得点制における勝負駆け

2025年01月31日

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 グレードレースの3、4日目の準々決勝戦で良く聞かれる「勝負駆け」を狙って好配当をゲットしよう!

 今回は得点制における勝負駆けについて考察してみます


■「勝負駆け」が発生しやすいレースとは


 現在、グレードレースにおける準決勝戦への勝ち上がり方式は、主に3パターンあります。

(1)準決勝戦の前日の各予選レース(準々決勝戦など)の1着と1着を除く上位数名が、準決へ勝ち上がり

(2)準決勝戦の前日までの予選の平均競走得点上位32名が、準決へ勝ち上がり

(3)準決勝戦の前日の予選(準々決勝戦など)の1着と1着を除く、3日間の平均得点上位者が準決へ勝ち上がり

 「勝負駆け」が顕著に見られるのは(2)と(3)のパターン。5日間開催の3日目、6日間開催の4日目が準々決勝戦となり、ここが「勝負駆け」の日になります。


■「勝負駆け」の選手を知るには


 「勝負駆け」の選手を知るには、まず選手の得点状況を見なければなりません。
 オートレース公式のHPに「得点表をアップしました」と表示されているのを見る方法や、専門紙に掲載されている点数で知る方法があります。

 着順点とタイム点を足したものが1日分の得点で、予選が3日間なら(準々決勝戦を含む)、3日分の合計点を3で割った平均点が、採点用の点数となります。


■選手の心理面から「勝負駆け」を察知する


 選手の心理面から、得点制における「勝負駆け」を考察します。

 まず、準決への進出条件に「1着は準決進出」が含まれているかどうか、が大事です。

 準決は32名が進出なので、「1着は準決進出」の条件がある場合は、準々決勝戦5R~12Rの1着8名と、1着を除く平均得点上位24名が準決進出となります。

 「1着は準決進出」の条件があれば、予選の得点に関係なく、準々決勝戦に出場する選手全員に準決への「勝負駆け」をチャレンジする権利があります。

 「1着は準決進出」の項目がなく「予選中の平均得点上位32名が準決進出」だと、準々決勝戦で1着を取ってもボーダーラインに点数が足りない、という状況がありえるため、下位の得点選手の「勝負駆けを狙ってやろう」という心理は少なくなるでしょう。

■いつも以上に気合が入るシチュエーション

 また、「最重ハンの選手」と「軽ハンの選手」(最重ハンの10~20m前)でも、考え方が違います。

 例えば、最重ハンの20m前の選手の心理を考えると、
「グレードレースの準決に乗る事が第一の目標で、優出、優勝などは正直厳しい。それならば「勝負駆けとなる準々決勝戦」に一番いいタイヤを使えるようにマネージメントする。そして、レースはスタートから勝負を懸けて1着を狙いに行く」という作戦を立てる事は十分考えられます。

 それに対して連勝などで得点的に準決進出が当確している最重ハンの選手は、
「優出、優勝を狙うために準々決勝戦は、より良いセットを試したい。タイヤももっといい物がないか試したい」「ただ、Fや反則で勝ち上がりの権利を失っても元も子もない」という心理は少なからず働くと思います。

 得点不足の軽ハン選手が目イチの仕上げととっておきタイヤで挑むのに対し、得点に余裕があり、目標は優出、優勝の最重ハン選手との、思惑やモチベーションの差が「勝負駆け」が決まりやすい下地を生みます。


■「勝負駆け」は決まったり、決まらなかったり


 実際の準々決勝戦では、得点的に「勝負駆け」となる選手が、たとえ万全の準備をしても、銘柄級の実力車に力負けてしまう事は多々あり、必ずしも「勝負駆け」が決まるとは限りません。

 ただ、鮮やかに「勝負駆け」が決まって好配当を的中させた時の快感は、予想の醍醐味と言っても過言ではないでしょう。

 「1着勝負駆け」の選手をアタマから狙って、2、3着を手広く流す、というのも、好配当をゲットする作戦の一つかもしれません。


文/金子


 
 
 

 

2024年のオートレース その1

2025年01月24日

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 今回から数度に分けて2024年のオートレースを振り返ってみたい。


