0mオープンの選手の心理

2024年10月25日

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 これからオートレース界は、SG日本選手権、SGスーパースター王座決定戦と、クライマックスに向かいます。
 いずれも「0mオープン」でのスタート争いが車券のカギになってくると思います。
 そこで、実際にSGレースでトップを争ってきた川口所属のN選手に、0mオープンでスタートを切る時の選手の心理を聞いてきました。質問に答える形式でお伝えします。


【Q1】SGで0mオープンを戦う時に、理想的なスタートタイミングはどのくらいですか?
【A1】そうだね、タイミング自体は0.05~0.10で切れて、なおかついい感じで伸びていく、のが理想かな。身体がそのくらいのタイミングに自然と反応するように感覚を慣らしていくのも大事だね。
 逆に0.01~0.02というタイミングは狙って切れない。フライングをしたら終わりだからね。だから、0.05~0.10くらいを狙っているのに、実際には0.01~0.02だと感覚が合ってないという事だね。
 また、自分がスタートが切れてないと思っているときは、タイミングを攻めてフライングになりやすい。
 その点、地元の時計だとタイミングに慣れているから、地元選手が有利。伊勢崎や浜松はまた感覚がちょっと違ったりする。


【Q2】朝練習の時のスタートタイミングが0.01や0.02だと、レース本番でも切りづらくなりますか?
【A2】ビビッて切れなくなってしまうね。フライングになったらいけないと、身体が反応しちゃう。


【Q3】オープンレース用にセッティングを変えたりするんですか?
【A3】その人次第だと思うけど、自分はエンジンのセッティング自体は変えないね。クラッチのバネを強くしたりするくらい。


【Q4】レース場によって有利な枠とかはありますか?
【A4】僕はあまり感じないけど、どこの場でもやはり1枠だと思う。特に川口は外が利かないから内枠が有利になりやすい、くらいかな。


【Q5】1枠のメリット、デメリットはありますか?
【A5】1枠はやはり有利だけど、スタートに自信がないとダメだろうね。包まれたら2コーナーの立ち上がりもグリップが開かなくなって厳しくなる。その辺がデメリットかな。

《考察・補足》
 Q1のスタートタイミングは、レース後に発表されますが、0.05(専門紙新聞の表示などは05)から0.10(新聞表示は10)くらいのタイミングが続いている選手が安定して切れていると言えます。
 Q2の朝のスタート練習で、0.01や0.02だと本番で切りづらくなるというのは、スーパースター王座決定戦のトライアルでは朝練習のスタートタイミングが発表されるので、参考になるのでは。
 Q4の1枠のメリットは、川口オートでは2コーナーの立ち上がりまでが捲りが利きづらく、特に1枠が有利との事で、元々のスタート力がある選手なら、多少試走は悪くても3連単圏内に狙って面白いかもしれません。
 Q5の1枠のデメリットは、位置的に有利な1枠にはいったとしても、スタートが切れなければ゛、外枠にかぶせられて1コーナーまでグリップを絞らざるをえなくなり、2コーナーの立ち上がりまで影響してしまう、との事で、スタートで外枠より1車身以上遅れてしまう選手は、車券圏内に絡みづらくなりそうです。

 0mオープンが増えるこれからのシーズン、選手の心理も予想しつつ、車券の的中に近づけていきましょう。

文/金子

 

37期・勝手に通信簿(若獅子杯を戦い終えて)

2024年10月18日

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【福岡鷹】
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【田中崇太】
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【森下輝】

◎たいへんよくできました◎

福岡 鷹...24年4月9日の飯塚ナイターで自身2度目の優勝果たし、9月26日の飯塚ミッドナイトではV3を飾った。若獅子は予選→準々決勝戦を突破し準決へ進み4着。最終日も4着だったが、ここぞの準々決勝戦で1着取ったのは立派。勝ちを1つ増やし通算38勝と稼ぎ頭。今年のGPで10m前のハンデ経験してるが現在、最重ハンの20m前(若獅子準決から10m前)で健闘しておりこれからも精進して行くことだろう。

若獅子杯の成績《2・7・1・4・4 節間の本走最高タイム3.42》

田中崇太...父・田中茂がSGホルダーというプレッシャーはないと思うが、優出3回して準優勝が2度と、初優勝までもう一歩まで来てるのは確か。若獅子杯では準決へ進み節間3勝挙げており、経験値も上昇気配で将来の走りに期待が持てる。勝利数は25。

若獅子杯の成績《3・1・1・6・1 節間の本走最高タイム3.43》

森下 輝...フランチャイズの浜松が施設改善の工事で開催できず、遠征回りを余儀なくされている。0ハンから逃げるレースが少なくなり、追い上げるレースでも持ち前のグリップワークで勝利数は34と福岡に次ぐ。伊勢崎のGPでは雨走路1着、そのあと伊勢崎走路で雨3勝と天候に左右されない強みもある。現在、最重ハンの20m前。若獅子杯では準決進めなかったが、最終日のアウト戦は目を見張るものあった。

