2023年オートレース選手表彰式
2024年03月01日
2月27日、2023年オートレース選手表彰式が東京都内のホテルで行われた。
最優秀選手賞(MVP)には青山周平(伊勢崎31期)が選ばれた。青山はSGオートレースグランプリ、SG日本選手権オートレース、SGスーパースター王座決定戦で優勝し、更に賞金王、年間最多勝利となる97勝を挙げるなど文句のない成績を収めた。これで最優秀選手賞は2年ぶり4度目の獲得となった。
青山周平「昨年は想像を超える成績を収められました。まあ、勝利数は、出走回数も増えていますし」と謙そんしていたが、年間勝利数は過去最多。大みそ日のスーパースター王座決定戦を制した後は「(家に帰ってから)奥さんのヒレカツを食べました。(開催中は)食事を制限しているし、苦しい苦しい開催が終わって、家に帰った時のご飯はもの凄くおいしかったです」と昨年最後の食事は最高のごちそうになった。若手の活躍については「スピードある、若さ溢れる走りが目立っているので本当に刺激になります」といい方に作用している様子。今年については「いつも通り、目の前の1走1走を全力で挑めるように頑張りたいと思います」と締めた。
優秀選手賞は鈴木圭一郎(浜松32期)、黒川京介(川口33期)、佐藤摩弥(川口31期)の3名が受賞した。4度目の受賞となる鈴木圭一郎はSG全日本選抜オートレース、SGオールスターオートレース、G1ゴールデンレース、G1開設記念レースなどで優勝。十分な成績を残したが「とても嬉しいんですけど、悔しいって方が大きいです。やっぱり、もう一つ上のMVPっていうのが存在するので、それを取れなかったのはとても悔しいです」と、優秀選手賞受賞にも複雑な心境を吐露した。やはり、トップレベルの選手は目指すところが違う。今年の目標は「昨年はケガをしてしまったので、ケガなくあっ旋されたレースは全て走り切りたいなと思っています。そして、今年はMVPを取れるように精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いいたします」と決意を表明した。
黒川京介は初受賞。SGスーパースター王座決定戦で3着、SGオートレースグランプリでは準優勝、G2を2つ優勝するなどの活躍が評価された。「新人賞以来、初めて来れたので、頑張ってやってこれて良かったなと思っています。苦しい時期もありましたし、いい時期も長く続いたってのもあって、嬉しい気持ちも悔しい気持ちも、いろんなことが経験できた1年だったと思います」と1年を振り返り「いい状態が続いているので、来年も優秀選手賞に呼ばれるように、また、もう一個上を目指して1年間頑張ります」と力強く述べた。
佐藤摩弥は「特別賞は何度かいただいていたんですけど、優秀選手賞は今回が初めてなのですごく嬉しいです」と女子レーサー史上初のG1優勝や、SGオールスターオートレース準優勝などが評価された。SG優勝へ向けての話題になると「(G1)キューポラ取る前も、ファンの方にはSG取れるよって言ってもらったりしてたんですけど、優勝戦に乗れても優勝争いするところまではいけなくて、その前にG1と思っていたので、その段階は踏めたかなと思うんですけど。じゃあ次はSGってなると、まだまだ実力が足りないと思っているので、早くSG取りたいって言えるようになりたいですね」と謙虚さの中にもほのかに燃える闘志を感じさせてくれた。
最優秀新人選手賞には栗原佳祐(浜松36期)、優秀新人選手賞には吉林直都(浜松36期)が選出された。
栗原佳祐は36期生の中で最初に優勝。更には完全優勝を成し遂げた。「この素晴らしい会場で、このような式典に呼んでいただき、大変光栄に思っています。1年間、波は激しかったけど、いい経験ができたと思います。これからも1走1走、全力で走るので応援よろしくお願いいたします」。
吉林直都は優勝3回で、36期の中では最多優勝回数。「そんなに大きなミスをしないタイプではあるので、まずは試走から、きょうの吉林はどうかなと見ていただければと思います」とアピールポイントを語っていた。
