東海地区で若手騎手躍進

2025年07月01日

 早いもので今年も折り返し地点。そうしたところで東海地区の騎手リーディング(名古屋・笠松競馬場での成績)が、今年はこれまでと様相が変わって、若手騎手の台頭が目立っている。
 6月29日現在のトップ5は以下のとおり(数字は名古屋・笠松での)勝利数。
 塚本征吾(名) 125
 加藤聡一(名) 92
 渡邊竜也(笠) 90
 岡部 誠(名) 85
 望月洵輝(名) 82
 2017年から昨年まで不動のリーティングだった岡部誠騎手が現在騎乗していないということもあるのだが、岡部騎手がコンスタントに騎乗していた5月末現在の段階でもトップは塚本で107勝、次いで岡部84、渡邊83、加藤78、望月67だったから、2位以下の争いはどうなるかわからないような状況だった。
 
 こうした予兆は昨年からあって、昨年の東海リーディングでは、岡部259、渡邊241、塚本209と、岡部騎手がトップではあったものの、3名が200勝を超えるハイレベルな争いとなっていた。
 特筆すべきは、今年デビュー5年目となる塚本征吾騎手の一気の台頭だろう。デビューした2021年こそ4月からの9カ月間で44勝だったが、22年84勝、23年149勝、24年209勝と、年を追うごとに急上昇。今年は折り返し地点の手前で126勝(名古屋・笠松では125勝)というペースなら、無事に1年間騎乗すれば昨年の数字をさらに上回ることは確実だ。2016年デビューの加藤騎手、2017年デビューの渡邊騎手に先んじて、一気に東海地区のトップに立つ可能性が高い。
 
 さらに注目は、昨年デビューしたばかりの望月洵輝騎手の勢いだ。デビューした昨年は4月からの9カ月間で95勝をマーク。そして今年はここまで82勝。この勢いなら一気に年間200勝の大台に乗せてくるかもしれない。
 ちなみに望月騎手は、デビューからちょうど1年が経過した今年4月8日現在の勝利数が142で、2021年10月に飛田愛斗騎手(佐賀)が記録した、地方競馬におけるデビューから1年の最多勝記録127を更新した。そして今年5月4日には、重賞初制覇を東海優駿(サンヨウテイオウ)で果たしたことも記憶に新しい。
 
 また渡邊竜也騎手は昨年まで3年連続で笠松競馬場における年間最多勝記録を更新し、昨年は笠松だけで232勝を挙げた(地方全体では245勝)。
 
 このように新記録を達成している若手騎手たちだけに、リーディングを争うようになるのは当然のことでもある。
 そして、加藤騎手は2016年に、渡邊騎手は2018年に、塚本騎手は2022年に、それぞれNARグランプリ最優秀新人騎手賞を受賞しているというもの共通項。同賞はデビュー2年目までの騎手に資格があるため、望月騎手は今年の同賞の最右翼といえる。
 新人騎手として全国レベルで活躍している騎手がこれだけ東海地区に揃っているのだから、この騎手たちがリーディングを争うのも、むしろ当然のことといえる。
 
 さて、今年の東海地区のリーディングが年末までにどうなっているか。さらに向こう何年かで、東海地区のこの若手騎手たちがどんな活躍をしているのかを想像するのも楽しみではある。
 
文/斎藤修

 

