各地の注目馬〜金沢・笠松・名古屋

2025年05月23日

■金沢
 
 金沢の今年の3歳世代は、ここまで重賞ごとに勝ち馬が変わる混戦で推移してきた。
 2歳時は、石川テレビ杯をビバロジータが勝ち、金沢シンデレラカップは他地区からの遠征馬が上位独占。ネクストスター金沢はショウガマッタナシが勝ったが、最後の2歳重賞・金沢ヤングチャンピオンはダンナイが勝利し、ショウガマッタナシ、ビバロジータはともに掲示板外に沈んだ。
 明けて3歳の重賞では、牝馬限定のノトキリシマ賞(4月20日、1500m)をショウガマッタナシが勝って重賞2勝目としたが、金沢一冠目の北日本新聞杯(5月18日、1700m)では、JRA→金沢→高知と移籍し、再び金沢に戻ってきたクリノチャールズが1番人気にこたえて勝利。ショウガマッタナシは2着、ビバロジータ、ダンナイはともに掲示板外だった。
 上位安定はショウガマッタナシだが、ときに強い牡馬が立ちはだかるという状況。6月15日の石川優駿(2000m)に向けてはまだまだ波乱がありそうだ。
 ハクサンアマゾネス引退後の古馬戦線も混沌とした状況。そのハクサンアマゾネスの引退レースとなった昨年末の中日杯(12月1日、2000m)を逃げ切ったのがマリンデュンデュン。新年度となって、百万石賞トライアルの利家盃(4月27日、2000m)でそのマリンデュンデュンを2着にしりぞけて勝ったのが、南関東から転入した古豪マンガン。一方で、昨年末の金沢ファンセレクトカップ(12月28日、1500m)を勝ち、年度が替って金沢スプリングカップ(4月13日、1500m)も制したオヌシナニモノは、これで金沢で重賞5勝目。
 1500m以下の短距離ならオヌシナニモノ、2000m以上の長距離ならマンガンが中心となりそうだが、ともに今年8歳。対して5歳のマリンデュンデュンは金沢生え抜きで昨年の中日杯が初タイトルではあったが、通算成績は24戦14勝、2着3回(5月21日現在)と連対率70.8%を誇る。距離も1400mから2000m以上までオールマイティにこなしている。
 
■笠松
 
 笠松の3歳世代は名古所属馬に押されぎみ。
 昨年の2歳重賞では、地元馬限定のネクストスター笠松を制したブリスタイムは、その後は着外続き。ラブミーチャン記念では笠松所属馬はいずれも着外、ライデンリーダー記念ではコパノエミリアが地元馬最先着の3着だった。
 明けて3歳の重賞では、ジュニアグローリー(3月6日、1400m)をミランミラン、新緑賞(4月29日、1400m)をゴーゴーバースデイが勝ったが、両馬ともに着外も少なくない。
 古馬では、1月23日の白銀争覇(1900m)をサヴァが制したが、笠松所属馬が古馬(3歳以上)重賞を制したのは、(他地区への遠征も含め)昨年10月10日のオータムカップ(1900m)を当時3歳のキャッシュブリッツが制して以来のこと。古馬戦線も名古屋勢、もしくは他地区からの遠征馬相手に苦戦が目立つ。
 
