6月のMVP等
2025年07月25日
6月に入ってからすぐに行われた記念開催の優勝戦は、山陽のG2ミッドナイトチャンピオンカップ。ここでは川口の黒川京介が優勝した。黒川京介は今年3月に行われたG2ミッドナイトでも優勝しており、同大会連覇となった。3月の優勝戦は良走路だったが、6月の優勝戦は重走路。どちらのレースも大外枠から好スタートを決めると、道中も落ち着いた走りで先頭まで浮上してみせた。ここ一番でのスタートの切れ味は抜群で、全選手から恐れられている。レース運びの方も安心して見ていられるようになった。黒川は29日に行われた浜松G2の優勝戦も制している。このレースでは黒川京介の外枠に鈴木圭一郎と青山周平が控えていたが、しっかりとスタートで先行し、わずか2周半で先頭に立つ速攻劇。2周を回ったホームストレッチでは鈴木圭一郎にインを狙われかけたが、グリップを開け足して封じ込み、レース運びの巧さも披露した。終わってみれば鈴木圭一郎や青山周平を大きく引き離す圧勝だった。6月のMVPは文句なしに黒川京介で異論はないだろう。
↑渡辺篤選手
6月にはもう一つ記念開催が行われた。伊勢崎のG2稲妻賞だ。ここでは浜松の渡辺篤が記念タイトル初獲得を決めた。この時、渡辺篤は48歳。オートレースの世界で記念レース初優勝となるとかなり高齢の部類になるが、伊勢崎の鈴木幸治が51歳で記念レース初優勝を決めているように、決して不可能な年齢ではない。昨年、本人にお話を聞いたときには、当面の目標として記念タイトルを獲ることを挙げていた。デビューしてから記念レースの優勝戦には23回乗っていたが、最高位は準優勝までだった。それが24回目のチャレンジにして初の栄冠となった。この結果は本人にとって大きな糧になるだろう。今後のG1、SG開催での躍進があるかもしれない。6月のMVPとまではいかなくても、それに準ずる価値のあるものと言える。
6月に入ってから一番初めに行われた優勝戦は川口の昼間一般開催。ここでは地元の佐藤摩弥が優勝した。佐藤摩弥は今年に入ってから9回目の優出にして今年の初優勝となった。ただ、それまでの優出にはSGやG1なども含まれているので、悪い状態が長く続いていたというわけではない。優勝後も優出を重ね、上位着を取り続けている。
6月の優勝者で最も若い期なのは36期の石田啓貴。20日に行われた浜松の昼間一般開催の優勝戦で結果を出した。このレースでは0ハン単騎に置かれたものの、20線には鈴木圭一郎をはじめ、佐藤貴也、伊藤信夫、木村武之などそうそうたる顔ぶれが揃った。しかし、レースではスタートでしっかりとハンデ差を保って発進し、猛追撃してきた鈴木圭一郎を振り切り、見事に自身3度目の優勝となった。その後はハンデが重化し、最重ハンの10メートル前になり、現在まで苦戦が続いている。それでも若手の部類なので成長の余地は大きい。これを克服して更に選手としてパワーアップするだろう。
文/高橋
38期19名の成長日記
2025年07月18日
デビューから半年が過ぎ、熱走路も体験した38期。各場に散らばった19名はフランチャイズでも、他場でも経験を積んでいる最中。
デイレース、ナイターにミッドナイトと異なる時間帯でいかに活躍できるか、師匠や同期にアドバイスをもらいながら、あるいは自分なりに考えて整備にレースに奮戦している。
川口の選手から見ていこう。
上原大輝は良走路43走で10勝、濡れ走路11走して2勝の合計12勝と38期の中では稼ぎ頭だ。養成所の最優秀選手だけあって、センスと車速を持ち合わせている。6月5日のナイトレースでは初めて優勝戦へ名を連ねた(結果は4着)。
続いては運天諒雅。デビュー2走目で初勝利を挙げ3節走って3勝とマズマズの滑り出しだった。ところが、3月15日に落車してしまい(植村に落車妨害)その後は濡れ走路で2着2回、良走路で2着1回と1着を取れてない。素質は悪くないだけに上昇のキッカケを掴めるかどうかだ。
3人目は染谷和香。デビュー2節目に落車し、その後は8着、7着が続き車券の対象になってない。初勝利が待ち遠しいが、6月以降は休場している。
伊勢崎の選手は2名配属。