各地の注目馬〜金沢・笠松・名古屋

2025年05月23日

■金沢
 
 金沢の今年の3歳世代は、ここまで重賞ごとに勝ち馬が変わる混戦で推移してきた。
 2歳時は、石川テレビ杯をビバロジータが勝ち、金沢シンデレラカップは他地区からの遠征馬が上位独占。ネクストスター金沢はショウガマッタナシが勝ったが、最後の2歳重賞・金沢ヤングチャンピオンはダンナイが勝利し、ショウガマッタナシ、ビバロジータはともに掲示板外に沈んだ。
 明けて3歳の重賞では、牝馬限定のノトキリシマ賞(4月20日、1500m)をショウガマッタナシが勝って重賞2勝目としたが、金沢一冠目の北日本新聞杯(5月18日、1700m)では、JRA→金沢→高知と移籍し、再び金沢に戻ってきたクリノチャールズが1番人気にこたえて勝利。ショウガマッタナシは2着、ビバロジータ、ダンナイはともに掲示板外だった。
 上位安定はショウガマッタナシだが、ときに強い牡馬が立ちはだかるという状況。6月15日の石川優駿(2000m)に向けてはまだまだ波乱がありそうだ。
 ハクサンアマゾネス引退後の古馬戦線も混沌とした状況。そのハクサンアマゾネスの引退レースとなった昨年末の中日杯(12月1日、2000m)を逃げ切ったのがマリンデュンデュン。新年度となって、百万石賞トライアルの利家盃(4月27日、2000m)でそのマリンデュンデュンを2着にしりぞけて勝ったのが、南関東から転入した古豪マンガン。一方で、昨年末の金沢ファンセレクトカップ(12月28日、1500m)を勝ち、年度が替って金沢スプリングカップ(4月13日、1500m)も制したオヌシナニモノは、これで金沢で重賞5勝目。
 1500m以下の短距離ならオヌシナニモノ、2000m以上の長距離ならマンガンが中心となりそうだが、ともに今年8歳。対して5歳のマリンデュンデュンは金沢生え抜きで昨年の中日杯が初タイトルではあったが、通算成績は24戦14勝、2着3回(5月21日現在)と連対率70.8%を誇る。距離も1400mから2000m以上までオールマイティにこなしている。
 
■笠松
 
 笠松の3歳世代は名古所属馬に押されぎみ。
 昨年の2歳重賞では、地元馬限定のネクストスター笠松を制したブリスタイムは、その後は着外続き。ラブミーチャン記念では笠松所属馬はいずれも着外、ライデンリーダー記念ではコパノエミリアが地元馬最先着の3着だった。
 明けて3歳の重賞では、ジュニアグローリー(3月6日、1400m)をミランミラン、新緑賞(4月29日、1400m)をゴーゴーバースデイが勝ったが、両馬ともに着外も少なくない。
 古馬では、1月23日の白銀争覇(1900m)をサヴァが制したが、笠松所属馬が古馬(3歳以上)重賞を制したのは、(他地区への遠征も含め)昨年10月10日のオータムカップ(1900m)を当時3歳のキャッシュブリッツが制して以来のこと。古馬戦線も名古屋勢、もしくは他地区からの遠征馬相手に苦戦が目立つ。
 
■名古屋
 
 名古屋所属の3歳馬では、カワテンマックスがデビューから5連勝と底を見せていない。重賞でも、2歳時のゴールドウィング賞から、新春ペガサスカップ(1月16日、1700m)、そして東海一冠目の駿蹄賞(5月5日、2000m)と距離を延ばしながら連勝している。
 2歳時に笠松のライデンリーダー記念を制したページェントは、新春ペガサスカップでは惜しくもカワテンマックスにクビ差で2着に敗れたが、その後はゴールドジュニア(2月4日、笠松1600m)、スプリングカップ(2月12日、1700m)と重賞を連勝した。
 また、上記2頭らを相手に2歳から3歳にかけて重賞2着2回、3着2回だったケイズレーヴは、4月1日のネクストスター中日本(笠松1400m)で重賞初制覇。兵庫チャンピオンシップJpnII(5月1日、園田1400m)でも地方馬最先着の5着に好走した。
 そしてここに来て急上昇は、牝馬のコパノエミリアだ。笠松の欄で触れたように、笠松に在籍した2歳時はライデンリーダー記念で3着だったが、その後、中央に移籍し3戦(いずれも着外)して名古屋に移籍。初戦となった4月10日の東海クイーンカップ(1700m)で重賞初制覇を果たすと、駿蹄賞では前述カワテンマックスにクビ+クビ差の3着と善戦。そして園田に遠征したのじぎく賞(5月22日、園田1700m)では南関東からの遠征馬などを相手に8馬身差の圧勝。グランダム・ジャパン3歳シーズンの最終戦となる関東オークスJpnIIを前にポイントトップに立っている。
 古馬では、昨年の東海三冠馬フークピグマリオンの勢いが止まらない。昨年終盤は3歳ながら古馬相手に、ウインター争覇、東海ゴールドカップと笠松の重賞を連勝。年明け初戦として姫路に遠征した白鷺賞(2月13日、姫路2000m)ではオディロン(兵庫)に1馬身差で2着に敗れたが、名古屋のオープン特別から東海桜花賞(4月8日、2100m)を連勝。ダートグレード初挑戦となった名古屋グランプリJpnII(5月6日、2100m)でも中央の一線級相手に4着と健闘の走りを見せた。
 牝馬では5歳のセブンカラーズの勢いにも衰えがない。ブルーリボンマイル(2月20日、笠松1600m)では、ヒメツルイチモンジ(兵庫)に半馬身及ばず2着だったが、若草賞土古記念(3月13日、1500m)から、佐賀ヴィーナスカップ(4月20日、佐賀1750m)と重賞連勝。これで重賞通算7勝とした。そしてオグリキャップ記念(5月15日、笠松1400m)では牡馬の強豪を相手に3着と善戦。名古屋生え抜きとして5月22日現在、18戦14勝、2着2回、3着1回という成績を残している。
 
