1月を振り返って

2024年02月16日

 1月の出来事 

  
 今年の優勝戦第一弾を制したのは吉原恭佑。約4年半ぶりで久しぶりの優勝となったが、実力的には1年に何度優勝してもおかしくないモノを持っている。スタートは枠ナリにしっかり出て行けるし、エンジンが仕上がれば攻めの方も鋭さを増す。スピードも十分あるので縦長の展開になっても追って行ける。どちらかと言うとゴチャ付く展開の方が得意。混戦になればなるほど吉原は存在感を示すことができる。
 
 9日の飯塚ミッドナイトと15日の飯塚ナイターで連続優勝したのは別府敬剛。その後の開催でも優出していたし、月末の開催では準決でフライングしたものの全3走してオール1着。1月に最も活躍した一人に挙げられる。ハンデは最重ハンだが、全国ランクがA級55位なので内枠に置かれることが多い。スタートで枠ナリ発進をキープできればレース展開もそこまで苦しくない。
 
 昨年末は苦しんだ印象のある佐藤摩弥だが、新年になってからは2節目でいきなり優勝。その後の浜松GⅠでも優出し3着に食い込んでみせた。悪い流れは完全に軌道修正できている。金子大輔も1月は活躍が目立った。お正月開催の川口で完全優勝を達成すると、その後も好走を連発。1月は全15走して1着10回、4着以下は1回と抜群の安定感を誇っていた。本人が課題に挙げていたスタートも良化の兆しが出ており、それが好成績につながっている様子。
 
 1月には記念レースが2度行われたが、伊勢崎のGⅠシルクカップは青山周平が制し、浜松のGⅠスピード王は鈴木圭一郎が制した。どちらも地元の選手がきっちりと結果を出した。今のオート界のツートップは今年も上々の滑り出し。この2人が中心になってオート界が回っていく。
 
 また、各地で新人・37期のデビューが相次いだ。この37期生は粒ぞろいとの前評判があったが、それに違わぬ快走が何度も見られた。特に注目なのは伊勢崎の浅倉樹良と飯塚の福岡鷹、それに浜松の森下輝だ。養成所で最優秀賞を受賞した浅倉は、デビュー戦で3秒445のタイムを出し快勝。それを含め4連勝でデビュー節を走り抜けた。その節での最高時計は3日目に出した上がり3秒426。大物感を存分に示してみせた。
 
 その浅倉を上回るタイムを出したのが福岡。デビュー節は全3走してオール1着だったが、最終日には上がり3秒397の強烈なタイムを叩き出した。この時はナイター開催で走路温度が低かったため、タイムが出やすい状況ではあったが、それでもデビュー節でこの数字はなかなか出せない。森下はデビュー節で3走して、やはりオール1着。最終日に出した上がり3秒435が最高タイム。この3者が37期を引っ張っていく存在になるか。
 
 14日に山陽ミッドナイトで泉田修佑、18日に飯塚ミッドナイトで吉松優輝、19日に山陽ナイターで角翔太郎が優勝しており、33期生もまだまだ成長盛り。37期や36期の後輩たちからの突き上げに負けじと頑張っている。

 文/高橋

 

フレッシュ37期生 注目選手その3

2024年02月09日

 卒業生の話、第3弾は飯塚所属で、養成所・優秀賞を獲得した福岡鷹(ふくおかたか)選手と、SG4勝で一世を風靡した飯塚26期の田中茂を父に持つ田中崇太(たなかそうた)選手。

 まず名前に目が行く「福岡鷹」選手。福岡県出身で「鷹」といえば、プロ野球の福岡ソフトバンクホークス。記者が「ひょっとしてソフトバンクホークスのファンですか?」と尋ねると、「そうです。両親がホークスファンで(名前も)そこからです。自分もホークスファンで良く球場に観に行っていました」との事で、ある意味予想通りの答えが返ってきました。
 一方の田中崇太選手の見た目はちょっとがっちりした体型。父の田中茂選手も細マッチョなキン肉マンで、その点は似ているかもしれません。


