試走路とは
2025年03月28日
各オートレース場には試走路と呼ばれる場所が設けられている。これはエンジンの細かい調整を施している選手たちが、その変化の具合を確認しにいくスペースである。レース前でもレース後でも自分の好きなタイミングでその場所に行ってかまわない。ここでエンジンの空ぶかしをして回転の上がり具合を耳で確認する。また、レース場によって形状は異なっているが、直線にして100メートルくらいは走れるので、実施に競走車にまたがって加速感を試したりする。
だいたいはロッカーの外に試走路があるのが一般的で、唯一、川口オートレース場だけは室内に設けられている。川口オートレース場はロッカーと宿舎が一体となっている大型の建物で、試走路も建物から外に出ることなく、建物内にそのスペースがある。となると、他のレース場とは違ってエンジン音の聞こえ方が多少変わってくる。屋外ならエンジン音が外へ向かって放出されるが、屋内だと壁があるので音がこもりやすく、他のレース場とは違って聞こえるようだ。普段から川口の試走路を使うことが多い川口所属の選手ならだいぶ慣れているが、遠征で川口にやって来る他のレース場所属の選手の中には川口の試走路ではエンジン音が確認しづらいといった声もたまに聞かれる。
↑川口オートレース場の試走路
もちろん開催中にはレースの合間に練習時間が設けられていて、競走路で練習走行もできる。ただ、これは時間が決められているので、ちょうどレースに出場する前後の選手はその練習に参加できない。また、夕方練習といって、その日の全てのレースが終わった後にも競走路で練習走行はできるが、そこでエンジンが思うような仕上がりになっていなかった選手は再びロッカーに戻ってエンジンの調整に入る。そこで夕方練習の時間が終わってしまうと、試走路でエンジン音の確認をすることになる。そのため、試走路は大事な場所となるのだ。
エンジンの調整にシビアな選手は自分のロッカーでいろいろ扱い、試走路でエンジンをかけるという作業を永遠と繰り返す。川口の試走路は先述のとおり、建物の中にあるため外からは見えないが、他のレース場なら位置によっては観客スタンドから試走路の一部を見ることができる。距離的にはだいぶ離れているので、本気で見るなら双眼鏡など遠くの物を見るための道具があった方がいいだろう。何度も試走路にやってきてエンジンをかけている選手は、自分の出番に向けて入念に仕上げにかかっているとみていい。もちろん、実際の競走までに思うような状態にならなかったり、すでに早い段階でその日の調整をやり終えている選手もいるので一概には言えないが、車券戦術の参考になるケースもなくはない。レースの結果を予想する上で最も大事なのは試走だと思われる。次に、前日までの成績やレース内容。しかし、その他にも予想を楽しむ上でさまざまなファクターがあるのがオートレース。まさに奥の深い競技と言える。
文/高橋