佐々木光輝は41走して10勝と上原に続く勝ち星を挙げている。まだ、逃げる展開ながらペース掴むと後続を離せる力がある。川口遠征でも1着取っており、伸びしろはかなりありそうだ。
2人目は浜田樹来。41走して未勝利。伊勢崎で雨6着がベストの成績。良走路のタイムは3・5秒台を一度も出せてなく、6周しっかり回れるように精進していただきたい。
浜松の選手は坂本茉奈が養成所のケガでデビューが遅れてしまい初出走は6月3日の雨走路。結果は6着で以降8着が続いたが、7月5日に3・5秒台を出して2着と上昇の兆しを見せた。
鈴木景斗は50走して5勝だが、晴雨にかかわらず走れる印象。実際、良走路3勝で濡れ走路は2勝。2着も良走路で5回、濡れ走路で2回となかなかのもの。今後の活躍に期待が持てるひとりだ。
瀬戸尾侑宏は50走して1勝のみ。まだ、走りは確立しきれておらず、本当の実力は見せてないようだ。
宮司佳奈が4走で4勝と38期の女子選手としてはトップで全体的に見ても上位に位置する。3月28日に中村友和を振り切って初勝利。印象に残ったのは3勝目の4月21日。試走は再試走3・47と悪かったが、フタを開ければブッチ切りの勝利(上がり3・49で試走戒告)。試走より本番に強い印象で、ツボにハマると手が付けられない怖い選手。
脇川大樹は5月23日に4着があるが、37走して未勝利。勝ちたい気持ちとマシンが一体化すれば大化けあるのか。
飯塚選手は4名
竹尾竜星は32走で4勝と勝ち星は増えてないが、本場で1勝、川口・浜松・山陽でそれぞれ1勝とレース場に左右されない強みを持ち合わせてる。 ただ、そのうち3勝は濡れ走路。先日の7月11日に地元初勝利を良走路で挙げた。今後も期待できそう。
田中海斗は32走して最高位は5着と伸び悩んでる状態。現在80mのハンデをもらっており、後半のペースを保って初勝利を挙げたい
3人目は壷井亜羅汰。良走路では未勝利ながら濡れ走路で3勝と悪天候に強いレーサー。地元では良走路3着止まりだが、川口・浜松・山陽で2着があり良走路での初勝利も近いか。
地元の雨で1勝のみの藤井真弘だが、良走路で2着・3着が多く大きく崩れないのが持ち味。願わくば自力で勝利数を重ねて欲しい選手だ。
山陽には逸材がいる。
その選手の名は植村愛悠斗。養成所の優秀選手であり上原大輝にもヒケをとらない。現在6勝と全体では3番目タイの勝ち数。良走路で勝ったときは全て3・5秒を切っており速さも兼ね揃えてる。
藤本悠仁も6勝と健闘してる選手のひとりだ。飛びぬけたタイムや安定感はないが、節間に見せ場を作れる『何か』を持っており、十分車券の対象にはなり得る。
小川可蓮、小松俊輔、日名子幹正の3選手は未勝利ながら、近い将来に初勝利を飾れる雰囲気はあり、応援したい。
《38期・勝利数トップ5》※データは7月16日現在のもの
12勝...上原大輝
10勝...佐々木光輝
6勝...植村愛悠斗、藤本悠仁
5勝...鈴木景斗
4勝...竹尾竜星、宮司佳奈
(文/中村)
新品のタイヤがレースで使われるまで
2025年07月11日
オートレースのタイヤが、どのような流れで実際にレースで使用されるまでになるかを説明していきたい。
まず選手がタイヤを手に入れるには事前に購入意思を示しておかなければならない。新品のタイヤは部品庫に常時、保管されているわけではなく、これから作られるものを事前に購入予約しておく形式になっているからだ。そして、タイヤ注文表と呼ばれる紙に欲しい本数を記入する。タイヤ注文表はひと月ごとに一枚用意されている。例えば、今が7月だとしたら、9月の分、10月の分、11月の分などこれから来る月の分の購入予定本数を記入する。
タイヤには4桁の製造番号が刻印されている。前半の2桁は、その年の第何週かを表す数字で、後半の2桁は年を表す数字になる。例えば、1125と刻印されているタイヤならば2025年の第11週に製造されたものとなる。オートレースのファンの方ならすでにご存知のことと思われるが、タイヤは『当たり』、『ハズレ』が存在する。基本的にタイヤ工場では同じ材質、同じ工程でタイヤが作られるので同じ性能のものが仕上がるはずなのだが、作られる時期やその時の気象などの影響なのか性能に差が出るケースがほとんど。そして、選手たちはこれまでの経験から『当たり』が出やすい製造週のタイヤを多めに注文する傾向がある。近年では第50週目や51週目に製造されるタイヤが人気がある。タイヤ1本の値段は約1万円。なるべく『ハズレ』を引きたくはないので、タイヤ注文表に書き込まれる注文数は、月によって大きな差が出てくる。