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佐賀ヴィーナスカップを勝って重賞7勝目としたセブンカラーズ(写真:佐賀県競馬組合)
 
文/斎藤修

 

各地の注目馬〜岩手・高知・佐賀

2025年05月22日

■岩手
 
 岩手競馬の3歳路線は、今年ネクストスター北日本の実施にともない少々変更があった。これまで岩手三冠の前哨戦として4月上旬に水沢1600mで行われていたスプリングカップだが、今年は冬期休催明け初日、3月9日に水沢1400mで実施。ネクストスター北日本(4月6日、水沢1400m)の前哨戦という位置づけになった。
 そのスプリングカップは、2歳秋のネクストスター盛岡の勝ち馬ポマイカイが、それ以来5カ月ぶりの実戦にもかかわらず1番人気にこたえて逃げ切り完勝。
 そして行われたネクストスター北日本は、北海道から遠征の6頭が上位6着まで独占。地元最先着の7着はスプリングカップ2着だったラヴェイで、期待のポマイカイは逃げたものの北海道のマキシマムドライブに直後で突かれる厳しい展開で8着。北海道所属馬との層の厚さを感じさせられる結果となった。勝ったのは南部駒賞を制していたバリウィール。直線一騎打ちとなってハナ差2着は、ネクストスター門別を制していたミラクルヴォイスだった。
 東京ダービーJpnIの指定競走として5月4日に行われたダイヤモンドカップ(盛岡1800m)は、大井のシーソーゲームが直線で抜け出して完勝。4馬身差の2着に入ったのが、高知から岩手に転入初戦だったリケアカプチーノ。この馬が岩手にとどまるのであれば、岩手3歳戦線の中心的存在となりそうだ。
 古馬戦線で今年注目となるのが、昨年の岩手二冠馬でダートグレード以外では無敗のフジユージーン。楠賞(園田)を勝って以来5カ月ぶりの復帰戦、4歳初戦として臨んだのが赤松杯(4月15日、水沢1600m)だったが、逃げたヒロシクンをとらえきれずクビ差2着。続くシアンモア記念(5月18日、盛岡1600m)もヒロシクンが逃げ切り、フジユージーンはまたも直線での追い上げ届かず、半馬身差の2着だった。
 
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赤松杯に続いてシアンモア記念も逃げ切ったヒロシクン(写真:岩手県競馬組合)
 
