ブチ走路は好配当の宝庫!?
2024年11月29日
オートレースの走路状況には「良走路」「湿走路」「斑(ブチ)走路」と種類があります。
その中でも特殊なのは「斑(ブチ)走路」です。
そんなブチ走路は2種類あります。
①良走路から雨が降り出して、表面がうっすら濡れてきた状態
②湿走路から雨が止んで路面が乾いてきて、まだら模様になってきた状態
①も②も試走の時とは急速に走路の状況が変わっているため、レースでは試走タイムからの予想とは異なる結果になりやすく、好配当や高額配当が出やすいイメージがあります。
走路状況は実際にレース場にいれば分かりやすいのですが、テレビ中継のみの場合は判断が難しい。
走行ラインがうっすらと白く乾いてきていればブチと判断できますが、走路の色が分からない場合は、コース内のアスファルト部分が濡れてテカテカしているかどうか、というのが一つの目安になるかもしれません。
では、好配当が出やすいブチ走路のレースを車券的にどうやって狙えば良いのか。一つの手としては試走タイムに関係なく「ブチ走路が得意」な選手を狙う、という事が思いつきます。
以前に、ブチが得意と思われる選手にお話を聞いたところ「多少のブチなら晴れと同じ気持ちでコーナーに突っ込んでいく」との事で、ブチ巧者の選手は滑りを恐れずに突っ込んで行けるメンタルと、滑っても対処できる技術を持っているのでしょう。
「ブチ走路が得意」と公言している選手が実際にいますし、公言していなくても、ブチになると明らかに成績が良くなる選手もいます。
ここからはあくまで主観となりますが、比較的ブチを得意としていると思われる選手をピックアップします。
【川口】上和田拓海 泉田修佑 加賀谷建明 佐藤励 篠崎実 長谷川啓 若井友和
【伊勢崎】岩田行雄 清水卓 高橋貢
【浜松】岩科鮮太 金子大輔 辰巳裕樹
【飯塚】佐藤裕児 篠原 睦 田中 茂 東小野正道 松尾隆広
【山陽】池田康範 緒方浩一 西久保英幸
と、パッと思いついたブチ巧者を挙げましたが、皆さんもこれからブチのレースでブチ巧者を発見したらアップデートしてください。
また、ブチ走路が不利になるのは2級車。走路はレースでの走行ラインから乾いて行く傾向が強いため、2級車の走るアウトコースがまだ濡れている事が多く、スピードが出しにくくなる。なかには例外もいるかも知れませんが、2級車はかなり厳しい戦いを強いられます。
走路状況で好配当を獲れるチャンスがありますので、特にブチ走路に変化した時は、注目して狙ってみて下さい。
文/金子
10月の出来事
2024年11月22日
10月14日、新記録のニュースが飛び込んできた。この日に行われていたG2若獅子杯争奪戦の最終日に鈴木圭一郎が1着でゴール。この勝利で今年の1着回数が98回となり、これまで青山周平が持っていた年間最多勝記録を更新した。この時点での出走回数は123。つまり、123走して1着が98回と、驚異的な1着率を叩き出していた。
その時の鈴木圭のコメントを一部抜粋。「自分が持っている(年間最多勝利数)94勝は144走以上走っていると思うけど、今年は120走ぐらいで98勝しているので早かったと思います。次節はしっかり勝ち上がって100勝できたら嬉しいと思います」。ちなみに、この節の若獅子杯争奪戦では3日目に落車妨害で勝ち上がり権利を失っていた。そして、次節となったSG日本選手権では初日から連勝決め、10月31日にオートレース史上初の年間100勝を達成。その時の鈴木圭のコメントは「100勝は嬉しい。だけど、開催日数も増えているので、そのうち抜かれますよ(笑)」。大記録樹立に素直に喜んでいたが、謙そんする気持ちも忘れていない。確かに、ミッドナイトレースなどの増加により、開催自体が多くなり全体的に以前より1年間の出走回数も増えているが、とはいえ年間100勝を越えるのはなかなか厳しいだろう。ましてや125走で100勝など異次元の勝率だ。これまでの年間最多勝記録は2023年に青山周平が打ち出した97勝。この記録は135走してのものなので、今年の鈴木圭の1着率は際立っている。更に「今年はできるところまで伸ばしていきたい」と語っており、11月以降も1着を量産している。
10月中の最初の優勝戦は、2日に行われた伊勢崎アフター5ナイターでのレース。ここで優勝したのは白次義孝だった。今年は春先から夏場にかけて苦しんでいたが、9月の中旬から上向いてきた。そして、10月の上旬に約2年ぶりとなる優勝を決めた。スピードが持ち味の白次はこれからの季節でこそ活躍が見込まれる。
