チェックポイント《手前の良さ》

2024年09月27日

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 以前に私がベテランのS選手に取材をしていた際に、「S選手のエンジンが調子がいい時は試走でどこを見ればいいですか?」と聞いたところ「自分の場合は手前がいいかどうか、立ち上がりで膨らんでいっていないか、がポイントだよ」と教えてくれました。

 S選手の言う「手前」とは、コーナーの中間から出口にかけての場所、俗に言う「2コーナー」と「4コーナー」付近になります。ただ、試走を見て手前がいいかどうか、判断するのはかなり難しく、VTRを何度か見直してようやく分かるか、といった感じで微妙です。

 最近の中で「手前」の動きが分かりやすい映像としては、川口オートや飯塚オートの中継で4コーナーの立ち上がりだけを映した映像がいいですね。


 また別の日に、今度はA選手に「手前」に関する質問してみました。
 
質問内容は「手前がいいと人を抜きやすいのか」「試走タイムが出ているのに人を抜けないのはどういう状況なのか」と聞きました。

【A選手の見解】

1、「立ち上がりで外を向いている車は手前の力がない」

 ※これは、手前の力がないとトルク感がなく、そのままインコースを小さく立ち上がると失速気味になって、逆に前に離されてしまうという。そのため、外に向けて勢いを殺さないように走るしかなくなっている、という事らしい。

2、「力がないから外へ行く。レースは人に合わせるので回転数が落ちるが、手前がないと回転がついてこない」

 ※ハンデ戦などで相手を追い抜く時には、ひとりで走る試走と違い、相手に合わせて回転を一旦落としながらも切り返したり、捲りに行ったりするのだが、手前がないと1度回転が落ちてしまった際に、回転がなかなか上がってこないので結果的にロスをしてしまう。

3、「(立ち上がりを)フワッと走っているのは止まりが甘い、立ち上がりの力がない」

 ※止まりが甘い、というのはエンジンブレーキが効きづらい状態で、自分の思った所で止まらず抜く体勢を作れない。また、前が混戦だと追突する恐れがあるため、車群のない外を回るか、早めにアクセルグリップを戻すか、という対応に迫られる。結果的に毎コーナー人を抜けない状態に陥る。

4、「試走が出やすいのは先があって手前がない(事が多い)」

 ※先がある、というのは直線からコーナー入口にかけて伸びて行く状態。ただ、手前がないと人を抜く態勢を作れず、結果的に試走タイムは出ていても抜けない事につながる。

5、「手前の力があると小さく立ち上がっても進んでくれる」

 ※手前の力がある、すなわちトルク感がある状態だと、小さく立ち上がっても、回転が落ちずに直線の伸びにつながり、人を抜きやすくなる。いわゆるレース足がある状態となる。
  

 結論として、試走の見た目も、選手のコメント的にもかなり「手前の良さが大事」と言え、車券作戦のポイントとして注目してみて下さいね。


文/金子

 

8月の出来事

2024年09月20日

 8月の出来事
 
 川口オートは1節しか開催されなかったが、ここでは岡谷美由紀が優勝。岡谷は2022年11月10日の浜松でのレースを走った後、長期の休養に入っていた。約1年半、競走から遠ざかっていたが今年の6月に戦線復帰。その初節でいきなり優出を果たした。長期欠場が続いていたのでレース勘の面で一抹の不安はあったが、完全に払拭してみせた。そこからも上位着を取り続け、ついに8月の川口開催で優勝を決めた。
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 8月に行われたSGはオートレースグランプリ。青山周平にとっては地元開催となったが、初日からオール1着の完全優勝で幕を閉じた。さらに、このオートレースグランプリでは初となる3連覇達成で5度目の優勝。SGは通算で17V。これはSG優勝回数で単独の2位。今の青山周平なら、これからもSGで優勝できるだろうからこの数字はもっと増えるはず。伊勢崎オートは、次のアフター5ナイターで三浦康平が優勝。三浦康平は今年2度目の優勝となった。8月末の開催では高橋貢が優勝。4日間の日程で、全て重走路だったがオール1着の完全優勝だった。今年は3V。通算優勝回数は218となった。この数字を越える選手はなかなか現れないだろう。
 