■高知
 
 高知では、5月4日に行われた黒潮皐月賞(1400m)を単勝1.1倍の断然人気に支持されたジュゲムーンが、直線でも軽く仕掛けただけで2着に5馬身差をつける圧勝。2歳時、北海道から高知へ移籍初戦として遠征した全日本2歳優駿JpnI(川崎)で5着、年明けのブルーバードカップJpnIII(船橋)でも5着とダートグレードで好走を見せていた。その後、高知初戦となった古馬C2戦、佐賀に遠征したネクストスター西日本、そして黒潮皐月賞と、目下3連勝。ひとまず高知優駿(6月22日、1900m)で地元の二冠を狙うことになるようだ。
 ただ高知は今年の3歳世代も層が厚く、2歳時に金の鞍賞を制したリケアマキアートが黒潮皐月賞で2着。2歳時にネクストスター高知を古馬重賞並のタイムで制したドライブアウェイは、3歳初戦として姫路に遠征した兵庫クイーンセレクション(1月23日、姫路1400m)を大差圧勝。佐賀に遠征したル・プランタン賞は2着、黒潮皐月賞は10着に敗れたが、巻き返しの期待だ。
 古馬では、一昨年の三冠馬で高知県知事賞連覇のユメノホノオが高知所属馬として初の海外遠征を敢行。4月20日、韓国のGIII・YTNカップ(ソウル・ダート2000m)に出走して3着。勝ったグローバルヒットがドバイ・メイダンのGIIで3着好走がある世界レベルの活躍馬であること、またユメノホノオは気性的なことからこれまで国内でも遠征を自重し、初の遠征が海外だったことなどを考えれば善戦といえる。
 グレード戦線で好走を続けるシンメデージーは、4歳の年明け初戦となった佐賀記念JpnIII(2月6日)でメイショウフンジンの2着、再び佐賀遠征となったはがくれ大賞典(3月30日、2000m)を快勝、そして5月6日の名古屋グランプリJpnIIIではサンライズジパングに2馬身差2着。いまだ地方馬には先着されたことがなく、またダートグレードでもすべて掲示板内を確保している。
 
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はがくれ大賞典(佐賀)を制したシンメデージー(写真:佐賀県競馬組合)
 
 シンメデージーと同世代で昨年の高知三冠馬プリフロオールインは、秋から年明けにかけてやや落ち込んだが、4月13日の二十四万石賞(1900m)を4馬身差で圧勝し、復活をアピール。5月25日の福永洋一記念での走りに期待されたが、裂蹄のため残念ながら回避となった。
 
■佐賀
 
 佐賀では3歳一冠目の佐賀皐月賞(1800m)が5月4日に行われた。1番人気に支持されたムーンオブザエースが好位追走から3コーナー過ぎで先頭に立つと、2着ミトノドリームに6馬身差をつけて圧勝。飛燕賞(2月9日、1400m)に続いて重賞2勝目とした。2歳時のネクストスター佐賀では、ミトノドリームに4馬身差2着と敗れていたが、これで完全に力関係が逆転したといえそうだ。
 
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佐賀皐月賞を制したムーンオブザエース(写真:佐賀県競馬組合)
 
 古馬短距離路線では、ネオシエルが3月9日の九州クラウン(1400m)、4月13日の佐賀がばいスプリント(1300m)と重賞連勝。これで昨年4月のB級特別から1年間負けなしの11連勝と圧倒している。7月19日の吉野ヶ里記念(1400m)に向けて期待となりそうだ。
 
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佐賀がばいスプリントを制したネオシエル(写真:佐賀県競馬組合)
 
 中距離路線では、昨年末の中島記念を制し、はがくれ大賞典(3月30日)でも地元馬最先着の3着だったシルトプレが北海道に戻ると言われており、5月18日の佐賀スプリングカップ(1800m)は、昨年秋に中央3勝クラスから転入したビキニボーイが重賞初勝利。仮にシルトプレ不在となれば、この路線は混戦となりそうだ。
 
文/斎藤修

 

