各地の注目馬〜岩手・高知・佐賀
2025年05月22日
■岩手
岩手競馬の3歳路線は、今年ネクストスター北日本の実施にともない少々変更があった。これまで岩手三冠の前哨戦として4月上旬に水沢1600mで行われていたスプリングカップだが、今年は冬期休催明け初日、3月9日に水沢1400mで実施。ネクストスター北日本(4月6日、水沢1400m)の前哨戦という位置づけになった。
そのスプリングカップは、2歳秋のネクストスター盛岡の勝ち馬ポマイカイが、それ以来5カ月ぶりの実戦にもかかわらず1番人気にこたえて逃げ切り完勝。
そして行われたネクストスター北日本は、北海道から遠征の6頭が上位6着まで独占。地元最先着の7着はスプリングカップ2着だったラヴェイで、期待のポマイカイは逃げたものの北海道のマキシマムドライブに直後で突かれる厳しい展開で8着。北海道所属馬との層の厚さを感じさせられる結果となった。勝ったのは南部駒賞を制していたバリウィール。直線一騎打ちとなってハナ差2着は、ネクストスター門別を制していたミラクルヴォイスだった。
東京ダービーJpnIの指定競走として5月4日に行われたダイヤモンドカップ(盛岡1800m)は、大井のシーソーゲームが直線で抜け出して完勝。4馬身差の2着に入ったのが、高知から岩手に転入初戦だったリケアカプチーノ。この馬が岩手にとどまるのであれば、岩手3歳戦線の中心的存在となりそうだ。
古馬戦線で今年注目となるのが、昨年の岩手二冠馬でダートグレード以外では無敗のフジユージーン。楠賞(園田)を勝って以来5カ月ぶりの復帰戦、4歳初戦として臨んだのが赤松杯(4月15日、水沢1600m)だったが、逃げたヒロシクンをとらえきれずクビ差2着。続くシアンモア記念(5月18日、盛岡1600m)もヒロシクンが逃げ切り、フジユージーンはまたも直線での追い上げ届かず、半馬身差の2着だった。
赤松杯に続いてシアンモア記念も逃げ切ったヒロシクン(写真:岩手県競馬組合)
■高知
高知では、5月4日に行われた黒潮皐月賞(1400m)を単勝1.1倍の断然人気に支持されたジュゲムーンが、直線でも軽く仕掛けただけで2着に5馬身差をつける圧勝。2歳時、北海道から高知へ移籍初戦として遠征した全日本2歳優駿JpnI(川崎)で5着、年明けのブルーバードカップJpnIII(船橋)でも5着とダートグレードで好走を見せていた。その後、高知初戦となった古馬C2戦、佐賀に遠征したネクストスター西日本、そして黒潮皐月賞と、目下3連勝。ひとまず高知優駿(6月22日、1900m)で地元の二冠を狙うことになるようだ。
ただ高知は今年の3歳世代も層が厚く、2歳時に金の鞍賞を制したリケアマキアートが黒潮皐月賞で2着。2歳時にネクストスター高知を古馬重賞並のタイムで制したドライブアウェイは、3歳初戦として姫路に遠征した兵庫クイーンセレクション(1月23日、姫路1400m)を大差圧勝。佐賀に遠征したル・プランタン賞は2着、黒潮皐月賞は10着に敗れたが、巻き返しの期待だ。
古馬では、一昨年の三冠馬で高知県知事賞連覇のユメノホノオが高知所属馬として初の海外遠征を敢行。4月20日、韓国のGIII・YTNカップ(ソウル・ダート2000m)に出走して3着。勝ったグローバルヒットがドバイ・メイダンのGIIで3着好走がある世界レベルの活躍馬であること、またユメノホノオは気性的なことからこれまで国内でも遠征を自重し、初の遠征が海外だったことなどを考えれば善戦といえる。
グレード戦線で好走を続けるシンメデージーは、4歳の年明け初戦となった佐賀記念JpnIII(2月6日)でメイショウフンジンの2着、再び佐賀遠征となったはがくれ大賞典(3月30日、2000m)を快勝、そして5月6日の名古屋グランプリJpnIIIではサンライズジパングに2馬身差2着。いまだ地方馬には先着されたことがなく、またダートグレードでもすべて掲示板内を確保している。
はがくれ大賞典(佐賀)を制したシンメデージー(写真:佐賀県競馬組合)
シンメデージーと同世代で昨年の高知三冠馬プリフロオールインは、秋から年明けにかけてやや落ち込んだが、4月13日の二十四万石賞(1900m)を4馬身差で圧勝し、復活をアピール。5月25日の福永洋一記念での走りに期待されたが、裂蹄のため残念ながら回避となった。
■佐賀
佐賀では3歳一冠目の佐賀皐月賞(1800m)が5月4日に行われた。1番人気に支持されたムーンオブザエースが好位追走から3コーナー過ぎで先頭に立つと、2着ミトノドリームに6馬身差をつけて圧勝。飛燕賞(2月9日、1400m)に続いて重賞2勝目とした。2歳時のネクストスター佐賀では、ミトノドリームに4馬身差2着と敗れていたが、これで完全に力関係が逆転したといえそうだ。
佐賀皐月賞を制したムーンオブザエース(写真:佐賀県競馬組合)
古馬短距離路線では、ネオシエルが3月9日の九州クラウン(1400m)、4月13日の佐賀がばいスプリント(1300m)と重賞連勝。これで昨年4月のB級特別から1年間負けなしの11連勝と圧倒している。7月19日の吉野ヶ里記念(1400m)に向けて期待となりそうだ。
佐賀がばいスプリントを制したネオシエル(写真:佐賀県競馬組合)
中距離路線では、昨年末の中島記念を制し、はがくれ大賞典(3月30日)でも地元馬最先着の3着だったシルトプレが北海道に戻ると言われており、5月18日の佐賀スプリングカップ(1800m)は、昨年秋に中央3勝クラスから転入したビキニボーイが重賞初勝利。仮にシルトプレ不在となれば、この路線は混戦となりそうだ。
文/斎藤修