フレッシュ37期生 注目選手その1
2024年01月26日
オートレース第37期生 卒業式の話①
2024年1月9日(火)に、茨城県・つくばサーキット内にあるオートレース選手養成所で、オートレース第37期生の卒業式が行われました。
コロナの影響で34期以来、報道陣に取材許可が出て、久しぶりの卒業式の取材となりました。
今回卒業した37期生は12名。年齢が19歳から24歳と近く、卒業式後の写真撮影では、今までの期と比べてもかなり和気あいあいとして仲の良さが感じられました。川口所属となった山口航太選手は「自分たちの期は本当に仲がいいので、37期は最強の期と呼ばれるように頑張ろう」と誓いあったそう。
そんな37期生の中、養成所で最優秀賞を獲得したのは、伊勢崎所属になった、浅倉樹良(あさくらじゅらん)選手。
身長158㎝ 体重50.6㎏とオートレース選手として、大成を予感させる小柄な体格。そして、ひと際、目をひくのは眼鏡をかけている事。前回の36期選手募集から、「矯正視力で1.0以上」でもOKとなったのは、浅倉選手には追い風になったかもしれない。
これまでデビュー当初から眼鏡を使用している選手はいなかったが、養成所・最優秀賞を受賞した浅倉選手の活躍を見て、視力の関係でオートレーサーを諦めようと思った方にも、励みや目標になったのではないでしょうか。
浅倉樹良選手インタビュー
「選手を目指したきっかけは、小さいころにポケバイに乗っていて、そこからロードレースを色々やっている中で、オートレースで稼ぎたいと思って申し込みました。レーサーの方で憧れているのは、川口の中村雅人選手です。6周使って捌いたりする、自分のレーススタイルを持っている中村選手のレース展開が好きです。養成所での訓練は毎日楽しくて、バイクに乗れる事が嬉しかったです。夢は、誰も成し遂げていないスーパースター6連覇です。そこを目指して強い選手になりたいです。デビュー戦からオート業界を盛り上げられる様に頑張ります」
浅倉選手の卒業検定タイムは(6周の平均)3秒37。このタイムは、現在業界トップの青山周平選手(31期・伊勢崎)が計時した養成所での検定タイムと一緒であり、申しぶんない実力を要していると思われます。
オートレースの新人デビューの際には「師匠」と呼ばれる、「指導員」「指導員補助」が付きます。浅倉選手の師匠は、伊勢崎所属25期の竹本修選手。竹本修選手とそのグループの選手達に指導を受け、未来のトップレーサーを目指す戦いが、すでに始まっています。
浅倉選手のデビュー日は1月25日(木)伊勢崎オート。出走レース番組は未定。
その2へ続く...おたのしみに
文/金子
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試走のチェックポイント
2024年01月19日
オートレースの予想にあたって、大事な要素になる一つが試走。1周回ってタイムを計測し、100メートルあたりを何秒で走ったのかが公開される。タイムだけを見ればどの選手が速く走れているかは分かるのだが、実際に走っている様子でどこを見ればいいのか。人によって重要視するポイントは違うが、そのポイントをいくつか挙げていく。
車間距離
まず一番分かりやすいのは車間距離。試走の入り口からゴールまでの間に、前を走る車よりも距離が縮まれば、その車は少なくとも前を走る車よりはエンジンが出ていると判断できる。8車一斉に走る試走で、その全体を見てどの車が前との差を詰めているかを一度に把握するのは経験がいるが、気になる1、2車だけに注意を払えば状況を掴みやすい。試走が始まる前の段階で勝ちそうな車をある程度想定し、試走で前後の車との距離の変動を見る。この方法だとよく分かる。だんだん慣れてきたら全体を見渡すような見方にシフトできればいい。それともう一つ、前を走る車との距離が近すぎると自分の走りたいところが走れなくなり、本来、走りたいところを走れていた時よりもタイムが出にくくなる。実質的にエンジンはタイム以上に良いとみていい。
コース取り