 まずは1月。前年2023年をSS王座決定戦5度目のVで締めくくり、年明け9日には通算5度目となる2023年の賞金王に輝いたことの発表された青山周平が、翌1月10日に伊勢崎G1シルクカップ優勝戦に勝利。そして1月24日には鈴木圭一郎が浜松G1スピード王決定戦を優勝。両者とも、その年の最初に地元で開催されるグレードレースを制したことになり、地元エースの面目躍如。2024年もこの両雄を中心にオートレースが回っていく予感を抱かせた。


 一歩あと戻りして1月9日。前年4月から訓練を積んできた第37期選手候補生12名がこの日に養成所を卒業。その中で養成訓練の最優秀賞を受賞した浅倉樹良(伊勢崎)、優秀賞を受賞した森下輝(浜松)と福岡鷹(飯塚)の3名が、それぞれ直後に迎えたデビュー戦以降、怪物ぶりを発揮することになった。
 浅倉樹良は2月15日、青山周平が持っていたデビュー最速優勝記録(デビュー35日)を塗り替える、デビュー22日目での初優勝。同時にデビューから無敗の10連勝も達成。2月28日にはこの記録を13連勝まで延ばして、デビュー無敗のまま2節連続優勝の快挙を成し遂げた。ちなみに勝ち上がり権利を得た最初の節に優勝したケースは、24期以降では史上5人目となる。
 森下輝は、勝ち上がり権利を得たデビュー3節目の初日を2着に敗れて、デビューからの連勝が6で止まるとともにその節の準決勝戦進出を逸したが、3月上旬のデビュー4節目は3日間を全勝して初優勝した。福岡鷹も勝ち上がり権利を得たデビュー3節目の準決勝戦が雨に苦しみ大敗したが、翌日の最終日から次節の3日間まで4連勝して初優勝。
 前年2023年にデビューした36期生からも栗原佳祐をはじめとする逸材が出現しており、オートレースの明るい未来を期待、確信させてくれた。


 2月のはじめに、高橋貢がまた記録を樹立した。小林啓二(引退)が持っていた従来の通算最多勝利数を超える1637勝を決めたのだ。通算V回数218とともに前人未到の領域を独走し続ける現役レジェンド、それが高橋貢という不滅の大スターである。


 中旬には山陽でG2若獅子杯争奪戦の決勝戦がおこなわれて、黒川京介が鈴木圭一郎と青山周平に完勝。下旬には川口SG全日本選抜にも優出し、一層の地力アップを印象づけた。その全日本選抜を制したのは金子大輔。自身9年ぶりとなる、3度目のSG制覇を果たした。この開催では35期の新鋭である佐藤励が1級車では2度目となるSG挑戦で6戦2勝を挙げており、のちに振り返ると、青山周と鈴木圭の2強で推移していた近年の状況に変化をもたらすターニングポイントがこの2月に潜んでいた。


 だがしかし、3月の川口G1開設記念グランプリレースは青山周、特別G1プレミアムカップは鈴木圭が優勝。そして4月には青山周がデビュー最速100Vを達成すると、鈴木圭はG1令和グランドチャンピオンカップも制して、プレミアムカップからの山陽G1連続Vを決めると、続くSGオールスター3日目の勝利で通算16連勝。オートレース新記録を打ち立てた。オールスター決勝戦は4着に敗れて連勝は18でストップしたが、この年の鈴木圭はその後も勝って勝って勝ちまくることになる。
 勝てば史上最多となった、鈴木圭のオールスター4連覇を阻止したのは、青山周。2016年以来2度目の大会制覇で、今後2度目のSG全日本選抜Vが成れば、ダブル・SGグランドスラムも達成することになる。


~中編に続く~

 

第38期生卒業式

2025年01月17日

 
 