同じく夏場はイマイチだった木村武之は、5日の山陽ナイターで優勝。その後の17日の川口でも優勝し連続Vを決めた。下旬から始まったSG日本選手権では2日目に反妨したが、その後の4走はオール1着。エンジン的には完全に復調していた。
20日の山陽ミッドナイトで優勝したのは落合巧。その後のSG日本選手権では苦戦を強いられたが、次の伊勢崎では準優勝していた。一時、伸び悩んでいる時期はあったが、ここにきて再成長の兆しが見えている。
16日の伊勢崎アフター5ナイターで優勝したのは佐久間健光。今年はおおむねエンジンが安定しており、その後の伊勢崎ナイターでも準優勝している。以前は課題に挙げられていたスタートも、だいぶ改善されている。同ハンに数車並んでいても枠ナリには出て行けている。
26日の山陽オーバーミッドナイトで優勝したのは長田恭徳。長田恭は今年最初の節で落車し、長期離脱を余儀なくされたが9月から戦線復帰。そこから5節目で早くも復帰後初Vで完全復活となった。
ちなみに、10月29日はオートレース発祥の日だった。1950年10月29日に千葉県船橋市にある船橋競馬場のコース内側で初めてオートレースが開催された。それから74年間、多くのオートレースファンを賑わすレジャーになっている。
文/高橋
川口勢のSG優勝は?
2024年11月15日
先のSG日本選手権は川口の若手・黒川京介の優勝で幕を閉じたが、川口勢のSG優勝は2020年に森且行が日本選手権を制して以来となる。久しぶりに川口にSGのタイトルを持ってきた黒川は立派。近5年のSG競争では青山周平と鈴木圭一郎のどちらかが優勝するケースが多く、先述の森の他では荒尾聡(飯塚)、金子大輔(浜松)、篠原睦(飯塚)が1回ずつ優勝している。
黒川はこの後もSG戦線で活躍できることを証明したが、他にも川口の若手の中に将来性を感じさせる選手はいる。まずは佐藤励。2021年にデビューした佐藤励は、ここまで順調な成長を見せている。デビューしてからは3連勝。デビュー後10走中、1着が8本といきなり鮮烈な印象を残した。その後もメキメキと力をつけていき、自身初優勝がなんとG2若獅子杯争奪戦だった。優勝戦は0ハンに2車並んだ外枠に置かれ、スタートこそ内枠の選手に行かれたが、1周目で先頭に立つと後続をブッチ切ってゴール線を駆け抜けた。2級車ながら試走29、上がり417のタイムをマーク。大器っぷりを結果で証明してみせた。G2若獅子杯争奪戦は2024年にも制しているし、G1も2023年に山陽のスピード王を獲っている。これまで通算で14回の優勝があり(2024年11月8日時点)、SGで優勝するだけの舞台は整っている。そのSGでのこれまでの実績はと言うと、初出場となる2023年の全日本選抜の初日にいきなり周回誤認の反則。そのまま参加解除になった。ある意味、大物感を残したが、その後のオールスターでは準決に進めなかったものの後半3日間は3連勝。続くオートレースグランプリでは初日から2着を3連続で取っていた。ここでもSGで十分通用する走力を見せつけた。今年に入ってからもSGのシリーズ中に上位着を取るシーンは多い。
佐藤励の1期先輩になる上和田拓海もポテンシャルは高い。デビュー戦から4連勝を決め、前評判の高さを結果で証明。勝ち上がり権利発生後3節目で初優勝を決めてみせた。2021年1月から1級車に乗り換わり、その節で5日間オール1着の完全優勝を達成。2021年のオールスターでSG初出場すると、初日にいきなりSG競走で白星を挙げた。そこから頭角を現しそうな気配はあったが、SGでの優出はまだないし、近況はやや伸び悩んでいる感じがなくもない。ただ、本人の潜在能力は確実にあるので、それを発揮するだけの起爆剤があれば、もうひと皮むけるだろう。
もはや若手とは呼べない域に入ってきている加賀谷建明も、SGタイトルを獲得できるだけの可能性を秘めている。2022年に一時休養する期間があり、戦線離脱していたが、復帰してからの活躍は見事だった。復帰戦となる飯塚のG1開設記念レースでいきなり優勝。これが初のG1タイトルとなった。続く浜松のG2オートレースメモリアルでも優勝し、記念レースで連続V。更にその後の地元では一般開催ながら4連勝で完全V。3節連続の優勝を決めていた。戦線復帰後は以前よりパワーアップした印象すらあった。現在では選手間でも雨巧者として高い評価を受けており、SGシリーズ中に雨が降ったり、優勝戦が重走路になるようなら悲願のSG初優勝も十分ある。
次に川口にSGタイトルを持ってくるのはどの選手か。
文/高橋
SG第39回スーパースター王座決定戦 トライアル戦出場選手16名発表!