通算勝利記録選手賞は1着1500回で篠崎実(川口9期)と鈴木辰己(浜松13期)、1000回で上村敏明(浜松7期)が受賞した。篠崎実は公営競技界最年長優勝(73歳10ヶ月29日)も達成した。3者ともすでに70歳を越えるレジェンドレーサー。元気一杯の走りは同年代のファンにも希望を与えるはず。
文/高橋
年別獲得賞金1位選手から考察
2024年02月22日
平成の終わりから令和にかけて賞金王争ってるのは鈴木圭一郎と青山周平の2名のみ。令和の年号は6年目に突入。令和4年の賞金1位は鈴木圭一郎だったが、昨年は青山周平がトップの座を奪い返した。これで令和に入って4度目の賞金王と勢いは止まらない。
賞金王を獲るのは並大抵のことではない。SG優勝は無論のこと、開催・天候・ハンデに関係なく常に後半(準決・優勝戦)のレースに進まなければならず、さらに濡れ走路も克服しないと上位には行けないということだ。
昭和~平成にかけては『ミスターオート・飯塚将光』、『船橋四天王・島田信廣』の名前が多々挙がる。かつての船橋オートを常に牽引してきた選手。平成元年は飯塚将光の賞金王で幕を開けた。意外なのは『セアの申し子・片平巧』が平成6年と7年の2度しか賞金王獲ってない事実。その片平巧と同じ誕生日(6月14日)の『絶対王者・高橋貢』は平成9年に賞金王となってから7度の栄冠をものにし、オート史上最高獲得賞金額1億4812万4255円(平成16年)を樹立。これはいまだに破られてない。
川口オートでは広瀬登喜夫(森且行の師匠)が昭和44年に賞金王となり、阿部光雄や且元滋紀らが続く。驚くべきは昭和51年に1度だけ賞金王になっている『弾丸ミッキー・篠崎実』が現在も記念レースで活躍しており、まことに頭が下がる。御年75歳なのに...。他には平成15年に久門徹、18年に田中茂、19年に山田真弘、22年に有吉辰也がそれぞれ1度。ちなみに記録が残ってる初代の賞金王は昭和41年の稲垣国光。
青山周平・鈴木圭一郎の2強へ割って入る選手が早く出てきて欲しい。それが、オートレースの未来を明るくすることは間違いない。
(文/中村)
1月を振り返って
2024年02月16日
1月の出来事
今年の優勝戦第一弾を制したのは吉原恭佑。約4年半ぶりで久しぶりの優勝となったが、実力的には1年に何度優勝してもおかしくないモノを持っている。スタートは枠ナリにしっかり出て行けるし、エンジンが仕上がれば攻めの方も鋭さを増す。スピードも十分あるので縦長の展開になっても追って行ける。どちらかと言うとゴチャ付く展開の方が得意。混戦になればなるほど吉原は存在感を示すことができる。
9日の飯塚ミッドナイトと15日の飯塚ナイターで連続優勝したのは別府敬剛。その後の開催でも優出していたし、月末の開催では準決でフライングしたものの全3走してオール1着。1月に最も活躍した一人に挙げられる。ハンデは最重ハンだが、全国ランクがA級55位なので内枠に置かれることが多い。スタートで枠ナリ発進をキープできればレース展開もそこまで苦しくない。
昨年末は苦しんだ印象のある佐藤摩弥だが、新年になってからは2節目でいきなり優勝。その後の浜松GⅠでも優出し3着に食い込んでみせた。悪い流れは完全に軌道修正できている。金子大輔も1月は活躍が目立った。お正月開催の川口で完全優勝を達成すると、その後も好走を連発。1月は全15走して1着10回、4着以下は1回と抜群の安定感を誇っていた。本人が課題に挙げていたスタートも良化の兆しが出ており、それが好成績につながっている様子。
1月には記念レースが2度行われたが、伊勢崎のGⅠシルクカップは青山周平が制し、浜松のGⅠスピード王は鈴木圭一郎が制した。どちらも地元の選手がきっちりと結果を出した。今のオート界のツートップは今年も上々の滑り出し。この2人が中心になってオート界が回っていく。
