6月のニュース
2024年07月19日
2024年6月13日、オートレース界で偉業達成のニュースが飛び込んできた。伊勢崎所属の15期・岩田行雄が通算1600勝を達成した。これは史上3人目となる大記録。これまでに1600勝を越えているのは、小林啓二(山陽所属の元オートレーサー)の1636勝と、高橋貢(伊勢崎所属22期)の1651勝(6月13日時点)。
1977年にデビューした岩田は現在、選手として47年目を迎える。SGは1989年に全日本選抜オートレースで初めて制し、1991年の日本選手権、1993年のオールスターと3回の優勝を誇る。G1は実に18回、G2は8回の優勝があり、さまざまなタイトルを獲得している。記録の面でも十分な実績を残しているが、記憶の面でもその走りは印象深い。常に全力投球でレースに臨み、整備に関しても妥協を許さない姿勢を貫いている。納得いくエンジン状態になるまで整備の手を緩めない。それは、調整を何度も繰り返し、エンジンをかけにいって音を確認したり、それでも良くならなければ何度もエンジンをバラバラにしてパーツを入れ替える。パーツ交換後、すぐに仕上がらなくても、パーツが馴染んでくれば良くなりそうな感触をつかむ嗅覚にも優れている。そうして万全の状態でレースに行く前には、体調面を整えるためのストレッチを欠かさない。エンジンだけではなく、乗り手の方も最高のパフォーマンスができるように準備に余念がない。
みなさんは岩田選手にどのような印象がありますか?
選手にはそれぞれ異名が付いていたりするが、岩田の場合はやはり『インファイター』や『闘将』がぴったりくる。レース中に前を走っている選手を抜けそうな時は必ずインに突っ込んでいく。車間的に差し切れないように見える場面でも仕掛けにいってくれるスタイルは、車券を持っている側からしたらとても頼もしい。ファンからの人気が高い理由がうかがえる。こうして積み重ねていった勝ち星。これからもまだまだその数字は伸びていくことだろう。
岩田は現在67歳だが、それより10歳以上も年が上で奮闘している選手がいる。鈴木章夫(浜松所属2期)だ。鈴木章夫は現在77歳だが、6月29日に伊勢崎で白星を挙げ、自身が持つ公営競技最高齢記録を塗り替えた。これまでに何度も塗り替えているし、選手として走っている以上はこれからもその機会が訪れる。最近は新人2級車が驚異的な走りを見せ、オートレース界をにぎわせているが、高齢の選手もまだまだ熱い走りを展開している。新旧の選手が織り交ざり、ファンの心を揺さぶるようなレースが繰り広げられる。オートレースの魅力の一つは、この年齢層の幅広い選手たちによる戦い。次はどんなドラマが待っているのか。車券を買いながら生観戦、もしくはネット中継の画面にかぶりつきたい。
文/高橋