2024年11月08日
今年の12/27~31に川口オートレース場で行われる『スーパースターフェスタ2024』。大みそかにスーパースター王座に輝くのは誰か? 下記のトライアル戦出場16名が11/4にJKAから発表された。各日11Rと12Rで8名ずつに分かれてトライアルが行われる。(枠番は未定)
【SG優勝者】
◎青山 周平 伊勢崎 31期 12大会連続12回目
第43回オールスター・オートレース(飯塚)
第28回オートレースグランプリ(伊勢崎)
伊勢崎競走成績第1位
◎黒川 京介 川口 33期 2大会連続3回目
第56回日本選手権オートレース(川口)
川口競走成績第1位
◎金子 大輔 浜松 29期 2大会連続15回目
第37回全日本選抜オートレース(川口)
※11/4の日本選手権(川口)優勝戦でフライングを犯しながらも、ついにSGホルダーの仲間入りを果たした黒川京介。昨年末のスーパースターは先行も青山周平に捌かれ3着と涙を飲んだが、今年はリベンジも可能なモチベーションと川口のニューヒーローとして恥じない成績を挙げている。SS3連覇の実績がある青山周平は昨年に続く連覇を狙う。金子大輔は3つめのSGタイトルとなるか、動向に注目したい。
【各場の競走成績1位】
浜松競走成績第1位 鈴木圭一郎 浜松 32期 10大会連続10回目
飯塚競走成績第1位 荒尾 聡 飯塚 27期 21大会連続21回目
山陽競走成績第1位 松尾 啓史 山陽 26期 3大会連続12回目
※今年まだSGタイトルないのが不思議な鈴木圭一郎。No.1ランキングに返り咲いて年間勝利数も100を有に超えており、勝って2024年を締めたい。荒尾聡は2017年にスーパースター獲ってる。今年の選手権では優勝戦6着と不本意だったが、飯塚のトップレーサーとして徐々に動きはピークへ進んでいる印象。松尾啓史はSG無冠ながら、後半の追い込みは鋭いモノがある。今回の選手権ではスタート切れてたので不気味だ。
【SG・プレミアムカップ優勝戦ポイント上位】
SG・プレミアムカップ優勝戦得点1位 鈴木 宏和 浜松 32期 2大会連続2回目
SG・プレミアムカップ優勝戦得点2位 有吉 辰也 飯塚 25期 5大会連続11回目
SG・プレミアムカップ優勝戦得点3位 佐藤 摩弥 川口 31期 2大会連続5回目
SG・プレミアムカップ優勝戦得点4位 中村 杏亮 飯塚 33期 初出場
SG・プレミアムカップ優勝戦得点5位 中村 雅人 川口 28期 18大会連続18回目
SG・プレミアムカップ優勝戦得点6位 長田 稚也 飯塚 34期 2大会連続2回目
SG・プレミアムカップ優勝戦得点7位 若井 友和 川口 25期 3大会ぶり9回目
SG・プレミアムカップ優勝戦得点8位 加賀谷建明 川口 27期 2大会ぶり3回目
SG・プレミアムカップ優勝戦得点9位 佐藤 貴也 浜松 29期 2大会連続9回目
SG・プレミアムカップ優勝戦得点10位 木村 武之 浜松 26期 2大会ぶり16回目
※オート界のさらなる発展へ佐藤摩弥のSG載冠が望まれるなか、現状はワンパンチ足りないか。鈴木宏和は記念タイトルに無縁なのが不思議な選手で、特に全国区を誇るスタート力は魅力タップリだ。有吉辰也は言わずもがな、大舞台での実績は抜群。スーパースター初優勝へ見せ場を作りたい。今年の選手権でジャンプアップしたのは中村杏亮。ガチの選手権優勝戦3着は自信となったに違いない。SS台風の目となるかも。長田稚也も同様に川口の走路には合ってる感じで、スピードにも対応できるが、課題はスタートか。勝負強さでは中村雅人・佐藤貴也・木村武之も存在感アピールできる。もし、天候が崩れるなら加賀谷建明にもSG初Vのチャンスが出る。若井友和は気持ちに見合う機力になれば...。
《2024年スーパースターガールズ王座決定戦出場選手》12/27の初日に実施(枠番とハンデは未定)
ガールズトライアル平均得点1位 新井日和 伊勢崎 35期
ガールズトライアル平均得点2位 西翔子 浜松 35期