■名古屋
 
 名古屋所属の3歳馬では、カワテンマックスがデビューから5連勝と底を見せていない。重賞でも、2歳時のゴールドウィング賞から、新春ペガサスカップ(1月16日、1700m)、そして東海一冠目の駿蹄賞(5月5日、2000m)と距離を延ばしながら連勝している。
 2歳時に笠松のライデンリーダー記念を制したページェントは、新春ペガサスカップでは惜しくもカワテンマックスにクビ差で2着に敗れたが、その後はゴールドジュニア(2月4日、笠松1600m)、スプリングカップ(2月12日、1700m)と重賞を連勝した。
 また、上記2頭らを相手に2歳から3歳にかけて重賞2着2回、3着2回だったケイズレーヴは、4月1日のネクストスター中日本(笠松1400m)で重賞初制覇。兵庫チャンピオンシップJpnII(5月1日、園田1400m)でも地方馬最先着の5着に好走した。
 そしてここに来て急上昇は、牝馬のコパノエミリアだ。笠松の欄で触れたように、笠松に在籍した2歳時はライデンリーダー記念で3着だったが、その後、中央に移籍し3戦(いずれも着外)して名古屋に移籍。初戦となった4月10日の東海クイーンカップ(1700m)で重賞初制覇を果たすと、駿蹄賞では前述カワテンマックスにクビ+クビ差の3着と善戦。そして園田に遠征したのじぎく賞(5月22日、園田1700m)では南関東からの遠征馬などを相手に8馬身差の圧勝。グランダム・ジャパン3歳シーズンの最終戦となる関東オークスJpnIIを前にポイントトップに立っている。
 古馬では、昨年の東海三冠馬フークピグマリオンの勢いが止まらない。昨年終盤は3歳ながら古馬相手に、ウインター争覇、東海ゴールドカップと笠松の重賞を連勝。年明け初戦として姫路に遠征した白鷺賞(2月13日、姫路2000m)ではオディロン(兵庫)に1馬身差で2着に敗れたが、名古屋のオープン特別から東海桜花賞(4月8日、2100m)を連勝。ダートグレード初挑戦となった名古屋グランプリJpnII(5月6日、2100m)でも中央の一線級相手に4着と健闘の走りを見せた。
 牝馬では5歳のセブンカラーズの勢いにも衰えがない。ブルーリボンマイル(2月20日、笠松1600m)では、ヒメツルイチモンジ(兵庫)に半馬身及ばず2着だったが、若草賞土古記念(3月13日、1500m)から、佐賀ヴィーナスカップ(4月20日、佐賀1750m)と重賞連勝。これで重賞通算7勝とした。そしてオグリキャップ記念(5月15日、笠松1400m)では牡馬の強豪を相手に3着と善戦。名古屋生え抜きとして5月22日現在、18戦14勝、2着2回、3着1回という成績を残している。
 
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佐賀ヴィーナスカップを勝って重賞7勝目としたセブンカラーズ(写真:佐賀県競馬組合)
 
文/斎藤修

 

各地の注目馬〜岩手・高知・佐賀

2025年05月22日

■岩手
 
 岩手競馬の3歳路線は、今年ネクストスター北日本の実施にともない少々変更があった。これまで岩手三冠の前哨戦として4月上旬に水沢1600mで行われていたスプリングカップだが、今年は冬期休催明け初日、3月9日に水沢1400mで実施。ネクストスター北日本(4月6日、水沢1400m)の前哨戦という位置づけになった。
 そのスプリングカップは、2歳秋のネクストスター盛岡の勝ち馬ポマイカイが、それ以来5カ月ぶりの実戦にもかかわらず1番人気にこたえて逃げ切り完勝。
 そして行われたネクストスター北日本は、北海道から遠征の6頭が上位6着まで独占。地元最先着の7着はスプリングカップ2着だったラヴェイで、期待のポマイカイは逃げたものの北海道のマキシマムドライブに直後で突かれる厳しい展開で8着。北海道所属馬との層の厚さを感じさせられる結果となった。勝ったのは南部駒賞を制していたバリウィール。直線一騎打ちとなってハナ差2着は、ネクストスター門別を制していたミラクルヴォイスだった。
 東京ダービーJpnIの指定競走として5月4日に行われたダイヤモンドカップ(盛岡1800m)は、大井のシーソーゲームが直線で抜け出して完勝。4馬身差の2着に入ったのが、高知から岩手に転入初戦だったリケアカプチーノ。この馬が岩手にとどまるのであれば、岩手3歳戦線の中心的存在となりそうだ。
 古馬戦線で今年注目となるのが、昨年の岩手二冠馬でダートグレード以外では無敗のフジユージーン。楠賞(園田)を勝って以来5カ月ぶりの復帰戦、4歳初戦として臨んだのが赤松杯(4月15日、水沢1600m)だったが、逃げたヒロシクンをとらえきれずクビ差2着。続くシアンモア記念(5月18日、盛岡1600m)もヒロシクンが逃げ切り、フジユージーンはまたも直線での追い上げ届かず、半馬身差の2着だった。
 
