2023年度後期適用ランキングを考察
2023年12月12日
オートレースは毎年2回、全国ランクの変動がある。1月から6月までの採点期間に集計されたものが10月から半年間適用される。また、7月から12月まで採点されたものは翌年の4月から適用される。
今年も10月から2023年度後期ランクが適用されている。ランク上位者の簡単な評価を述べたい。
1位は鈴木圭一郎。2期ぶりに全国ランク1位に返り咲いた。2017年度前期から2019年度後期まで6期連続でナンバー1を維持していた時期もある鈴木圭。今回で8度目のランク最上位となった。採点期間にはSG全日本選抜とオールスターオートレースで優勝している。全53走中、1着が35本、2着8本、3着7本で4着以下が3回だけ。驚異の車券貢献度を誇っている。今年は8月中旬から1ヶ月半、戦線を離脱していたが、復帰してからもほぼ3着以内でまとめている。スタート、スピード、捌きのどれをとっても一流だ。
2位は青山周平。2019年度後期からは鈴木圭か青山のどちらかが1位と2位で占めている。前期の1位からは陥落してしまったが、実力的にはほぼ差はない。これまで鈴木圭と同じ8度、全国ランク1位になったことがある。今年はオートレースグランプリと日本選手権でSGを獲っており、変わらぬ充実っぷりを見せている。採点期間は全68走中、1着が39本、2着15本、3着7本で反則を含めた4着以下が7回だけ。安定感はケタ違いだ。
3位は金子大輔。前期の12位からは大幅アップ。金子は2012年度後期に一度、1位になっているが、今回の3位はそれに次ぐ好数値。レースでは落ち着いた走りで着実に番手を上げていくタイプ。レース運びも巧さは全国屈指だ。記念タイトルからは5年ほど遠ざかっているが、いつ大舞台で優勝してもおかしくない技術は保っている。
4位は佐藤貴也。前期の8位からはアップしている。過去最高ランクは2018年度後期の2位。浜松29期として金子と切磋琢磨し、共に総合力を高めつつ成長している。大きな武器はスタートとイン強攻。同ハンに数車並んだ外枠からでも先行するケースは多いし、レース道中が大渋滞になっていても、その内側に切り込んでいける精神力の強さがある。
5位は中村雅人。過去に2度、1位になっているが、ここ数年はこの近辺で軽い上下動を続けている。ある意味、安定した成績を残せているといえるが、最も走りがキレていた時と比べると最近はややおとなしい。一対一での絶対的な強さを誇っていた時の動きが出れば、SG戦でも優勝争いに参加できる。
6位は佐藤摩弥。前期は14位だったが、今期はS級ひと桁にランクアップした。今年は地元のGⅠキューポラ杯でGⅠ初制覇を達成した。以前はスタート力の高さに目がいっていたが、今はスピードも捌きもトップクラスのモノになっている。女子初のSGレーサー誕生となる日も遠くないか。
7位は高橋貢。前期の4位からはダウンしているが、S級シングルを保っているのは流石。通算SG21Vはブッチ切りの歴代最高記録。整備力にも定評があり、ここ一番の大事な場面ではしっかりとエンジンを仕上げてくる。また、レース運びは危なげなく、反則をすることはほとんどない。全オートレーサーのお手本となる選手だ。
8位は有吉辰也。前期は16位だったので大幅にアップ。2010年度後期にランク1位になっているが、大きな怪我をしてからは苦しんだ時期もあったが、徐々に以前の走りが戻ってきている。好スタートからの速攻が得意だが、じっくりと追う展開になっても冷静に追っていける。雨も得意としており、オールラウンダー型だ。
9位は若井友和。前期の15位から6つのアップ。常に10位前後のランクを保てている要因は走りに安定感があるため。スタートに勝負を賭ける方ではないが、混戦になってもスピード戦になってもジワリと浮上していける。調整力があるのでエンジンが大崩れすることもない。車券を買う立場からすれば頼もしい存在だ。
10位は荒尾聡。前期は5位で、8期連続で飯塚ナンバー1だった。今期は飯塚の2番手になったが、走力が落ちているわけではない。昔から定評あったスタートと勝負強さが強み。重走路も得意だし、これといったウィークポイントはない。エンジンが仕上がれば、現オート界の2強に割って入れる力がある。
文/高橋英紀