 2025年1月10日、茨城県にあるオートレース選手養成所で第38期生の卒業式が行われました。式では公益財団法人JKA会長の挨拶や、オートレース選手養成所第38期生代表の答辞などが実施されました。そして、昨年の4月から約9ヶ月にわたる養成訓練を終え、各レース場の所属地へと羽ばたきます。
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 最優秀賞受賞選手は川口所属となる上原大輝選手で「最優秀賞に選んでいただき大変光栄に思います。養成所での走行訓練の日々は自分にとって忘れることのできない充実した時間でした。養成所での経験を生かして、一走一走全身全霊をかけて頑張ります」と高らかに宣誓。
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 式が終わると、中庭で恒例の集合写真の撮影。
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 最優秀賞の上原選手にデビュー戦に向けての意気込みをうかがいました。「まだ実感が湧かないけど、ここで経験したことを生かし、デビュー戦で1着を取れるように頑張りたいです」。オートレーサーを目指したきっかけは「ロードレースをやっていたのですが、その監督だったり先輩選手がいたのでオートレースを知っていて、2輪で生計を立てていきたいと思っていました。上和田さん(川口34期・上和田拓海選手)や小椋華恋さん(川口35期・小椋華恋選手)とは小さい時から一緒に走っていました。養成所では苦しい時も楽しい時もあったけど、苦しい時は同期と一緒に乗り越えたりしました。いずれは感動や勇気を与えられるような、オートレースは素晴らしいと思ってもらえるような選手になりたいです」。待望のデビュー戦は1月18日の予定。走行検定タイムは3・42秒。落ち着いて走ることができれば、ハンデ差を生かしてデビュー戦で白星を挙げられそう。そこでどんな走りを見せてくれるのか楽しみでならない。
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 左・佐々木選手、真ん中・上原選手、右・植村選手
 
 優秀賞を受賞したのは2人。伊勢崎所属の佐々木光輝選手と山陽所属の植村愛悠斗選手。佐々木選手はデビュー戦に向け「少し緊張してるけど、とにかくミスしないように無事に完走したい。ゆくゆくはファンの方々に刺激を与えられるような選手になりたいです」。言葉自体は強気ではないが、内に秘めた静かな闘志は感じられた。走行検定タイムは3・43秒で、最優秀賞の上原選手ともそん色ない数字。鮮烈なデビュー戦が待っているかもしれない。
 
 植村選手は「自信は満々だけどコース取りが小さいので...。でもデビュー戦はイケると思います。勝っていくとハンデがどんどん重くなってくると思うけど、2級車でも前を抜けるようになりたいです。最優秀賞を逃したのは悔しいです。選手になろうと思ったのは、地元の山陽オートからエンジン音が聞こえてくる環境で、親に連れていってもらってオートレースを見ているうちに好きになりました。見ている時は早川さん(伊勢崎29期・早川清太郎選手)が好きでしたね。乗っている姿が格好いいので」。気持ちを前面に押し出すタイプのようで、オートレース界のような厳しい環境でも力強く成長していく予感をひしひしと感じさせた。
 
 文/高橋

 

車名の由来 5

2025年01月10日

 
 車名の由来
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 永島潤太郎...ユニコーン。「ガンダムユニコーンっていうアニメとパチンコがあって、それが好きで、響きもいいし格好いいなって思って付けました。ただ、それだけです。特別に何も意味はないし、響きがいいし格好いいし。まあ好きなんで。一角獣っていう幻想上の生き物で格好いいなって思って」
 
 浜野翼...シュワッチャン。「全然、意味はないです。普通にパッと思い浮かんだだけで、ほんとうに意味はないんです。後々、考えたらウルトラマンの『シュワッチ』みたいな感じですけど、ほんとうに意味はないです。何か思いを込めたわけでもないんです」
 
 西村昭紀...アンヘル。「ゲームのキャラクターです。赤き龍、ドラゴンの名前がアンヘルなんです。主人公なんですよ。angel(エンジェル)って書いて、アンヘルって読むんですよ。ドラッグオンドラグーンっていうゲームです。最後、あまりハッピーエンドがないようなゲームなので、あんまりおススメするゲームじゃないですけど。興味があったらやってみてください。おもしろいですよ」
 
 山際真介...タープ。「なにかいい車名がないかって義弘(川口29期・高橋義弘選手)と話した時に、何でもいいですよってなって、何でもいいってなったからどうしようってなって。その時、ちょっとキャンプ道具を集めていたから、その一つのタープでいいやねってなって。ちょっとずつ道具を揃えてる時だったので、テントでも焚き火でも何でもよかったんです。でも、一応そういう由来です。思い入れは、強くはないっちゃないですね。前はサッカー関連の名前を付けてやってたんですけど、それに比べたらやっぱり思い入れは弱めですね」
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 山田真弘...レイジールーク。「ポッポSLの運転手のおじさんの名前です。自分の車名のシリーズです。格好いい車名がないかなって考えても浮かんでこないんですよね。ただ、これは響きがいいって言われるんですけど、ただの運転手のおじさんの名前です」
 