そうして新品のタイヤを手に入れた選手は、レースで使えるようにするまでにいくつかの準備をする。新品のタイヤには、通称『いぼいぼ』と呼ばれる小さくて柔らかな突起物が付いている。これを『サンダー』と呼ばれる工具を使ってきれいに取り除いていく。その『サンダー』は個人の持ち物ではなく、タイヤを調整する部屋に置かれているので、選手たちはその部屋にタイヤを運んで作業に取りかかる。
↑タイヤ作業所
『いぼいぼ』が取れてきれいになったタイヤはすぐにレースで使えるわけではない。新品タイヤは溝(通称ヤマ)が深いため、良走路で使うには適していない。ある程度、ヤマを低くするために練習走行に出て、適度にすり減らす。こうして、ようやくレースで使える状態になる。ただし、重走路で走る場合はヤマが高い方が適しているため『いぼいぼ』を取り除いた状態のままレースで使用する。俗に言う雨タイヤとは、まだレースで使用されたことのないタイヤのことを言う。一度レースで使用するとヤマが低くなってしまうからだ。ごく稀に同じタイヤで重走路で2走する選手もいるが...。
レースで何度か使われたタイヤは、走路との摩擦のためヤマが低くなる。低くなりすぎると滑りにつながるので、タイヤの溝を作るために工具を使って溝を掘る作業も出てくる。それでも、良い状態で競争するために1本のタイヤでレースできるのは4~5走程度。よほど性能の良いタイヤだともっとレースで使用する場合もある。そうして、レースで使用することができなくなったタイヤは、タイヤ廃棄場に運んでいくことになる。これがオートレースで使われるタイヤの一連の流れである。
文/高橋
5月を振り返って
2025年07月04日
21日には自身初の10連勝を達成した黒川京介の表彰式が川口オートレース場で行われた。10連勝達成は2025年2月18日~22日(普通開催・川口)、2025年2月25日~28日(普通開催・川口)、2025年3月5日(G1開設73周年記念グランプリレース・川口)の間。5月21日はちょうど川口でG2川口記念が開催されていて、その初日だった。本人のコメントは「自己最高が5連勝だったので、今回達成できてうれしく思います。今開催は地元記念ですし、川口の選手を応援して下さるファンの方も多いと思うので、期待に応えられるように精一杯頑張ります」と述べた。そして、見事にこの記念レースで優勝し、有言実行を成し遂げてみせた。
5月に行われた記念レースは他に浜松でG1開場記念ゴールデンレースがあった。ここでは地元の鈴木圭一郎が優勝。この優勝戦は実力者の篠原睦と金子大輔が先行する厳しい展開になったが、鈴木圭がレース展開を冷静に状況判断し、試走一番時計の機力で抜け出した。
5月中に若手で目立ったのは福岡鷹。13日からの山陽ミッドナイト4日間開催で完全優勝すると、その後の21日からの山陽オーバーミッドナイト3日間開催でも完全優勝。その両方ともハンデ位置は最重ハンの20メートル前からの競争だったが、この連続優勝で更にハンデが重くなった。今は最重ハンの10メートル前に置かれているが、十分通用する走りを見せている。今年いっぱいは2級車での競争で、来年からは1級車に乗り換わる。その時、どこまでの走りを見せるのかは大いに興味あるが、2級車の内に記念タイトルを獲得する可能性もあるので楽しみは尽きない。
21日に引退選手のお知らせがあった。伊勢崎14期・内越忠徳が19日付けで引退。内越は元・船橋所属の選手として活躍し、優勝10回。1着は624本重ねた。記念タイトルは保持していないが、優出は何度かある。特徴としては鋭いスタートダッシュからの速攻が印象に残っている。スポーツへの関心が強かったようで車名にスポーツ関係の名称を付けることが多かった。最後に乗っていたエンジン『Mシフリン』は、アメリカのアルペンスキー選手、ミカエラ・シフリンが由来だと思われる。