福岡鷹選手インタビュー

「選手を目指したきっかけは、オートレーサーの知り合いがいて、飯塚の高宗選手と父が知り合いで、高宗選手を見てかっこいいし、モータースポーツが大好きだったので。でも、バイクは乗ったことがない全くの素人でした。養成所生活は早寝、早起きが辛かったけど、乗る時は楽しかった。競走車で風を切る感じが好きでした。前職は大学を3年で辞めて、車の整備の手伝いをしていました。なので、整備は大好きです。デビューから当面の目標は、実地訓練でハネがあるので、ハネをなくす事と、フォームを固める事だと思っています。競走車名(ペアー)の由来は、梨が好きだからです」

※福岡鷹選手は1月13日に飯塚オート5Rでデビュー。試走37秒、上がり3秒455で後続を離してデビュー初勝利を飾ると、2日目、3日目と連勝、特に3日目には上がりタイム3秒397とデビュー直後の新人としては異例の傑出したタイムを叩き出し、大器を予感させました。ちなみに前36期の栗原佳祐はデビュー3走目で試走32秒、上がり3秒403を出しています。
 2月2日現在、連勝は続いておりデビュー7連勝中。敵地山陽でいきなり初準決へ進出。濡れ走路で敗れたが、最終日に好タイムで逃げ切り。9戦8勝とオートレース界に新たな風を吹き込んでおり、近い将来、世代交代の波をおこせる予感をさせる選手です。


田中崇太選手インタビュー

「選手を目指したきっかけは、父の影響です。世界で一番尊敬しているのが父なので。そんなかっこいい男に自分もなりたいと思いました。養成所での生活は想像以上にきつかったけど、同期と仲良くてその面は楽しかったです。訓練中にケガがあって乗れない時があった時も同期に救われました。卒業に関して父からは「おめでとう!頑張れよ」と言われました。デビュー戦の目標は初勝利。大きな目標はSGレーサーになりたいです。競走車名(トゥモロー)の由来は、知人の名前に明日がつくのでつけさせてもらいました」との事。

※田中崇太選手は1月17日に山陽オート2Rでデビュー。試走49秒、上がり3秒519で5着とデビュー戦を勝利で飾る事は出来ませんでしたが、父・茂選手を彷彿させるガッツ溢れる走りで、頑張っていました。その後、3着、2着と初勝利に一歩届かず、2節目は初日に身体不調で欠場しましたが、2月2日の山陽オート4Rで試走40秒、上がり3秒458で逃げ切り、デビュー初勝利を見事に飾りました。偉大な父の背中を追ってデビューした田中崇太選手。父の境地にたどり着くには相当な努力が必要でしょうが、長い目で見守っていきたい選手です。

文/金子

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■福岡鷹選手のプロフィール・成績

■福岡鷹選手のデビュー戦結果

■田中崇太選手のプロフィール・成績

■田中崇太選手のデビュー戦結果

 

フレッシュ37期生 注目選手その2

2024年02月02日

 37期卒業生の話、第2弾は浜松所属となった、北市唯(きたいちゆい)選手と森下輝(もりしたひかる)選手。女子選手の北市選手は、オートレーサー初の北海道出身で19才。ロードレースの経験者です。森下選手はモトクロス経験者で、スズキのテストライダーも務めたとの事。森下選手は、養成所で優秀賞を受賞しています。24才。

北市唯選手インタビュー

「選手を目指したきっかけは、元々ロードレースをしていたんですけど、サーキット場に「オートレーサー募集」のチラシが置いてあったので応募しました。高校2年の時には選手の試験があったのは知っていたんですけど、ロードのレースの日とかぶっていたりして受けられず、高校3年の時に試験を受けました。養成所に入ってみてから乗ったオートレースのバイクは、ロードとは全く別物で、慣れるのに凄く苦労しました。デビュー戦は6周回、失敗とかなく、安全に走れるようにしたいです。でも、気持ちは誰よりも速く走りたいと思っています。競走車名は北海道の子ということで「ドサンコ」にしました」

※北市選手は1月15日に浜松オートで4Rでデビュー。デビュー戦は、試走3秒42、上がり3秒542で6着でした。2日目は試走3秒41、上がり3秒523で3着と、2走目にして掲示板(1~3着以内)に載る活躍を見せました。3走目は試走3秒39、上がり3秒513で5着。最終日となった3走目は人気に推されるも、ファンの期待に応えることはできませんでした。
 しかし、さすがロードレース経験者。デビュー節での初勝利はならなかったものの、3日目に試走3秒39を出すなど、これまでの女子レーサーと比べても素質は十分。今後の活躍が大いに期待できそうです。