各地の注目馬〜ばんえい・兵庫

2025年04月24日

■ばんえい
 
 ばんえい競馬の新たなシーズン(年度)が4月18日から始まった。ばんえい競馬は、開催が進むにつれてクラスごとに設定されているソリの基礎重量が徐々に重くなっていくので、平地の競馬以上にシーズンの区切りが重要になる。
 そして4月27日には、シーズン最初の古馬重賞、ばんえい十勝オッズパーク杯が行われる。
 昨シーズンの古馬戦線は、メムロボブサップ一強で推移してきた。昨シーズンは11戦10勝で、そのうち重賞7勝。唯一2着に負けたのは、他馬より30キロ以上重い負担重量だった帯広記念。その帯広記念を勝っていれば、ばんえい競馬の古馬重賞全制覇という史上初の快挙となるところだったが、その記録は今シーズン以降に持ち越しとなった。しかしシーズン最後の大一番、ばんえい記念を断然人気にこたえて制し、ばんえい競馬で史上8頭目となる通算賞金1億円を達成した。そのメムロボブサップだが、今シーズンはしばらく休養と伝えられる。主戦の阿部武臣騎手が、ばんえい記念の2日前の調教中に負った怪我で入院中であること、またシーズン前半に賞金を稼ぐと後半の重賞で負担重量が課されて厳しくなることもあるだろう。当面の目標は、5連覇がかかる夏のばんえいグランプリ、古馬重賞全制覇がかかる帯広記念、そしてばんえい記念3勝目というところになる。メムロボブサップはここまで重賞23勝。オレノココロ、ハクサンアマゾネスが保持する地方競馬重賞最多25勝という記録更新も今シーズンの期待となる。
 そのメムロボブサップがしばらく不在となると、今シーズン前半の古馬戦線は"鬼の居ぬ間に"台頭するのはどの馬か、ということになる。
 まず期待されるのは6歳世代。クリスタルコルドは、昨シーズンの前半戦、メムロボブサップ不在の北斗賞、旭川記念を連勝。そこで稼いだ賞金でシーズン後半は苦戦したが、それでも2月のチャンピオンカップで3着に好走した。とはいえその6歳世代で最強と言われているのは、2歳シーズンと3歳シーズンではそれぞれ二冠、4歳シーズン三冠を制したキングフェスタだ。昨シーズンは、夏期の休養から復帰した9月以降、シーズン最終戦の蛍の光賞まで11戦オール連対。重賞勝ちこそなかったものの、ドリームエイジカップ、チャンピオンカップでともにメムロボブサップの2着に善戦した。
 
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旭川記念を制したクリスタルコルド(写真:ばんえい十勝)
 
 ひとつ下の5歳世代は、3歳時にばんえいダービーを制し、4歳シーズン三冠を達成したタカラキングダムが古馬重賞戦線への本格参戦でどこまでやれるか。
 昨シーズン8月以降、13戦5勝、2着3回で掲示板を外していない7歳のオーシャンウイナーも古馬重賞での台頭が期待される。
 3歳世代は、キョウエイエースが2歳シーズン一冠目のナナカマド賞、ばんえいグレードBG1の三冠目イレネー記念を制して世代ナンバー1をアピール。二冠目のヤングチャンピオンシップを制したスーパーシン、翔雲賞を制したスターイチバン、ヤングチャンピオンシップ、イレネー記念でともに2着だったウンカイダイマオーらが続く存在。3歳一冠目のばんえい大賞典は7月20日に行われる。
 
■兵庫
 
 今年、兵庫の3歳戦線で断然の注目となっているのが、デビューから6連勝で一冠目の菊水賞を圧勝したオケマルだ。デビュー戦は1馬身1/4差、2戦目のJRA認定アッパートライは6馬身差をつけて勝ったが、重賞初挑戦となったネクストスター園田は、4コーナー5番手から直線馬場の真ん中を追い込み、逃げ粘るラピドフィオーレをなんとか半馬身とらえたというもの。ここまでいずれも1番人気で勝っていたとはいえ、それほど抜けた存在という印象ではなかった。しかし2歳最終戦の園田ジュニアカップが7馬身差、3歳初戦の兵庫若駒賞が大差、そして菊水賞は好スタートから先頭に立って逃げ切り8馬身差。2歳年末から一戦ごとに力をつけ、兵庫の3歳世代では圧倒的な存在となった。兵庫優駿(6月26日)が目標ということのようだが、その前に西日本クラシック(5月8日)で他地区の3歳トップホースとの対戦はないのだろうか。
 
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菊水賞を制してデビューから6連勝としたオケマル(写真:兵庫県競馬組合)
 
 古馬中距離戦線では、昨年兵庫優駿を制したマルカイグアスが、秋には園田オータムトロフィーを制し、さらに古馬初対戦となった園田金盃も勝って一気に台頭。しかしながら年明けの新春賞では、園田金盃で半馬身差2着だったインベルシオンが3コーナー先頭からマルカイグアスを3馬身半差で振り切って重賞初勝利。2025年の古馬中距離路線はこの2頭が中心かに思えた。ところが姫路の白鷺賞では、中央オープンから転入して年末にオッズパーク2024杯を制していたオディロンが、遠征馬も含めこの2頭をまとめて負かしてしまった。古馬中距離路線は群雄割拠といえそうだ。
 
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白鷺賞を制したオディロン(写真:兵庫県競馬組合)
 