次はコース取り。基本的に大きなコースを回った方がスピードに乗るし、タイムも出やすい(もちろん、しっかりとグリップを開けて回れていることが条件にはなるが)。逆に小さいコース取りになると、立ち上がりでスピードが乗らずタイムは出にくくなる傾向がある。そのため、試走タイムの数値は良くなくても、小さいコースを回った選手は数値以上の走りをレースでできる可能性がある。
試走の入り方
コース取りとも関わってくることだが、試走の入り方も試走を見るポイントとしては大事。試走は助走を付けてゴール線を通過し、1周回って再びゴール線を過ぎるまでのタイムが計測される。試走の入り方で内線に近い方のゴール線を通過した場合は当然、コース取りは小さくなるのでタイムが出にくくなる。逆に外線に近い方のゴール線を通過して試走を始めた場合は、コースを大きく回れるので2コーナーの立ち上がりでのスピードの乗りが良くなる。
4コーナーを立ち上がってからのコース取り
4コーナーを立ち上がってからのコース取りも選手によって違うので、試走での良し悪しを見極めるポイントになる。立ち上がってから外線の方に向かってグリップを開けていくようならタイムは出やすくなる。外線の方に向かわず、レースで走る時と同じようなライン取りならタイムは出にくくなる。
タイヤが滑っているかどうか
試走で1周する間にタイヤが滑っているかどうかも気にして見てみたいポイント。特に立ち上がりや、コーナーに突っ込むあたりでひと滑りしているようならタイムは出ない。ただし、この判断は難しい。タイヤの選定ミスや、セッティングが合っていなくて滑りにつながっているならタイム通りの仕上がりとみていいが、ただ単に乗り手の操縦ミスならエンジンはタイムほど悪くないことになる。試走で滑りがあった影響でタイムが出ず、オッズ的に人気になっていないようならあえて狙ってみる、という手もある。
オートレースの試走タイムはオッズの変動に大きな影響を与える。ただ、その数字自体を自分自身でどう取り扱うかによって高配当を狙えるチャンスが広がってくる。試走タイムが出ていない選手にそれなりの理由がありそうなら、その選手から買ってみると高配当をゲットできるかも。
(文・高橋)
体重管理の話
2024年01月12日
レースで良いパフォマンスを発揮するには車の整備だけではなく、体調のメンテナンスも大事。特に体重管理に関する取り組みを聞いてきました。
早船歩...「何もしてないです。元々、小食ってものあるけど、別に好きな物を食べてますよ。な~んにも気にしない。みんな結構、痩せてる人は体質もあると思いますよ。でも、(食べる量は)ちょっとは気にしてますよ。ただ、我慢するほどじゃあない。だから、食べたいものを我慢してストレスを抱えるより、食べたい時は食べて、他で食べないみたいな。休みの日で、例えば、脂物とか焼肉とかラーメンとか食べた次の日はあっさり目にしようかなとか。それぐらいは考えてます。」
掛川和人...「絶対ダメだもん、体重は。一番成績に響く。自分は変に筋トレとかしないで、ウォーキング、有酸素運動。けっこうやってますよ。なまけず。筋肉を鍛えたりとかそういうのはないけど、筋肉が付いちゃうと落ちづらいから。ウォーキングを2時間ぐらい、10キロ。けっこう長いよね。でも、まあ仕事だからね。でも、それはね、若い時に怪我してからリハビリで始めたのがきっかけで、それが全部今に通じて、いい方向にはきてるのかな。開催中も、DVD見ながら踏み台昇降をやってます。これも2時間。(一つの映画を見れちゃいますね?)もう、全然全然、見れますよ。(それだったら、そんな苦痛だけでもなく楽しみながらじゃないですけど?)いやあ、でもね、だんだん年齢とともにきついんだけど、やりすぎだからちょっと減らしてもいいのかなとも思うんだけど。選手である以上やっぱりね、やってたいから。そこで止めて、お腹出てきちゃってもね、それが一番良くないから。(それをずっと実践されているのは素晴らしいですね?)食べることが好きだから、若い時に食べるのを我慢して、ダイエットとかしたんだけど、ストレスになっちゃって。かえって良くなかった。そんな感じです。まあ、大したことやってないんで。(いやいや2時間も運動するのはすごいことですよ。なかなかできないです)みんなに言われるけど、一番大事なことだから。整備も大事だけど。(あらゆる方向からレースにつながるようにやってるんですね?)そうだね。そのつもりでやってますよ。」