また、各地で新人・37期のデビューが相次いだ。この37期生は粒ぞろいとの前評判があったが、それに違わぬ快走が何度も見られた。特に注目なのは伊勢崎の浅倉樹良と飯塚の福岡鷹、それに浜松の森下輝だ。養成所で最優秀賞を受賞した浅倉は、デビュー戦で3秒445のタイムを出し快勝。それを含め4連勝でデビュー節を走り抜けた。その節での最高時計は3日目に出した上がり3秒426。大物感を存分に示してみせた。
その浅倉を上回るタイムを出したのが福岡。デビュー節は全3走してオール1着だったが、最終日には上がり3秒397の強烈なタイムを叩き出した。この時はナイター開催で走路温度が低かったため、タイムが出やすい状況ではあったが、それでもデビュー節でこの数字はなかなか出せない。森下はデビュー節で3走して、やはりオール1着。最終日に出した上がり3秒435が最高タイム。この3者が37期を引っ張っていく存在になるか。
14日に山陽ミッドナイトで泉田修佑、18日に飯塚ミッドナイトで吉松優輝、19日に山陽ナイターで角翔太郎が優勝しており、33期生もまだまだ成長盛り。37期や36期の後輩たちからの突き上げに負けじと頑張っている。
文/高橋
フレッシュ37期生 注目選手その3
2024年02月09日
卒業生の話、第3弾は飯塚所属で、養成所・優秀賞を獲得した福岡鷹(ふくおかたか)選手と、SG4勝で一世を風靡した飯塚26期の田中茂を父に持つ田中崇太(たなかそうた)選手。
まず名前に目が行く「福岡鷹」選手。福岡県出身で「鷹」といえば、プロ野球の福岡ソフトバンクホークス。記者が「ひょっとしてソフトバンクホークスのファンですか?」と尋ねると、「そうです。両親がホークスファンで(名前も)そこからです。自分もホークスファンで良く球場に観に行っていました」との事で、ある意味予想通りの答えが返ってきました。
一方の田中崇太選手の見た目はちょっとがっちりした体型。父の田中茂選手も細マッチョなキン肉マンで、その点は似ているかもしれません。
福岡鷹選手インタビュー
「選手を目指したきっかけは、オートレーサーの知り合いがいて、飯塚の高宗選手と父が知り合いで、高宗選手を見てかっこいいし、モータースポーツが大好きだったので。でも、バイクは乗ったことがない全くの素人でした。養成所生活は早寝、早起きが辛かったけど、乗る時は楽しかった。競走車で風を切る感じが好きでした。前職は大学を3年で辞めて、車の整備の手伝いをしていました。なので、整備は大好きです。デビューから当面の目標は、実地訓練でハネがあるので、ハネをなくす事と、フォームを固める事だと思っています。競走車名(ペアー)の由来は、梨が好きだからです」
※福岡鷹選手は1月13日に飯塚オート5Rでデビュー。試走37秒、上がり3秒455で後続を離してデビュー初勝利を飾ると、2日目、3日目と連勝、特に3日目には上がりタイム3秒397とデビュー直後の新人としては異例の傑出したタイムを叩き出し、大器を予感させました。ちなみに前36期の栗原佳祐はデビュー3走目で試走32秒、上がり3秒403を出しています。
2月2日現在、連勝は続いておりデビュー7連勝中。敵地山陽でいきなり初準決へ進出。濡れ走路で敗れたが、最終日に好タイムで逃げ切り。9戦8勝とオートレース界に新たな風を吹き込んでおり、近い将来、世代交代の波をおこせる予感をさせる選手です。
田中崇太選手インタビュー
「選手を目指したきっかけは、父の影響です。世界で一番尊敬しているのが父なので。そんなかっこいい男に自分もなりたいと思いました。養成所での生活は想像以上にきつかったけど、同期と仲良くてその面は楽しかったです。訓練中にケガがあって乗れない時があった時も同期に救われました。卒業に関して父からは「おめでとう!頑張れよ」と言われました。デビュー戦の目標は初勝利。大きな目標はSGレーサーになりたいです。競走車名(トゥモロー)の由来は、知人の名前に明日がつくのでつけさせてもらいました」との事。