28日には新しい選手登録の発表があった。浜松の新人38期・坂本茉奈選手である。訓練中の怪我のため選手登録が遅れていた。同期の38期は2025年1月のデビューなので、約五ヶ月遅れての初出走になった。ここまで(6月24日現在)2節で8走したが、今のところ思うような成績を残せていない。しかし、デビューしてからすぐに快進撃を開始する選手の方が稀なので、ここからじっくりと着実に力を付けていければと思う。車名である『ナットウ』のように粘り強く、しぶとく食らい付いて走力を増していきたい。ちなみに、師匠は31期の辰巳裕樹選手。スタート力が高いので、その部分の指導があるかも。
文/高橋
飯塚オート・新メインスタンドがオープン
2025年06月27日
昨年12月17日のGI開設記念(ナイター)最終日で有観客レースを終え、ミッドナイト開催は今年1月29日まで続いたが、あとは主に場外発売を行っていた飯塚オートレース場が令和4年からおよそ3年の月日を経て、6月21日のナイター開催から新しいメインスタンドに変貌を遂げ、お披露目となった。
今までは1Rの発走時刻は一般ナイター開催だと15:00なのだが、「スマートリレー」の試行期間ゆえに1R発走は16:25に変更された。そのナイター開催の1Rでいきなり3連単20万超える配当が飛び出し波乱の幕開けに!
それだけでは済まず、5Rでは3連単17万超えの配当(その間にも5万円台あり)。とどめは8Rに311万4160円の超弩級配当。これはオートレース史上5番目に高い配当となった。(ちなみに1位は2006年5月22日・伊勢崎12Rの1572万1720円)このあとは9R・10R・11Rと3連単3ケタ配当で固く決着。最終11R発走は20:50と通常より遅い時間。そして、この後にオーバーミットナイトが行われ山陽オートへ場所は移る。
一夜明けて飯塚オート2日目は6月22日。川口でデイレース初日が行われ最終11Rの発走は16:15。ここからリレーが始まり飯塚オートの1R発走は16:25と若干せわしない印象は受ける。今まではデイレースの9R~12Rとナイター1R~3Rの時間が重なっていたことを考えると、たしかに「スマート」にレースは移行してるようだ。飯塚ナイターが終わり山陽オーバーミッドの8R発走は24:30。
この日だけで川口デイレース1R...10:56~山陽オーバーミッドナイト8R...24:30、全レース参加すれば11R+11R+8R=じつに30Rになる。
6月23日にナイター3日間が終わると24日からミッドナイト連続開催の幕開け。ナイターで優勝した荒尾聡は不在だが、有吉辰也・篠原睦が優勝戦へ進出(25日現在)。ミッドナイトも11R制で行われ、1Rの発走は19:20。最終11Rは23:40だ。通常の飯塚ミッドナイトは8R制だったことを考えると3R分余計にオートを楽しめるのだが、1Rは薄暮の状態で正直「ミッドナイト」の雰囲気はない。レース数が増えるので売上的には上がるのだろうが、筆者個人の感想としては「ミッドナイト」は遅い時間帯でのレースがふさわしいのでは。
とにもかくにも試行開催「スマートリレー」は7月13日まで。凝縮した日程ゆえにお財布事情と照らし合わせながら、オートレースを楽しんでくださいね。
(文/中村)
【飯塚オートレース場メインスタンド施設概要】※JKA発表
〇オープン:令和 7 年 6 月 21 日(土)飯塚ナイター開催
〇構造:鉄骨造 3 階建(一部 4 階写真判定室)
〇延床面積:2,532.04 平方メートル
(1F 998.74 平方メートル、2F 902.47 平方メートル、3F 611.63 平方メートル、4F 19.20 平方メートル)
〇1F 無料スペース、発売ホール(モニター、投票機、授乳室、喫煙室を配置)
屋内ベンチ、屋外観覧席(300 席)
〇2F 有料観覧席
個人テーブル席:98 席 500 円
ペアシート席:54 席(27 シート×2 人) 1,000 円
グループ席:9 ブース(5 人程度) 2,000 円
ラウンジ席:2 室(8~10 人程度) 3,000 円
車いす席:3 席 500 円
〇3F 開催本部、審判室、番組編成室、集計センター、放送スタジオ等