各地の注目馬〜ばんえい・兵庫
2025年04月24日
■ばんえい
ばんえい競馬の新たなシーズン(年度)が4月18日から始まった。ばんえい競馬は、開催が進むにつれてクラスごとに設定されているソリの基礎重量が徐々に重くなっていくので、平地の競馬以上にシーズンの区切りが重要になる。
そして4月27日には、シーズン最初の古馬重賞、ばんえい十勝オッズパーク杯が行われる。
昨シーズンの古馬戦線は、メムロボブサップ一強で推移してきた。昨シーズンは11戦10勝で、そのうち重賞7勝。唯一2着に負けたのは、他馬より30キロ以上重い負担重量だった帯広記念。その帯広記念を勝っていれば、ばんえい競馬の古馬重賞全制覇という史上初の快挙となるところだったが、その記録は今シーズン以降に持ち越しとなった。しかしシーズン最後の大一番、ばんえい記念を断然人気にこたえて制し、ばんえい競馬で史上8頭目となる通算賞金1億円を達成した。そのメムロボブサップだが、今シーズンはしばらく休養と伝えられる。主戦の阿部武臣騎手が、ばんえい記念の2日前の調教中に負った怪我で入院中であること、またシーズン前半に賞金を稼ぐと後半の重賞で負担重量が課されて厳しくなることもあるだろう。当面の目標は、5連覇がかかる夏のばんえいグランプリ、古馬重賞全制覇がかかる帯広記念、そしてばんえい記念3勝目というところになる。メムロボブサップはここまで重賞23勝。オレノココロ、ハクサンアマゾネスが保持する地方競馬重賞最多25勝という記録更新も今シーズンの期待となる。
そのメムロボブサップがしばらく不在となると、今シーズン前半の古馬戦線は"鬼の居ぬ間に"台頭するのはどの馬か、ということになる。
まず期待されるのは6歳世代。クリスタルコルドは、昨シーズンの前半戦、メムロボブサップ不在の北斗賞、旭川記念を連勝。そこで稼いだ賞金でシーズン後半は苦戦したが、それでも2月のチャンピオンカップで3着に好走した。とはいえその6歳世代で最強と言われているのは、2歳シーズンと3歳シーズンではそれぞれ二冠、4歳シーズン三冠を制したキングフェスタだ。昨シーズンは、夏期の休養から復帰した9月以降、シーズン最終戦の蛍の光賞まで11戦オール連対。重賞勝ちこそなかったものの、ドリームエイジカップ、チャンピオンカップでともにメムロボブサップの2着に善戦した。
旭川記念を制したクリスタルコルド(写真:ばんえい十勝)
ひとつ下の5歳世代は、3歳時にばんえいダービーを制し、4歳シーズン三冠を達成したタカラキングダムが古馬重賞戦線への本格参戦でどこまでやれるか。
昨シーズン8月以降、13戦5勝、2着3回で掲示板を外していない7歳のオーシャンウイナーも古馬重賞での台頭が期待される。
3歳世代は、キョウエイエースが2歳シーズン一冠目のナナカマド賞、ばんえいグレードBG1の三冠目イレネー記念を制して世代ナンバー1をアピール。二冠目のヤングチャンピオンシップを制したスーパーシン、翔雲賞を制したスターイチバン、ヤングチャンピオンシップ、イレネー記念でともに2着だったウンカイダイマオーらが続く存在。3歳一冠目のばんえい大賞典は7月20日に行われる。
■兵庫
今年、兵庫の3歳戦線で断然の注目となっているのが、デビューから6連勝で一冠目の菊水賞を圧勝したオケマルだ。デビュー戦は1馬身1/4差、2戦目のJRA認定アッパートライは6馬身差をつけて勝ったが、重賞初挑戦となったネクストスター園田は、4コーナー5番手から直線馬場の真ん中を追い込み、逃げ粘るラピドフィオーレをなんとか半馬身とらえたというもの。ここまでいずれも1番人気で勝っていたとはいえ、それほど抜けた存在という印象ではなかった。しかし2歳最終戦の園田ジュニアカップが7馬身差、3歳初戦の兵庫若駒賞が大差、そして菊水賞は好スタートから先頭に立って逃げ切り8馬身差。2歳年末から一戦ごとに力をつけ、兵庫の3歳世代では圧倒的な存在となった。兵庫優駿(6月26日)が目標ということのようだが、その前に西日本クラシック(5月8日)で他地区の3歳トップホースとの対戦はないのだろうか。
菊水賞を制してデビューから6連勝としたオケマル(写真:兵庫県競馬組合)
古馬中距離戦線では、昨年兵庫優駿を制したマルカイグアスが、秋には園田オータムトロフィーを制し、さらに古馬初対戦となった園田金盃も勝って一気に台頭。しかしながら年明けの新春賞では、園田金盃で半馬身差2着だったインベルシオンが3コーナー先頭からマルカイグアスを3馬身半差で振り切って重賞初勝利。2025年の古馬中距離路線はこの2頭が中心かに思えた。ところが姫路の白鷺賞では、中央オープンから転入して年末にオッズパーク2024杯を制していたオディロンが、遠征馬も含めこの2頭をまとめて負かしてしまった。古馬中距離路線は群雄割拠といえそうだ。
白鷺賞を制したオディロン(写真:兵庫県競馬組合)
サウジ遠征から戻ったイグナイターは、野田オーナーのXによると、兵庫大賞典(5月5日)か、オグリキャップ記念(5月15日)から、さきたま杯JpnI(6月25日)が目標となるようだ。兵庫大賞典に出走すれば、地元ファンの前で走るのは2023年9月の園田チャレンジカップ以来1年8カ月ぶりとなる。昨年のさきたま杯JpnIではレモンポップの2着に好走していただけに、2023年のJBCスプリントJpnI以来久々のJpnI制覇への期待となりそうだ。
文/斎藤修