※田中崇太選手は1月17日に山陽オート2Rでデビュー。試走49秒、上がり3秒519で5着とデビュー戦を勝利で飾る事は出来ませんでしたが、父・茂選手を彷彿させるガッツ溢れる走りで、頑張っていました。その後、3着、2着と初勝利に一歩届かず、2節目は初日に身体不調で欠場しましたが、2月2日の山陽オート4Rで試走40秒、上がり3秒458で逃げ切り、デビュー初勝利を見事に飾りました。偉大な父の背中を追ってデビューした田中崇太選手。父の境地にたどり着くには相当な努力が必要でしょうが、長い目で見守っていきたい選手です。
文/金子
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■福岡鷹選手のプロフィール・成績
フレッシュ37期生 注目選手その2
2024年02月02日
37期卒業生の話、第2弾は浜松所属となった、北市唯(きたいちゆい)選手と森下輝(もりしたひかる)選手。女子選手の北市選手は、オートレーサー初の北海道出身で19才。ロードレースの経験者です。森下選手はモトクロス経験者で、スズキのテストライダーも務めたとの事。森下選手は、養成所で優秀賞を受賞しています。24才。
北市唯選手インタビュー
「選手を目指したきっかけは、元々ロードレースをしていたんですけど、サーキット場に「オートレーサー募集」のチラシが置いてあったので応募しました。高校2年の時には選手の試験があったのは知っていたんですけど、ロードのレースの日とかぶっていたりして受けられず、高校3年の時に試験を受けました。養成所に入ってみてから乗ったオートレースのバイクは、ロードとは全く別物で、慣れるのに凄く苦労しました。デビュー戦は6周回、失敗とかなく、安全に走れるようにしたいです。でも、気持ちは誰よりも速く走りたいと思っています。競走車名は北海道の子ということで「ドサンコ」にしました」
※北市選手は1月15日に浜松オートで4Rでデビュー。デビュー戦は、試走3秒42、上がり3秒542で6着でした。2日目は試走3秒41、上がり3秒523で3着と、2走目にして掲示板(1~3着以内)に載る活躍を見せました。3走目は試走3秒39、上がり3秒513で5着。最終日となった3走目は人気に推されるも、ファンの期待に応えることはできませんでした。
しかし、さすがロードレース経験者。デビュー節での初勝利はならなかったものの、3日目に試走3秒39を出すなど、これまでの女子レーサーと比べても素質は十分。今後の活躍が大いに期待できそうです。
森下輝選手インタビュー
「(選手を目指した)きっかけは、小さい時からバイクに携わっていたんですが、モトクロスをやっていて、元々知り合いだった36期の吉林選手(モトクロス出身)が選手になったのを見て、自分も試験を受けてみようと思いました。養成所での生活は、携帯もないし最初は牢屋か監獄に入れられたようでした。でも、1ヵ月くらいで同期とかと話せて慣れました。訓練はキツいけど楽しかったです。同期と仲が良かったですね。デビュー戦は3日間とも1着を取って、連勝を伸ばしたいです。(どんな選手になりたいかは)目標は、佐藤摩弥選手です。佐藤摩弥選手もモトクロスをやっていて、女子ですが、トップで活躍しているのでそういう選手になりたいです。競走車名は「LE・セラ」です。K-POPのグループ名です」
※森下輝選手も1月15日に浜松オート6Rでデビュー。試走3秒36、上がり3秒439で後続をぶっちぎりデビュー戦で初勝利。2日目も試走3秒35、上がり3秒442で1着。3日目も試走3秒34、上がり3秒435で1着と「宣言通り」デビュー節で無傷の3連勝を飾り、早くも大器の片りんを見せてくれました。
浜松には、新鋭選手として規格外のスキルをもつ、36期の栗原佳祐選手もいますが、また一人楽しみな選手が加わりました。
北市選手、森下選手の次回出場予定は、2月16日~2月18日の浜松開催となります。両選手の走りにぜひご注目下さい。
次回の37期生卒業式コラムは、飯塚所属の福岡鷹選手と山陽所属の田中崇太選手の予定です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━