 この8月に初優勝を決めた選手は2人。丹下昂紀中村颯斗だ。丹下は8月9日の山陽ミッドナイトレースで達成。今年1月にデビューしてからはなかなか思うような走りができないでいたが、良走路では5月に初勝利を挙げ、7月に入ったあたりから徐々に成績が上向いていた。7月20日からの開催で初優出を決めると、いきなり準優勝。そして、8月6日からの開催では2日目から3連勝で初優勝を達成。今のところ2優出して全て連対している。中村颯斗は2021年12月にデビューしてから重走路では1着を取っていたが、良走路での初勝利は2022年の10月で、約11ヶ月の月日を要した。2024年に入ってからは、ちょこちょこ優出する場面が増え、8月19日の飯塚開催で待ちに待った初優勝を遂げた。これからはさらに自信を持ってレースに臨めるだろう。
 
 8月21日の山陽ミッドナイトレースと27日の山陽ミッドナイトレースで連続優勝したのは地元の丸山智史。今年は9優出中、2回の優勝。まずまずの成績と言えるが、丸山智史はこれまでにG1とG2を1回ずつ制しているように走力は確かなモノを持っているので、今後は記念レースでの活躍にも期待したい。
 
 8月の記念は先述のオートレースグランプリの他に、飯塚でG1ダイヤモンドレースが行われた。ここで優勝したのは小林瑞季。この優勝戦には青山周平鈴木圭一郎、それに地元の有吉辰也荒尾聡などそうそうたるメンバーでの競走になったが、小林瑞季はこのプレッシャーをはねのけて栄冠を勝ち取ってみせた。小林瑞季は通算9Vの内、G1が3つある。どちらかと言うと、大きな大会などで相手が強くなるほど本人の能力を最大限出せるタイプと言えるかもしれない。次はSGでの初優勝が視野に入っているか。

文/高橋

 

オートレースのルールについて 2

2024年09月13日

 前回、触れられなかったオートのルールを紹介
 
 レース中にそこそこ取られることがあるのが反則妨害。これは競争中、他車に対して不利を与えた場合に取られる反則。この反則をしてしまうとその節での勝ち上がり権利が消失してしまう。更に不利を受けた選手が落車すると、翌日罰則休の対象となり翌日のレースに出走できなくなる。競争をしている選手は誰一人、反則などしたくないのだが勝負どころやどうしても引くに引けない場面でこういったシーンが見られることがある。不利を与えた程度が大きくない場合は戒告となり、反則には至らないケースもある。ただし、この戒告も6回出場中2回取られると、反則妨害をした時と同様に勝ち上がり権利がなくなる。
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 スタートに関する反則でフライングは前回述べたが、他にも後方スタート出残りというものがある。後方スタートは、スタートする時に補助線と呼ばれるラインに接地しないで、しかも、大時計の針が0を指す前にスタートしてしまうこと。普段よりも助走の距離が少しだけ多くなるので、加速しやすい状況になり、公正ではない競争になってしまう。スタート後に他車より少しでも有利な態勢を作りたくて気持ちが前のめりになってしまう場合や、うっかりしていた場合など原因はさまざま。この場合も翌日のレースに出走できなくなる。もう一つあるのが出残り。これは大時計の針が0を指したのにもかかわらず発走しない場合、もしくはスタート直後に停止してしまうこと。この場合はフライングと同様に再発走となり、当該選手は勝ち上がり権利がなくなる。
 
 まれに見られる反則で周回誤認というものがある。通常のレースは6周で決着をつけるが、5周目を回った段階でゴールしたと勘違いし、競争から離脱してしまうこと。番手を大きく落としてしまう可能性が高く、上位着争いに加わっていたのに着外でゴールを迎えることも少なくない。的中になりそうな車券を持っている側からすると大きな損失となるので重罰となる。その節は翌日から参加解除、更に次節とその次の節も出場規制となる。
 
