引きましたね。今は体調もいいし、いいんじゃないですかね」
 
 文/高橋


 

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