デビュー3カ月の新人騎手たち
2024年06月26日
新人騎手がデビューして3カ月近くが過ぎた。4月付で今年地方競馬から新たに騎手免許を受けてデビューしたのは14名。そのうちオッズパーク対象競馬場からデビューしたのは8名(以下、成績・年齢等はすべて6月24日現在、写真はすべてNAR提供)。
ここまで220戦21勝、2着24回と、もっとも多く勝利を挙げているのが名古屋の望月洵輝(もちづき・じゅんき)騎手(17歳)。北海道や南関東からデビューした騎手を含めても最多の勝ち星をマークしている。初勝利はデビュー2日目の4月10日名古屋第5レースで11戦目。その日はいきなり2勝目も挙げ、14名の新人騎手で初勝利は一番乗りだった。
その活躍からすでに重賞に騎乗するチャンスも得た。6月13日のトリトン争覇では重賞6勝の実績馬ナムラマホーホに騎乗して9着だった。
たしかに220戦と騎乗数も多いが、勝率9.5%、連対率20.5%は新人騎手としては立派な数字といえる。
テレビで競馬を見て小学5年から騎手を目指し乗馬を始めた。勝負服の黄色のダイヤは、名前の"月が輝く"からのイメージだという。
次いで10勝(129戦)を挙げているのが笠松の明星晴大(みょうじょう・せいだい)騎手(17歳)。愛媛県出身で父は松山所属の競輪選手。父と同じように公営競技の選手になりたいと思っていたところ、小柄で細身の体形でもあり、中学のときに初めて高知競馬場に行ったことで刺激を受け騎手を目指した。勝負服は、名字の"明るい星"から黄色の星散らしにしたとのこと。
4月1日にデビューし、初勝利は4月18日でデビューから19戦目。4月30日には笠松メインのヒロインカップ(3歳牝馬特別)でキテヤイヨジに騎乗し、4コーナー先頭の1番人気馬キスリングを直線半ばで内から交わして1馬身半差をつける快勝。6番人気での勝利だった。そのキテヤイヨジでは6月6日の重賞・クイーンカップにも騎乗(9着)した。
6月18日から21日の4日間開催では3勝。それぞれ、3番人気、2番人気、1番人気での勝利で、有力馬への騎乗依頼という信頼も得ての活躍だ。
高知競馬で4月6日にデビューした城野慈尚(しろの・ちかなお)騎手(18歳)の初勝利は4月20日で、デビューから29戦目。今や全国の競馬ファンから注目を集める、一発逆転ファイナルレースを6番人気で逃げ切っての初勝利は印象的だった。
実家は徳島県のお寺。中学2年のとき家族旅行で高知競馬場を訪れ、その迫力に感動して騎手を目指した。
6月9日には1日2勝を挙げ、ここまで130戦8勝、2着8回と、確実に勝ち星を重ねている。
一挙4名がデビューした兵庫で、ここまで最多勝は、85戦8勝、2着10回の土方颯太(ひじかた・そうた)騎手(17歳)。勝率9.4%、連対率21.2%は優秀な成績だ。
小学6年までは野球をやっていたが、体が小さかったこともあって大きな打球が打てず、結果がでなかった。そこで父から体が小さくても活躍できる騎手という職業があると教えられ騎手を目指したという。
4月16日にデビューし、初勝利は11戦目となった4月23日。5月30日には1日2勝を挙げる活躍があったが、調教中に負傷し6月以降騎乗を休んでいる。
新庄海誠(しんじょう・かいせい)騎手(23歳)が初勝利を挙げたのはデビューから約1カ月後の5月17日で48戦目。兵庫デビューの4名ではもっとも遅い初勝利だったが、5月には初勝利も含めて2勝、そして6月には5勝と、勝ち星を着実に積み重ねている。
実家の近くが園田競馬場で、小さい頃から父に連れられて行き、中学を卒業してすぐに地方競馬教養センターに入所。しかし「つらかった」ということで1カ月ほどで退所。その後、厩務員を5年経験。騎手の道を諦めきれず、20歳になった年にあらためて教養センターに入所して訓練を受け、22歳で騎手デビューを叶えた。勝負服のデザインは、名前(誠)の由来でもある新選組の羽織を模したもの。
兵庫の4名で初勝利一番乗りは、高橋愛叶(たかはし・まなと)騎手(18歳)で、デビューした4月16日の当日、3戦目で初勝利を挙げた。
実家が兵庫県で、父に連れて行かれた園田競馬場でレースを見て騎手を目指した。勝負服の『白、胴緑二本輪、そで緑一本輪』は、競馬を見始めたころに好きだった中央のキセキの勝負服に"そで緑一本輪"を足したもの。
6月21日にようやく2勝目を挙げたが、2着4回、3着7回と惜しい着順もあるだけに、今後の奮起に期待したいところ。
兵庫デビューでは佐々木世麗騎手に続いて2人目の女性騎手が、塩津璃菜(しおつ・りな)騎手(19歳)。
実家は岡山県だが、小学4年のときにテレビで競馬を見て乗馬クラブに通い始めたという。未熟児として産まれ身体が弱かったことからさまざまなスポーツを経験してきたことが騎手になることにも生かされたようだ。勝負服は、岡山は桃が有名なので桃色を使ったとのこと。
4月16日のデビュー戦で騎乗したのは、キャリア300戦を超える16歳馬。初勝利は4月23日でデビュー13戦目。前走を下原騎手で勝ったフィオリーナという4歳牝馬で2番人気の支持を受け、820m戦を一気に逃げ切り1番人気馬に4馬身差をつける圧勝だった。
東京都出身ながら岩手からデビューしたのが坂井瑛音(さかい・えいと)騎手(17歳)。
夢は野球選手だったが体格的に難しいと悩んでいたところ、競馬ファンだった父の影響で騎手を目指し乗馬クラブに通い始めた。勝負服は、所属する菅原勲調教師の騎手時代の勝負服と同じ青を基調にした。
初勝利は4月22日の水沢で、4月7日の初騎乗から26戦目。そして5月27日の盛岡で2勝目を挙げている。
「菅原勲調教師の(騎手時代の)記録に近づきたい」と、目標は大きい。
文/斎藤修