 同じくらい罰が重いものにタイムアップがある。これは良走路においての競争で、試走タイムよりも競争タイムの方が良く、更に3着以内で入線した場合。試走タイムはスピードが乗った状態から計測するのに対し、競争タイムは停止した状態から計測するので、通常なら競争タイムの方が良くなることは考えづらい。しかし、試走が極端にうまく走れなかった場合に当てはまってしまうことがある。この罰は翌日から参加解除、更に次節も出場規制となる。
 
 次に欠車停止。欠車は体調不良や車体不良により試走に参加できず当然、競争にも出場できない場合。停止は試走には参加したものの、その後に何か不具合があり競争に出場できない場合。たまにあるのがパンク。試走は普通に走れたものの、その後、徐々にタイヤの空気が抜けていきレースができない状態になってしまうことがある。欠車も停止も勝ち上がり権利は消失してしまう。もっとも、体調不良で欠車の場合はそのまま参加解除になるケースが多い。

文/高橋 
 

 

ロードオブ ザ スーパースター2024(途中経過)

2024年09月06日

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  オートレーサーになったら『日本選手権』を獲ることがステータス。だが、『スーパースター』が新設されてから、さらに年末に固定されてからはこの大会で優勝して1年をしめることが誇りになった。最初は一番勝負で、徐々に予選⇒トライアルと勝ち上がり方式が確立されていった。


 2024年末の集大成『SG第39回スーパースター王座決定戦』へトライアル出場選手16名は誰か? すでにSG優勝者(無条件出場)として、金子大輔(第37回全日本選抜オートレース・川口オート)、青山周平(第43回オールスター・飯塚オートと第28回オートレースグランプリ・伊勢崎オート)の2名は出場権利を獲得。

 SG優勝戦ポイント・プレミアムカップ優勝戦ポイントの上位者としては鈴木圭一郎が37点で断トツ第1位、次点は19点の有吉辰也、17点で佐藤摩弥。そのあとには黒川京介が14点、鈴木宏和が11点、荒尾聡は9点。6点で若井友和と中村杏亮が並んでいる。(得点は9月5日現在)9月19日~23日の『特別G1共同通信社杯プレミアムカップ』優勝選手は10点、以下2着8点、3着6点、4着5点(以下4・3・2・1点)ポイントが加算される。10月30日~11月4日には『SG第56回日本選手権』が川口オートで行われ、優勝選手は上記のSG優勝者へ追加され2着は10点、3着8点、4着7点(以下6・5・4・3点)となる。(ここでは責外・責任の得点は割愛)


 さらに各レース場の競走成績第1位5名が(2024年1月~10月までの競走成績)発表されてトライアル出場選手16名が決まる。例年SG優勝者あるいは優勝戦ポイント上位者と重複することが多く、おそらく伊勢崎の1位は青山周平で浜松の1位は鈴木圭一郎になるだろう。SG優勝者及びSG・プレミアムカップ優勝戦ポイントと重複した場合はポイントの枠がその分増える。ということは優勝戦ポイント10位くらいまで出場できる確率が高い。


【スーパースター歴代覇者】※平成7年(第9回)大会より平成12年(第14回)まで予選が行われ、平成16年(第19回)大会よりトライアル戦方式になりました。
第1回 桝崎正 第2回 且元滋紀 第3回 田代祐一 第4回 島田信廣 第5回 島田信廣 第6回 島田信廣 第7回 島田信廣 第8回 島田信廣 第9回 片平巧 第10回 片平巧 第11回 片平巧 第12回 片平巧 第13回 高橋貢 第14回 池田政和 第15回 片平巧 第16回 池田政和 第17回 岡部聡 第18回 池田政和 第19回 高橋貢 第20回 池田政和 第21回 田中茂 第22回 山田真弘 第23回 永井大介 第24回 高橋貢 第25回 中村雅人 第26回 浦田信輔 第27回 高橋貢 第28回 中村雅人 第29回 永井大介 第30回 青山周平 第31回 鈴木圭一郎 第32回 荒尾聡 第33回 永井大介 第34回 青山周平 第35回 青山周平 第36回 青山周平 第37回 鈴木圭一郎 第38回 青山周平


(文/中村)

 

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