 西原智昭...クロデュメニル。「高級シャンパンの名前らしいです。50万くらいするらしいし、飲まないんですけどね。知り合いが付けてくれたんですよ」
  
 間中大輔...マミーD。「マミーDは、ライムスターっていうヒップホップグループのMCで、2人いる内の1人なんですよ。マミーDが凄く好きで。ライムスターが好きなんですよ。でも、ライムスターって車名は永井さん(川口25期・永井大介選手)が付けてたから、それは付けられなくてマミーDにしたんです。日本でもトップクラスに格好いいと思います。ずっとヒップホップ系で車名を付けていて、前回『ドープネス』って付けたのも、鎮座DOPENESSって人がいて、それからで、『バダサイ』って付けたのも『舐達麻』っていうラップのグループがあって、それのMCなんです。2級の時はアメリカのヒップホップグループの名前を付けたりしてたんですけど、『ファーサイド』とか。ヒップホップはメッチャ好きですよ。たぶん、ヒップホップとかブラックミュージックとかだったら、選手で一番詳しいんじゃないですかね。ホントにそれぐらいだと思います。アメリカの黒人の歴史から語れますよ(笑)。でも、今は日本のラッパーの方が好きですけどね」
 
 文/高橋


 

SSトライアルの流れ

2025年01月03日

 2024年SSトライアルについて、前検日から王座決定戦の枠が決まるまでの流れを説明したい
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 前検日となる12月26日に川口オートレース場内の会議室において枠番選択が行われた。これはSSトライアルへの選考順位の高い選手から順に枠番を選んでいくというもの。大事な初戦の枠が決まるとあって、会議室内はひりひりとした緊張感に包まれる。実際には順番に選手が呼び上げられ、テーブルに置かれた各枠番の色の勝負服を手に取る。今年は11Rも12Rも結果的に選択順番通りに1枠から埋まっていった。各選手が枠番を選び終わると、施行者やJKAから注意事項の連絡が行われる。これは朝練のスタートに関することや、トライアルで1着を取った選手のその後のメディア対応の流れなどの伝達となる。
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 一通り説明が終わると、初日のトライアルの枠番に対応した勝負服を着用した選手が揃っての記念撮影が行われる。毎年恒例で、選手宿舎の中庭とも言うべき外からの陽光が差し込んでくるエリアに集合する。翌日の戦いを前に、各選手はいよいよテンションが上がってくる。
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 そして、初日を迎えトライアル戦が終了すると、2日目の枠番を決める抽選会が行われる。初日のレースは枠番『選択』で枠が決められたが、2日目から4日目までは枠番『抽選』となる。よく商店街などである福引きで使用されるようなガラガラと回る道具に白、黒、赤、青、黄色、緑、オレンジ、ピンクの小さい玉が入れられ、トライアル戦で着順が良かった順番に選手が取っ手を持ち、本体を回していく。出た玉の色がそのまま翌日の枠番になる。何色の玉が出てくるかは完全に運の要素になるので、飛び出した玉の色に選手たちは一喜一憂することになる。これが、2日目、3日目とトライアル戦の終了後に繰り返し行われる。
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 そうして4日間のトライアルを戦い終えると、競走結果に応じたポイント上位の選手がSS王座決定戦の枠番を選んでいく。ここではトライアル中の頑張りが反映されるように枠番『選択』となる。4日目のレース前の時点ですでに王座決定戦乗りが確定している選手はいるが、枠番選択順が早くなるように少しでもポイントを重ねようとするのはこのためだ。この枠番選択は、川口オートレース場のステージでファンも見ることができる公開で行われる。ここでも選択順1番の青山周平選手が1枠を選ぶと、その後も2、3と順番に埋まりそうだったが、7番目に選択順だった佐藤貴也選手が7枠ではなく8枠を選択した。7枠よりはスタートで明らかに不利な8枠を選んだことにより会場は大いに賑わった。それも、ただ単に会場を盛り上げただけでなく、実際に3着まで追い上げていたのでレースでもしっかりと見せ場を作っていたのは流石の一言。
文/高橋

 

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