夏場の狙い
2024年06月21日
オートレースファンの間で定説になっている事柄はいくつかあるが、その内の一つ、夏場は軽ハンの選手を狙えという常識がある。確かに冬場よりは夏場の方が軽ハン勢の活躍が目立つのだが、そこにはどんな理由があるのか。今回の当ブログで考察していきたい。
夏は暑い。気温が高くなるので当然、走路の温度も高くなってくる。一般的に競争車のタイヤは走路の表面が冷えている時の方が食い付きが良くなる。逆に走路の表面が熱くなるとタイヤの食い付きが悪くなり、グリップを欠くことになる。各レース、みんな同じ気象状況で走っているので、条件は同じではないかという意見もある。ただ、オートレースの特徴であるハンデ戦では、この状況は逃げる側と追う側に大きな違いを生じさせる。
レース中は基本的に各選手は好きなコース取りで走りたいもので、一番前を走っている選手は好きなコースを走れる。後ろから追う側が1着になるためには前を走る選手を抜かなければならない。そして、インから抜く時は前を走る選手の内側に車を押し進めることになる。この時、タイヤに通常以上の負担がかかることになるが、タイヤが走路に食い付きのいい冬場ならそれも耐えられる。しかし、食い付きの悪い夏場だとグリップを失って車が外に流れかねない状況になる恐れがある。そのため、前を走る選手を抜きづらくなる。つまり、前から走る選手は抜かれづらくなるので軽ハンの選手を狙えとなる。
結論を言うと夏場は全選手のタイヤのグリップが悪くなるという条件は同じだが、追う側は人を抜く時にタイヤに負担をかける走りをしなければならないので不利になるということ。
これは走路温度が最も高くなる真夏の方が顕著にこの傾向が表れやすいかといえばそうでもない。もちろん走路温度が高ければ高いほどタイヤが食い付きにくくなるのだが、真夏になる頃には各選手、暑さ対策も多少取られるようになる。むしろ、冬場から夏場に移行する時期、特に夏に近づく6月ぐらいの方が、これまで食い付きの良かった体感とはズレが生じ、追い込みの効きづらさが目立つようになる。つまり、今の時期の方が軽ハン勢の連絡みが増え始める印象がある。そして、車券的にも軽ハンの選手は人気になりづらいので高配当をゲットできるチャンスが大きくなる。こういったことを踏まえて車券戦術を練るのも面白い。
車券の狙い方は一年通して同じではない。重走路やブチ走路でも車券の買い方は変わるし、走路温度の変化によっても狙い目は変わってくる。また、一日を通してでも同じではない。15時ごろが第1Rになるナイター開催では、まだ昼間の時間帯に行う前半のレースと、夜の時間帯になる後半レースで展開が変わってくるのはよくあること。これまで述べてきたことを考慮すると、ナイター開催の前半レースは軽ハン狙い、後半は追い込み重視でいいとなる。もちろん、競争をする選手たちには好不調があったり、走りに特徴があったりするので、それによってもレース展開は変わってくるという大前提はあるが...。
文/高橋