2024年は変化の年

2024年02月28日

 地方競馬は4月からの新年度を前に順次、日程や重賞の予定が発表されているが、今年から本格始動するダート競馬の体系整備よって、各地の重賞にもかなり変化が生じている。
 体系整備の柱となっているのはダート三冠だが、これにともなって各地の3歳戦にも変更が多い。
 地方競馬の各地の"ダービー"は、昨年までほぼ1カ月間に実施し、そこからJpnIのジャパンダートダービーを目指す"ダービーシリーズ"として盛り上がってきたが、今年はシリーズとしての体系づけがなくなった。またダービーグランプリの消滅によって"3歳秋のチャンピオンシップ"も役目を終えている。
 昨年から噂になっていたことだが、大井の東京ダービーを中央も含めた全日本的なダートのダービーとすることから、地方競馬の"ダービー"はそれが唯一であるとして、東京ダービー以外で"ダービー"というレース名は使えなくなった(ばんえいは除く)。これにより、石川ダービー→石川優駿、東海ダービー→東海優駿、兵庫ダービー→兵庫優駿、九州ダービー栄城賞→栄城賞と名称変更された。また西日本ダービーも西日本3歳優駿(今年は金沢で実施)となった。
 
 年間を通してかなり変化があったのは、兵庫(園田・姫路)だ。
 ダートグレード競走では、これまで大井競馬場で行われていたTCK女王盃JpnIIIが園田に移設され兵庫女王盃JpnIII(4月4日、園田1870m)として実施されること、兵庫チャンピオンシップJpnII(4月29日)が3歳短距離路線の一環として1870m→1400mに距離短縮となることは、以前より発表されていた。
 兵庫チャンピオンシップJpnIIが距離短縮となった代わりに西日本クラシック(5月1日、園田1870m)を新設。これによって、菊水賞(4月3日、園田1700m)、西日本クラシック、兵庫優駿(7月4日、園田1870m)が新たに兵庫3歳の三冠となるようだ。なお西日本クラシックは西日本地区の交流で、東京ダービーの指定競走となっている。
 古馬重賞では、兵庫大賞典(5月2日)が1870m→1400m、六甲盃(6月6日)が2400m→1870mにそれぞれ距離短縮となった。六甲盃はアラブの時代から2300mで行われた長距離戦で、兵庫にサラブレッドが導入された直後の2000年から一時期1870mで行われていた時期もあったが(2004年まで、05・06年は姫路2000m)、2007年からは園田2400mで行われ、近年はダート長距離を得意とする他地区からの遠征馬の活躍も目立った。この六甲盃の距離短縮によって、兵庫の最長距離重賞は姫路2000mの白鷺賞となる。
 
 距離短縮ということでは、笠松のオグリキャップ記念(5月23日)が1400mとなった。一時期(2005〜07年)1900mで行われたこともあったが、1992年の第1回から2500mの長距離重賞として親しまれていただけに、この一気の距離短縮には驚かされた。引き続き地方全国交流として行われる。
 一方で、大晦日の東海ゴールドカップが1900m→2500mに距離延長となった。1970年代から2500mで争われていたものが2005年から1900mとなっていたが、こちらは伝統の距離復活という印象だ。
 
 全国的に距離短縮という重賞が目につくなかで、シリーズ競走では「ワンターン1000m以下の超短距離戦で新たな能力を発掘する」として2011年から実施されてきた"スーパースプリントシリーズ"も、シリーズ競走としての連携はなくなるようだ。
 しかしながら対象となっていたレースは多くがそのまま実施されるが、佐賀がばいダッシュは佐賀がばいスプリントに名称変更、日本海スプリント(6月15日)は900m→1400mに距離延長となった。
 なお金沢では、3歳馬による兼六園スプリント(7月7日、1500m、東海北陸交流)が新設された。
 
 グランダム・ジャパンでは、古馬シーズンが春・秋に分かれての実施となった。
 古馬春シーズンでは、高知に新設されたレジーナディンベルノ賞(2月25日、1900m)、笠松に新設されたブルーリボンマイル(3月5日、1600m)が対象レースとなり、昨年まで3歳シーズンだった名古屋の若草賞土古記念(3月14日、1500m)が4歳以上牝馬という条件になり、古馬春シーズンの対象レースとなった。
 そして昨年まで古馬シーズンの最終戦はレディスプレリュードJpnII(大井)だったが、新たな古馬秋シーズンの最終戦はJBCレディスクラシックJpnI(今年は佐賀1860m)となる。
 
文/斎藤修