若獅子杯の成績《4・7・4・5・1 節間の本走最高タイム3.43》


○よくできました○

丹下昂紀...8月9日の山陽ミッドナイトで初優勝。波はあるが着実に力を付けており現在18勝と数は少なめだが、ここ最近の動きには目を見張るものがある。同期の村田光希をインから抜いたこともあり。若獅子では4日目にスタート落車して停止。2日目1着の内容が良かっただけに残念。

若獅子杯の成績《7・1・7・停・6 節間の本走最高タイム3.46》

村田光希...6月の川口で4戦3勝とキッカケを掴んだのか、その後に9月3日の山陽ミッドナイトで初Vを完全優勝で飾る。その前に飯塚で3連勝しており都合6連勝。勝利数も24といつの間にか上位級の力を付けてる印象。若獅子杯も初日2着と好発進したが2日目以降は見せ場なく終わった。

若獅子杯の成績《2・5・8・5・6 節間の本走最高タイム3.47》

北市 唯...地道に勝利数を伸ばしてる印象。特に0ハン単騎の逃げで力を発揮する。勝利数は14だが、2・3着も多い。若獅子杯でもタイムが足りず準決へは進めなかったが、着取りは安定。最終日はブチ走路で1着。

若獅子杯の成績《2・3・3・5・1 節間の本走最高タイム3.48》


●もう少しがんばりましょう●

浅倉樹良...デビュー13連勝とオート界に衝撃を与えたのは確かなのだが、ハンデが後ろになるにつれてスタートの甘さが露呈してしまう。さらには、前を抜こうとする意識が強い裏返しなのか、反則を取られたり挙句の果てには周回誤認の大失態。持ってる素質は優秀なだけに、近況の動きには不満残り評価を下げた。勝利数も23と伸び悩んでおり巻き返しなるか。若獅子杯は準決へ進めなかったが着はまとめており、これから走路が冷えてスピード勝負になるので楽しみにしたい。

若獅子杯の成績《3・6・1・5・2 節間の本走最高タイム3.46》

石橋啓士...今年7月に初優出を決めており。逃げがハマるととんでもないパワーを発揮する。勝利数も気がつけば17に。

若獅子杯の成績《3・2・7・6・4 節間の本走最高タイム3.47》

菅原すずの...山口と同じ川口所属。こちらも7勝と伸び悩んでるが、2・3着に残る粘り腰を持ち合わせており、時折タイム出す意外性もある。

若獅子杯の成績《7・3・5・2・6 節間の本走最高タイム3.50》

佐藤智也...主に逃げのレースが多いが、展開に左右される面もある。 もう少し地力を付けて後続を突き放すことができれば...。勝利数8、2着7、3着8。

若獅子杯の成績《6・4・5・6・5 節間の本走最高タイム3.50》

山口航太...川口所属で一時、勢いが付きかかったのも長続きせずタイムも物足りない。いまだ6勝と奮起をうながしたい。

若獅子杯の成績《8・6・6・8・5 節間の本走最高タイム3.50》

滝谷 圭...8月4日に初勝利。現在3勝のみだが、少しずつスタミナを付けており序盤の勢いを保てれば勝利数は増やせるかも。

若獅子杯の成績《6・6・3・7・8 節間の本走最高タイム3.51》
浅倉樹良.JPG
【浅倉樹良】

(文/中村)

 

久しぶりに森且行の優勝が見たい!

2024年10月11日

 2021年1月24日、飯塚オートで落車し、大怪我を負った森且行は長期間による休養とリハビリを終え、2023年4月6日に地元・川口で戦線復帰を果たした。復帰戦は白星、次のレースでも勝ち切り、不安視されていたレース勘は何ら問題ないと証明した。そして、復帰後3節目ですでに優出を決めてみせた。結果は8着だったが、これなら復帰後の初優勝もそう遠くない雰囲気を感じさせた。しかし、そこから優出する機会は何度もあったが、優勝まではなかなか到達していない(2024年10月10日現在)。
 
 復帰後の優出回数は実に18回。その中には準優勝が6回含まれている。最初の準優勝の時は山陽の永島潤太郎に敗れてしまった。森にとって得意の重走路だったが、この時の永島は森の30M前からの競争だった。森は5車並んだ最重ハンからトップスタートを決め、早々と永島を追う態勢を作ったが交わし切るまではいかなかった。
 
 次の優勝チャンスを阻んだのは武藤博臣。武藤は森の20M前に置かれていたが、この時の武藤は減量に成功し、スピードが増していた。レース中盤で抜け出すとペースを上げて走り、森の追い込みを僅かな差で振り切ってみせた。次は加賀谷建明。この時は0ハンに1車、40線に7車並ぶという珍しいハンデ構成だった。最内の森はしっかりと枠ナリスタートを死守し、0ハン単騎の伊東玲衣を追っていたが、その前に加賀谷に交わされてしまう。その後は離されながらも付いて行き2着入線だった。その次は佐藤摩弥が森の優勝を阻止した。最重ハン最内に置かれた森は、大外からカマシを仕掛けてくる佐藤摩を1コーナーで突っ張ってみせたが、バックストレッチで内側に潜り込まれてしまった。その後は巻き返しを図ったが、2番手に上がるのがいっぱいだった。5度目の準優勝の時は佐藤励の速攻に屈してしまった。20線に6車並んだ中枠からトップスタートを切った森だったが、やはり悪くないスタートを決めた佐藤励が2周1コーナーでインに突っ込んでいった。森は離れた2番手で入線となった。
 