ガールズトライアル平均得点3位 伊東玲衣 川口 35期 初出場
ガールズトライアル平均得点4位 高橋絵莉子 伊勢崎 33期
ガールズトライアル平均得点5位 藤本梨恵 伊勢崎 32期 前年ガールズ王座決定戦優勝
ガールズトライアル平均得点6位 三宅真央 山陽 36期 初出場
競走成績上位1位 松尾彩 山陽 34期
競走成績上位2位 小椋華恋 川口 35期 初出場
※佐藤摩弥はスーパースター王座決定戦トライアル戦に出場予定で、上記8名による争いとなる。この中では記念ホルダーの小椋華恋、新井日和や松尾彩が重ハンからの戦いで経験を積んでおり追い上げ十分。三宅真央は独走態勢に入ると手が付けられないので、アタマか着外の評価。藤本梨恵は昨年に続くガールズ王座連覇を狙う。
「2024年スーパースターガールズ王座決定戦」出場資格
①ガールズトライアル戦平均競走得点上位者 6名
②上記①を除く、開催年の1月1日から10月31日までの10カ月間の競走成績上位者2名
なお、補欠選手(2名)は、ガールズトライアル戦平均競走得点上位者の次順位選手とする
(文/中村)
なぜ速く走れる!?
2024年11月01日
速く走れる選手とそうでない選手は何が違うのか
基本的に同じメーカー、同じ排気量(新人としてデビューしてからの一定期間は排気量の少ない2級車に乗るルールはあるが)のエンジンで競争しているオートレース。試走タイムや上がりタイムに差が出るのは、どのような要因があるからなのだろうか。筆者なりに考察してみたい。
まずはエンジン作り。その日の天候などによりエンジンの回転数に変化が出るが、それを細かい調整で最高出力を出せるように取り組む。キャブレターの調整、電気位置(点火時期)の調整、カム位置の調整、バルブスプリング(通称バネ)の調整などいろいろ扱える箇所がある。それが完全に合っている状態でもエンジンが上向かなければ、今度はパーツ交換などの整備に取り組む。簡単なところから言えばピストンリング(通称リング)の交換。他にもカムやキャブレターの交換、ヘッドの交換、シリンダーやピストンの交換、ロッドの交換、ケースやクランクの交換。これでもどうにもならなければ、エンジン本体の乗せ換えなどが行われる。エンジン状態の仕上がりの差は、試走タイムなどに大きく影響すると言っていい。
ただ、それよりももっと大事なのはグリップワークや乗り方ではないだろうか。オートレースの競争車はギアが2段階ある。スタートする時はローギアで、そこから数十メートル走った後はトップギアに入れる。その後はゴールするまでずっとトップギアのまま走ることになる。つまり、トップギアに入れてからはギアによるスピードの変化は起こらない。同じトップギアで走っている時にスピードの変化が起こるとしたら、グリップ開閉によるものとなる。スタートしてからゴールするまでの間、少しでもグリップを開けている時間が長い方がスピードに乗って走れていると言える。
↓右足を乗せるステップの少し上にあるのがギア変動を行うチェンジレバー
速いスピードで走れている選手は、コーナーの立ち上がりで早くグリップが開くし、コーナーに突っ込んで行く際、グリップを絞り始めるタイミングが遅い(少しでもスピードを落とさずコーナーに入っていく)。ただ、スピードに乗ったままコーナーを回ろうとすると、そうでない場合と比べて遠心力が大きくなる。つまり、コーナーの途中で車が外へ流れてしまうのが物理の法則。ここで大事なのが車のコントロール。車の乗り方や寝かせ方となるのだが、S級選手になるとこの技術が高い傾向がある。スピードに乗ったままコーナーを回っても、大きく流れることなく車の向きを変えて立ち上がり、直線を迎えられることになる。ここに各選手の技量が表れるのではないだろうか。
言葉で言うのは簡単だが、このグリップワークと車のコントロールがスピードの差、そしてタイムの差につながっていると思われる。オートレースの直線距離は想像以上に短い。コーナーをどれだけ減速せずに回れるかが、速く走れるかどうかの大きなカギとなってくる。
文/高橋