 サウジ遠征から戻ったイグナイターは、野田オーナーのXによると、兵庫大賞典(5月5日)か、オグリキャップ記念(5月15日)から、さきたま杯JpnI(6月25日)が目標となるようだ。兵庫大賞典に出走すれば、地元ファンの前で走るのは2023年9月の園田チャレンジカップ以来1年8カ月ぶりとなる。昨年のさきたま杯JpnIではレモンポップの2着に好走していただけに、2023年のJBCスプリントJpnI以来久々のJpnI制覇への期待となりそうだ。
 
文/斎藤修

 

各地の重賞、2025年度の主な変更点

2025年03月31日

 地方競馬は4月からが新年度。今回は2025年の各地の重賞を中心に、日程や条件など変更があった主なものを紹介する。
 
 ネクストスター北日本は、昨年は門別で行われたため開幕2日目の4月18日という日程で、3歳スプリントシリーズではあるものの4月29日の兵庫チャンピオンシップJpnIIにはつながらなかった。今年は岩手の水沢1400メートルが舞台となり4月6日。これにより5月1日の兵庫チャンピオンシップJpnIIへは中3週弱という日程となった。
 また岩手ではこれまで4月上旬に行われていた3歳重賞・スプリングカップが、ネクストスター北日本の実施にともない、今年は冬期休催明け初日の3月9日に繰り上げて実施。そしてこれまで三冠の前哨戦として1600メートルで行われていたが、ネクストスター北日本の前哨戦の位置づけとなって1400メートルに距離短縮となった。
 そのスプリングカップを勝ったのは、1番人気に支持されたポマイカイ。昨年10月に行われたネクストスター盛岡(盛岡1400メートル)以来の実戦ながら重賞連勝とした。次走に予定されているネクストスター北日本では、北海道からの遠征馬を相手にどんなレースを見せるか。
 岩手では昨年、夏の時期に大雨に祟られることが多く、走路状況の悪化によって7月30日以降、芝のレースがすべてダート変更で行われた。果たして今年夏の天候や馬場状況はどうか。なお、2011年から行われていたOROターフスプリント(盛岡芝1000メートル、3歳以上)が今年は休止となった。OROターフスプリントは過去2年ともダート変更で行われ、川崎のマッドシェリーが連覇していた。
 
 笠松競馬場は今年、走路改修のため6月中旬から8月上旬まで開催休止となる。これにより、6月(もしくは7月)に行われていた、クイーンカップ(1600メートル、3歳牝馬)、7月に行われていたサマーカップ(1400メートル、3歳以上)が休止となる。
 また2023年度まで2月(または1月)に行われていたウインター争覇(3歳以上)が24年度から11月の実施となり、東海ゴールドカップのトライアルとして距離も1800メートルから1900メートルに延長。今年度からは『レジェントハンター記念』に改称された。
 
 名古屋では、トリトン争覇(3歳以上)が今年から1500メートルに短縮。旧競馬場時代には1600メートルで行われていたが、新競馬場に移転した2022年から昨年まで1700メートルで行われていた。名港盃(3歳以上)も今年から1700メートルに短縮。旧競馬場では1900メートルで行われていたが、新競馬場では昨年まで2000メートルで行われていた。
 
 兵庫(園田・姫路)では、これまで2歳重賞として行われていた兵庫若駒賞(園田1400メートル)を今年から年明けに3歳重賞として実施。3月6日で、姫路1800メートルに距離延長となった。2月20日に行われた兵庫ユースカップ(姫路1400メートル、3歳)の短距離路線に対し、兵庫若駒賞は中距離の兵庫三冠の前哨戦となる。
 そしてリニューアルされた兵庫若駒賞を大差で圧勝したオケマルはデビューから5連勝。4月2日の菊水賞(園田1700メートル)でも断然人気となりそうだ。
 
 佐賀では、3歳馬の栄城賞が、『九州優駿栄城賞』と改称された。2001年以降、九州ダービー栄城賞として行われていたが、地方競馬では昨年から大井の東京ダービーJpnI以外で"ダービー"の名称を使用しないことになり、2000年までと同様、栄城賞に戻っていた。そして佐賀の"ダービー"としての位置づけを明確にするため、今年から"九州優駿"が冠されることになった。
 
文/斎藤修

 

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