 そして、直近のレースでは再び加賀谷に敗れて準優勝となった。その開催では準決を終え、優出を決めた段階で優勝戦の日は降雨の予定だった。最近の重走路では無類の強さを発揮している加賀谷が断トツの優勝候補に推されていたが、優勝戦でも人気に応えて1周回った頃には先頭を走っていた。必死に食らい付いていた森が仕掛けのチャンスをうかがうが、最後まで逆転はできなかった。
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 レース後に森は「滑るねー、みんな滑ってる。乾き始めで走路が滑るんだよ。俺のは直線いいけど、流れ込みがない。付いていこうとすると滑っちゃう。あいつ(加賀谷選手)足つかないのに突っ込んでいくんだよ。エンジン良くても勝てないよ。でも、食らい付いて行こうと思って。ちょっと入れそうな感じもあったけどね」と悔しそうな表情を浮かべながらも、相手の技量をリスペクト。談話の後半には「新聞に書いておいて!『2着だったら優勝って』」と冗談も飛び出した。
 対する加賀谷は「(競争中)ビジョンを見ると狙われてるなと思って。ずっと森さんいたもん。俺、滑ってるし、いつかやられるなと思って」と、いつ抜かれてもおかしくないくらいプレッシャーを感じていたようだ。
 負けた森も収穫があった様子で「とりあえず、これで選手権の晴れタイヤができた。(付いて行けたのは)そのタイヤが良かったのかも。いつもは離されちゃってるから。雨ならもう少し先を作らないと。これでまた一つ勉強になりました」と、50歳になった現在でもレーサーとしての総合力アップに余念がない。復帰後の初Vを迎える日は近い。
文/高橋

 

9月を振り返って

2024年10月04日

 9月を振り返って
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 先月に続いて初Vを飾る選手が目立った9月。3日の山陽ミッドナイトで37期の村田光希が初優勝。デビュー後に勝ち上がり権利が発生してすぐ優勝する選手はいるが、村田もデビューしてから9ヶ月での優勝なので十分早い方だ。その次の山陽ミッドナイトで初優勝を決めたのが祐定響。祐定は36期でデビューは2023年2月。デビューから1年7ヶ月目にしての初優勝と、やや時間がかかった方だが、それでも2級車の内に優勝できたのだから大したもの。しかも、優勝した節は全て1着の完全優勝だった。ここからまた、更なる活躍を見せてくれるだろう。
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 3日の飯塚の昼間開催で初優勝したのは吉川麻季。吉川は2021年11月から長期離脱していたが、今年の3月に戦線復帰。その直後はなかなか結果が出ないでいたが、5月下旬あたりから1着を取るようになってきた。そして、8月31日からの4日間開催でオール1着。初優勝を完全Vで決めてみせた。吉川は以前からエンジンが良い時は試走タイムが出る方で、一人で走るような展開ならスピードを乗せて走ることができていた。0ハン単騎のハンデ構成なら好成績につながりやすい。今後は捌くレースでどうなるかだ。
 
 そして、デビュー21年目にして悲願の初優勝を迎えたのが吉田恵輔。2級車の頃は粒ぞろいの29期の中でそれほど目立つ存在ではなかったが、着実に走力を付け、特に重走路では高い連対率を誇るようになった。それがあっただけに優勝戦で重走路になれば初優勝できそうな機会は何度かあったが、そこでもなかなか勝利にはつながらないでいた。ただ、決して諦めずに整備や練習を繰り返し、ようやく栄冠を掴み取ることができた。今ではスタート巧者の部類に入る方だし、捌きも磨かれているので、これまでの分を取り戻す勢いで頑張っていきたい。
 
 9月のMVPを決めるなら間違いなく青山周平だ。青山周は9月に3節出番があり、その全てで優勝。しかも、その中にはG1ムーンライトチャンピオンカップや特別G1プレミアムカップも含まれている。更に言うなら全12走して1着が11本、負けたレースも2着でオール連対。その間には自身6度目となる10連勝も達成している。10月からはS級2位に陥落してしまうが、来期で返り咲きの態勢は十分すぎるほど整っている。ライバルである鈴木圭一郎は、9月は2節を消化。最初の川口の4日間一般開催では完全優勝。特別G1プレミアムカップでは予選、準決をオール1着。優勝戦は青山周に敗れて3着だったが十分な成績を残している。
 
 区切りの1000勝に到達したのは荒尾聡。19日の特別G1プレミアムカップの初日に達成した。これは史上31人目の快挙だという。スタート良し、スピード良し、捌き良し、重走路良しのオールラウンダー。次は1500勝を目指して勝利を積み重ねていく。

 文/高橋


 

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