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赤松杯に続いてシアンモア記念も逃げ切ったヒロシクン(写真:岩手県競馬組合)
 
■高知
 
 高知では、5月4日に行われた黒潮皐月賞(1400m)を単勝1.1倍の断然人気に支持されたジュゲムーンが、直線でも軽く仕掛けただけで2着に5馬身差をつける圧勝。2歳時、北海道から高知へ移籍初戦として遠征した全日本2歳優駿JpnI(川崎)で5着、年明けのブルーバードカップJpnIII(船橋)でも5着とダートグレードで好走を見せていた。その後、高知初戦となった古馬C2戦、佐賀に遠征したネクストスター西日本、そして黒潮皐月賞と、目下3連勝。ひとまず高知優駿(6月22日、1900m)で地元の二冠を狙うことになるようだ。
 ただ高知は今年の3歳世代も層が厚く、2歳時に金の鞍賞を制したリケアマキアートが黒潮皐月賞で2着。2歳時にネクストスター高知を古馬重賞並のタイムで制したドライブアウェイは、3歳初戦として姫路に遠征した兵庫クイーンセレクション(1月23日、姫路1400m)を大差圧勝。佐賀に遠征したル・プランタン賞は2着、黒潮皐月賞は10着に敗れたが、巻き返しの期待だ。
 古馬では、一昨年の三冠馬で高知県知事賞連覇のユメノホノオが高知所属馬として初の海外遠征を敢行。4月20日、韓国のGIII・YTNカップ(ソウル・ダート2000m)に出走して3着。勝ったグローバルヒットがドバイ・メイダンのGIIで3着好走がある世界レベルの活躍馬であること、またユメノホノオは気性的なことからこれまで国内でも遠征を自重し、初の遠征が海外だったことなどを考えれば善戦といえる。
 グレード戦線で好走を続けるシンメデージーは、4歳の年明け初戦となった佐賀記念JpnIII(2月6日)でメイショウフンジンの2着、再び佐賀遠征となったはがくれ大賞典(3月30日、2000m)を快勝、そして5月6日の名古屋グランプリJpnIIIではサンライズジパングに2馬身差2着。いまだ地方馬には先着されたことがなく、またダートグレードでもすべて掲示板内を確保している。
 
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はがくれ大賞典(佐賀)を制したシンメデージー(写真:佐賀県競馬組合)
 
 シンメデージーと同世代で昨年の高知三冠馬プリフロオールインは、秋から年明けにかけてやや落ち込んだが、4月13日の二十四万石賞(1900m)を4馬身差で圧勝し、復活をアピール。5月25日の福永洋一記念での走りに期待されたが、裂蹄のため残念ながら回避となった。
 
■佐賀
 
 佐賀では3歳一冠目の佐賀皐月賞(1800m)が5月4日に行われた。1番人気に支持されたムーンオブザエースが好位追走から3コーナー過ぎで先頭に立つと、2着ミトノドリームに6馬身差をつけて圧勝。飛燕賞(2月9日、1400m)に続いて重賞2勝目とした。2歳時のネクストスター佐賀では、ミトノドリームに4馬身差2着と敗れていたが、これで完全に力関係が逆転したといえそうだ。
 
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佐賀皐月賞を制したムーンオブザエース(写真:佐賀県競馬組合)
 
 古馬短距離路線では、ネオシエルが3月9日の九州クラウン(1400m)、4月13日の佐賀がばいスプリント(1300m)と重賞連勝。これで昨年4月のB級特別から1年間負けなしの11連勝と圧倒している。7月19日の吉野ヶ里記念(1400m)に向けて期待となりそうだ。
 
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佐賀がばいスプリントを制したネオシエル(写真:佐賀県競馬組合)
 
 中距離路線では、昨年末の中島記念を制し、はがくれ大賞典(3月30日)でも地元馬最先着の3着だったシルトプレが北海道に戻ると言われており、5月18日の佐賀スプリングカップ(1800m)は、昨年秋に中央3勝クラスから転入したビキニボーイが重賞初勝利。仮にシルトプレ不在となれば、この路線は混戦となりそうだ。
 
文/斎藤修

 

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