森下輝選手インタビュー

「(選手を目指した)きっかけは、小さい時からバイクに携わっていたんですが、モトクロスをやっていて、元々知り合いだった36期の吉林選手(モトクロス出身)が選手になったのを見て、自分も試験を受けてみようと思いました。養成所での生活は、携帯もないし最初は牢屋か監獄に入れられたようでした。でも、1ヵ月くらいで同期とかと話せて慣れました。訓練はキツいけど楽しかったです。同期と仲が良かったですね。デビュー戦は3日間とも1着を取って、連勝を伸ばしたいです。(どんな選手になりたいかは)目標は、佐藤摩弥選手です。佐藤摩弥選手もモトクロスをやっていて、女子ですが、トップで活躍しているのでそういう選手になりたいです。競走車名は「LE・セラ」です。K-POPのグループ名です」

※森下輝選手も1月15日に浜松オート6Rでデビュー。試走3秒36、上がり3秒439で後続をぶっちぎりデビュー戦で初勝利。2日目も試走3秒35、上がり3秒442で1着。3日目も試走3秒34、上がり3秒435で1着と「宣言通り」デビュー節で無傷の3連勝を飾り、早くも大器の片りんを見せてくれました。
 浜松には、新鋭選手として規格外のスキルをもつ、36期の栗原佳祐選手もいますが、また一人楽しみな選手が加わりました。

 北市選手、森下選手の次回出場予定は、2月16日~2月18日の浜松開催となります。両選手の走りにぜひご注目下さい。

 次回の37期生卒業式コラムは、飯塚所属の福岡鷹選手と山陽所属の田中崇太選手の予定です。

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■北市唯選手のプロフィール・成績

■北市唯選手のデビュー戦結果

■森下輝選手のプロフィール・成績

■森下輝選手のデビュー戦結果

 

フレッシュ37期生 注目選手その1

2024年01月26日

オートレース第37期生 卒業式の話①

 2024年1月9日(火)に、茨城県・つくばサーキット内にあるオートレース選手養成所で、オートレース第37期生の卒業式が行われました。

 コロナの影響で34期以来、報道陣に取材許可が出て、久しぶりの卒業式の取材となりました。
 今回卒業した37期生は12名。年齢が19歳から24歳と近く、卒業式後の写真撮影では、今までの期と比べてもかなり和気あいあいとして仲の良さが感じられました。川口所属となった山口航太選手は「自分たちの期は本当に仲がいいので、37期は最強の期と呼ばれるように頑張ろう」と誓いあったそう。

 そんな37期生の中、養成所で最優秀賞を獲得したのは、伊勢崎所属になった、浅倉樹良(あさくらじゅらん)選手。
 身長158㎝ 体重50.6㎏とオートレース選手として、大成を予感させる小柄な体格。そして、ひと際、目をひくのは眼鏡をかけている事。前回の36期選手募集から、「矯正視力で1.0以上」でもOKとなったのは、浅倉選手には追い風になったかもしれない。

 これまでデビュー当初から眼鏡を使用している選手はいなかったが、養成所・最優秀賞を受賞した浅倉選手の活躍を見て、視力の関係でオートレーサーを諦めようと思った方にも、励みや目標になったのではないでしょうか。

浅倉樹良選手インタビュー

「選手を目指したきっかけは、小さいころにポケバイに乗っていて、そこからロードレースを色々やっている中で、オートレースで稼ぎたいと思って申し込みました。レーサーの方で憧れているのは、川口の中村雅人選手です。6周使って捌いたりする、自分のレーススタイルを持っている中村選手のレース展開が好きです。養成所での訓練は毎日楽しくて、バイクに乗れる事が嬉しかったです。夢は、誰も成し遂げていないスーパースター6連覇です。そこを目指して強い選手になりたいです。デビュー戦からオート業界を盛り上げられる様に頑張ります」

 浅倉選手の卒業検定タイムは(6周の平均)3秒37。このタイムは、現在業界トップの青山周平選手(31期・伊勢崎)が計時した養成所での検定タイムと一緒であり、申しぶんない実力を要していると思われます。
 