篠原睦...「秘訣って言うか、歩く。(けっこうされてますか?)そこまでではないですけど、歩ける時は歩くのを意識してます。駅とかでも一駅とか、時間があれば歩こうかなとか。新橋から電車乗らんで、浜松町まで歩いて、モノレールに乗るとか。ムダに歩いてます。(毎日、これだけ決めて歩くとかではなく、気づいた時にやっている感じですか?)そうそう、毎日決めて歩くってことはないですね。毎日続けてやるとかはないです。飯は3食、食べるようにしてるし。(その量は少なめにしようとかしているんですか?)どうなんですかね。人よりは少ないかもしれないですけど、1食抜いて2食にするとかよりは3食、食べるようにしてます。飯食べないで痩せても絶対ダメなので。それ、絶対戻りますもん。飯食わんで痩せるなんて、そんな誰でも痩せられますもん。(ずっと食べ続けないのもつらいですよね)そうですよね。代謝量を上げて、飯ちゃんと食べておけば太りにくい体になると思うんですよね。(筋トレとかは?)してますよ。毎日じゃないですけど、簡単な筋トレなんですよ。マシンは使わないで、腕立てとか腹筋、体幹がメインです。(健康的な感じで体形を維持してるんですね)そうですね。(一番体重が増えた時はどのくらいあったんですか?)60ぐらいはありました。今は56です。新人の時は60ぐらいあったので。若い時はぐうたらだったので。暴飲暴食ばっかりして。若い時からやっとけば良かったなとは思いますよ。」
(文/高橋)
車名の由来
2024年01月05日
選手が車名を決める理由はさまざま。それぞれの由来を聞いてきました。
青嶋裕治...キックオフ1。サッカーが好きなんです。小さい頃からずっとやっていたんです。小、中、高と。(前にカイセイカンという車名も使っていましたよね?)カイセイカンで教えてたんです。兄が監督で、自分も教えにいってたんです。(2級車の時は?)シュートですね。サッカー絡み以外の車名をつけたことはないです。今は全部キックオフにしてあるんです。(キックオフは1とか2とかありますよね。どれがいいとかあるんですか?)これが一番いいですね、キックオフ1。『デビュー時から車名に選ぶ理由が一貫している』
福永貴史...トマホーク1。ミサイル!(デビューした時は何でしたっけ?)ルーク。何かのテレビ番組で出てきた名前です。ク、が好きなんですよ。(また次にエンジン乗り換わった時は、語尾に「ク」を付けるんですか?)うん、でも、めんどくさいけえ、もうシリーズですね。1とか2とか、AとかVとか、そんなんでいいですよ。『シリーズものは車名あるあるだ』
押田幸夫...フォルトゥナ2。理由は特にないんですけど(笑)。なんかで見て。意味は分からなかったんですよ。なんとなくです。(英語か何かですか?)英語じゃなかったような気がするんですよね。『ラテン語などで幸運を意味するそうです』(2級車の時はアンブレラって乗ってましたよね。傘って意味ですけど、なんでその車名を付けたんですか?)それは、晴れより雨の方が好きだったので。はっはっは。(フォルトゥナ1ってありましたっけ?)いや、1はなくて、前にフォルトゥーナって乗ってました。2を入れられなくて、フォルトゥナ2にしたんです。『車名は7文字までしか使えないので、車名を考える時に苦労する選手もいる』
西村龍太郎...イズミヤ。いずみやカップって山陽でやるので。いずみやって居酒屋なんですけど、友達がやっているので、誕生日にプレゼント代わりに付けて。いずみやカップで優勝戦に乗ったので動くかなと思って、遠征出たんです。(そのいずみやにはよく行くんですか?)行きますよ。『人との交流に由来した車名』