 オートレースの新人デビューの際には「師匠」と呼ばれる、「指導員」「指導員補助」が付きます。浅倉選手の師匠は、伊勢崎所属25期の竹本修選手。竹本修選手とそのグループの選手達に指導を受け、未来のトップレーサーを目指す戦いが、すでに始まっています。

浅倉選手のデビュー日は1月25日(木)伊勢崎オート。出走レース番組は未定。
                          
                           その2へ続く...おたのしみに

文/金子

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■山口航太選手のプロフィール・成績

■山口航太選手のデビュー戦結果

■浅倉樹良選手のプロフィール・成績

■浅倉樹良選手のデビュー戦結果

 

試走のチェックポイント

2024年01月19日

  
 オートレースの予想にあたって、大事な要素になる一つが試走。1周回ってタイムを計測し、100メートルあたりを何秒で走ったのかが公開される。タイムだけを見ればどの選手が速く走れているかは分かるのだが、実際に走っている様子でどこを見ればいいのか。人によって重要視するポイントは違うが、そのポイントをいくつか挙げていく。
 
車間距離 
 まず一番分かりやすいのは車間距離。試走の入り口からゴールまでの間に、前を走る車よりも距離が縮まれば、その車は少なくとも前を走る車よりはエンジンが出ていると判断できる。8車一斉に走る試走で、その全体を見てどの車が前との差を詰めているかを一度に把握するのは経験がいるが、気になる1、2車だけに注意を払えば状況を掴みやすい。試走が始まる前の段階で勝ちそうな車をある程度想定し、試走で前後の車との距離の変動を見る。この方法だとよく分かる。だんだん慣れてきたら全体を見渡すような見方にシフトできればいい。それともう一つ、前を走る車との距離が近すぎると自分の走りたいところが走れなくなり、本来、走りたいところを走れていた時よりもタイムが出にくくなる。実質的にエンジンはタイム以上に良いとみていい。
 
コース取り
 次はコース取り。基本的に大きなコースを回った方がスピードに乗るし、タイムも出やすい(もちろん、しっかりとグリップを開けて回れていることが条件にはなるが)。逆に小さいコース取りになると、立ち上がりでスピードが乗らずタイムは出にくくなる傾向がある。そのため、試走タイムの数値は良くなくても、小さいコースを回った選手は数値以上の走りをレースでできる可能性がある。
 
試走の入り方
 コース取りとも関わってくることだが、試走の入り方も試走を見るポイントとしては大事。試走は助走を付けてゴール線を通過し、1周回って再びゴール線を過ぎるまでのタイムが計測される。試走の入り方で内線に近い方のゴール線を通過した場合は当然、コース取りは小さくなるのでタイムが出にくくなる。逆に外線に近い方のゴール線を通過して試走を始めた場合は、コースを大きく回れるので2コーナーの立ち上がりでのスピードの乗りが良くなる。
 
4コーナーを立ち上がってからのコース取り
 4コーナーを立ち上がってからのコース取りも選手によって違うので、試走での良し悪しを見極めるポイントになる。立ち上がってから外線の方に向かってグリップを開けていくようならタイムは出やすくなる。外線の方に向かわず、レースで走る時と同じようなライン取りならタイムは出にくくなる。
 
タイヤが滑っているかどうか
 試走で1周する間にタイヤが滑っているかどうかも気にして見てみたいポイント。特に立ち上がりや、コーナーに突っ込むあたりでひと滑りしているようならタイムは出ない。ただし、この判断は難しい。タイヤの選定ミスや、セッティングが合っていなくて滑りにつながっているならタイム通りの仕上がりとみていいが、ただ単に乗り手の操縦ミスならエンジンはタイムほど悪くないことになる。試走で滑りがあった影響でタイムが出ず、オッズ的に人気になっていないようならあえて狙ってみる、という手もある。
 
 オートレースの試走タイムはオッズの変動に大きな影響を与える。ただ、その数字自体を自分自身でどう取り扱うかによって高配当を狙えるチャンスが広がってくる。試走タイムが出ていない選手にそれなりの理由がありそうなら、その選手から買ってみると高配当をゲットできるかも。

(文・高橋)

 

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