阿部剛士...アタイガフー。沖縄の言葉で、意味的には幸せとか幸福とか。(沖縄が好きなんですか?)そういう訳じゃないですよ。はっはっは、たまたま、まあ、スロットからなんですけどね」『趣味を車名に持ってくるパターンも多い』
藤岡一樹...シャウラK。元は釣竿の一つなんですけど。釣りで、村田基(はじめ)っていう有名な人がいるんですけど、その人が自分で作る道具のシリーズとしてスコーピオンシリーズってのを作って、でまあ、アンタレスだったりだとか、シャウラだったりだとかっていう名前の釣竿を作ったんですよ。で、ずっと好きで、高いんですけど、選手になって初めて買ったのがその竿だったので、で、シャウラにしたんですよ。で、まあ言いやすいし悪くないなあと思って。(響きも強そうですよね?)はっはっ、みんなに言われたけど、短いし歯切れもいいので。(それで、K、が付いたのは?)まあ、息子の名前ですね。よくあるやつでアルファベットをつけてみたんです。『選手になって初めて買った高価なモノ。思い入れもひとしおだろう』
文/高橋
師匠と弟子の話
2023年12月29日
オートレーサーはデビューする時に、時期を迎えた先輩選手が師匠として付き、オート界の作法や整備のやり方を指導する。今回は師匠と弟子の話を紹介したい。(21期・吉田幸司と31期・佐藤摩弥)
-「11月18日時点でお弟子さんの佐藤摩弥さんとの対戦成績が、吉田幸司さんの11勝6敗と勝ち越しですよ?」
吉田「ああ、勝ち越しと言ってもハンデがあるから意味がないんじゃないかな。その中での話になっちゃうから」
-「一緒のレースになる時に、負けたくないとか気持ちは変わるんですか?」
吉田「変わんないですよ。変わるわけないじゃないですかぁ。そんなんで変わったら、いつも勝てちゃうじゃないですか。たまたまですよ。絶対そうですよ。だってそれって、選手は全然意識してないですよ。ハンデがあっての結果だから。これが同ハンだって言うなら、また違うと思うけど。ハンデもらっての結果だし、全然、それは全く関係ないですよ。全く気にしてない。気にする立場じゃない。ハンデ前から走ってるんだし」
-「お弟子さんを持つと、その直後に再び活躍される師匠さんって多い気がするんですけど、その辺どうですか?」
吉田「まあ、とりあえず、あのぅ、悪くはしないですよね。やっぱり、あのぅ、とりあえず責任はあるから、やっぱり、ある程度ね、行動とかで示さなきゃいけない部分はもしかしたらあるのかも。今までに比べて悪くすることはないと思いますよ。でも、結果に関してはやっぱり自分ひとりで走ってるわけじゃないので。まあ、あの、人間がどうこうってのはね、やっぱり違うんでしょうけど。だらしない姿っていうのはやっぱり、お手本にならないでしょうからね。だから、ちょっと気が抜けてたら、ちょっと頑張るか、みたいな気持ちにはなるんでしょうね。ただ、結果は関係ないですよ。姿勢はね、見て変わったかもしれないですけど」
-「お弟子さん、デビューして12年経ちますけど、今でもお弟子さんがいることによって、気持ちの面で何か刺激を受けるとかありますか?」
吉田「うーん、まあ、とりあえずね、ダメな時はみんな手を動かさなきゃ良くなんないので、やっぱり調子が悪ければ(佐藤摩弥さんは)手を動かしてるし。いつも動かしてるけど、納得いかない時はより動かしてるし、そこでね、やっぱり結果に結び付けてるんでね、自分も見習わないといけないと思うし。だから、逆に自分がね、そういう部分で教わっちゃってるかもしれないし」
-「いい関係ですね」
吉田「はい、まあ、そうですね。自分には、いい見本が近くにいるから、うん、自分にはいいと思います」
勝負の世界で生きる姿勢を師匠が示し、弟子は期待に応えるべく全力を出せるようにオートレースに取り組む。それがまた、師匠の発奮材料になる。吉田幸司と佐藤摩弥は良好な師弟関係が築き上げられている。ここまで佐藤摩弥が成長したのも納得がいくし、速攻を武器に今でも見せ場を作れている吉田幸司にもうなずける。
文/高橋
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