2025・M&Kジョッキーズカップが実施されました

2025年01月30日

1月19日(日)に佐賀競馬場にて、M&Kジョッキーズカップが開催されました。


2つのレースに騎乗するのは、岩手所属騎手4名と、佐賀の前年のリーディング上位8名。レース名の「M」は"みちのく"で、「K」は九州。以前は岩手の騎手と佐賀&荒尾の騎手との対抗戦でしたが、2011年に荒尾競馬が廃止されたことで岩手と佐賀の対抗戦に。それでも名称は以前のまま、引き継がれています。

新型コロナウイルスの影響で実施されない時期がありましたが、昨年の1月に復活。そして昨年の8月4日に盛岡競馬場で佐賀所属騎手4名、岩手リーディング上位8名(その時点における当年の成績)による「M&Kジョッキーズカップ」が実施されることになりました


そのときは、山口勲騎手、竹吉徹騎手、田中純騎手、田中直人騎手が遠征。しかし......


ゲリラ豪雨による馬場状態の悪化でレースが取り止めに。佐賀の4名は1泊2日の盛岡旅行をしただけになってしまいました。

というわけで「M&K」の開催は1年ぶり。今回は岩手から大坪慎(おおつぼ・まこと)、鈴木祐(すずき・ゆう)、関本玲花(せきもと・れいか)、高橋悠里(たかはし・ゆうり)の4名が佐賀に来ました。




このうち、初めての佐賀となるのが鈴木騎手で、
「騎手会長に行けと言われたので」
と、苦笑い。ほかの3名は佐賀経験があって、大坪騎手は「たしか4回目かな。行きの飛行機はジャンボ焼き鳥のお店の人と同じ」とのことでした。


関本騎手はレディースヴィクトリーラウンドで来たことがあって、高橋騎手は2020年の「M&K」に出場するなどで佐賀コースの経験があります。
ただ、佐賀競馬場は2023年の夏を境に、以前とは砂の質が違っているんですよね。岩手の騎手はそれを知っているのかな?




と思ったので、冬は佐賀での期間限定騎乗が恒例になっている小林凌騎手に聞いてみました。佐賀コースの特徴とか、誰かに教えました?
「いや、誰も聞きにきていないので......」
そうなの?
するとそこに、本日の騎乗を終えた小松丈二騎手が登場。小松騎手は騎乗できる騎手が足りなくなった昨年末の水沢競馬で、応援騎乗をしてきました。
「水曜日くらいに言われて、金曜日に移動して土曜日から乗りました」
ちなみに小松騎手はデビューの地が岩手。盛岡競馬場の所属で2年少々騎乗して、2005年に佐賀へ移籍しました。
「岩手から離れたのは昔のことですが、けっこう覚えてもらっていましたし、こちらも知っている人が多かったですね。でも、4日間で勝てなかったのは残念だったなあ」
せっかくなので、元・岩手の騎手と現・岩手の騎手で並んでもらいました。




では改めて、お二人に現在の佐賀競馬場の特徴を聞いてみましょう。
「砂が変わってからは、外があまり伸びなくなりました。前は、後方から大外を回って差し切れることがありましたが、今はかなりペースが速くならないとムリですね。逆に、わりと早めに仕掛けても意外と粘り込める感じがあります」
と、小松騎手。小林騎手も同意見で、
「今は、力量的にちょっと、という馬でも乗りかたひとつでチャンスがある感じになっています。ただ、インコースから積極的に行きすぎると最後に止まることが多いです」
その話を聞いたのは第1戦(第6レース)の前。岩手所属騎手の紹介式は、第4レースのあとに行われました。




高橋悠里騎手「佐賀競馬を盛り上げられるように頑張ります」
鈴木祐騎手「初めての競馬場ですが、全力で頑張ります」
関本玲花騎手「さっきのレースに乗せていただけて、なんとなく雰囲気はつかめたかなと思うので、ひとつでも上の着順を狙います」
大坪慎騎手「佐賀のジョッキーに負けないように頑張ります」


この騎手紹介式を見守っていたのが、盛岡競馬場名物のジャンボ焼き鳥「とりっきー」のスタッフ。紹介式のあと、スタンドを通り抜けて正面入口に向かうと、ものすごい煙が出迎えてくれました。




「ここではナマから焼き始めるので時間がかかりますね」
と店主。ただ、佐賀競馬場に来るのは2回目で、出張販売に慣れてきた様子です。


さて「2025M&Kジョッキーズカップ」の第1戦は1400m。C2クラスの18組なので、佐賀では最下級に近い条件です。しかし出走馬の間には実力差がある印象で、先行した3頭が3着以内を独占しました。単勝人気順では1→3→2番人気。


各騎手の騎乗馬は抽選で決まりますが、このレースに関してはクジ運がすべてでしたね。岩手の最先着は大坪騎手で、7着。関本騎手が9着、高橋騎手が10着、鈴木騎手は11着。その着順と単勝人気は、ほとんど同じでした。


それはともかく、レースを終えての感想を聞いてみましょう。鈴木騎手、ラチが近くにない競馬はどうでした?
「よくわからないまま終わりました。流れに乗っていこうと思ったんですが、なんか不思議な感じでしたね。この経験をいかせればと思いますが、次はコーナーが6回あるんですよね......」




一方、高橋騎手は「年末の水沢競馬は馬場がドロドロ。だから佐賀の馬場は乗りやすかった(笑)。内ラチから離れていても、馬群がギュッと固まっているので、それほど違和感はなかったです」




最先着の大坪騎手は「うまくインコースをさばければと思っていたんですが、後ろのままでしたね。砂の感じが以前とは違って、外を回ると厳しいという感じは受けました」




とのことでした。なお、関本騎手は、第1戦と第2戦の間にある第7レースにも騎乗したので、早々に待機所に向かいました。
第2戦はC1クラスで、1750mが舞台。しかしJRAから佐賀に移って6連勝中のホーハイトが断然人気。せっかくのジョッキー戦なのになあ......




しかしホーハイトは2周目の向正面あたりからの動きがちょっとヘンで、3コーナーで競走中止(左前肢跛行とのこと)。このレースはスタートから流れが速く、小松騎手が言っていた「かなりハイペースにならないと」という展開になっていました。ところが2番手を進んだ断然人気馬がいきなり不在に。逃げていた飛田愛斗騎手はプレッシャーがなくなったことで粘りが効いて2着に残る一方で、後ろで脚を溜めていた馬が続々と台頭!


ひときわ目立つ脚で伸びてきたのは、道中で後方2番手にいたイツモハラペコ&関本騎手。ゴール直前で差し切りを決めました。




粘った飛田騎手の後ろは半馬身差で追い込んだ2頭が並ぶ形。大外を回った大坪騎手か、間を割ってきた田中直人騎手か。写真判定の結果は「同着」で、3連単と3連複は、2通りが的中となりました。

その配当は、3連単が【234万8030円】と【156万5370円】で、3連複が【12万720円】と【14万4850円】という恐ろしい高配当! 単勝人気順では5→8→4&6。ジョッキー戦らしい結果といえば、そういうことになるのかも......




「引っかかるタイプだと聞いていたので、後ろから外を回っていきました。最後は飛田くんが前に見えて1着か2着かなと思いましたが、ペースが速めだった分、間に合ってくれました」
と関本騎手。この経験は佐賀競馬場で3月8日(土)に実施されるレディースジョッキーズシリーズにつながりそうですね。




2戦の結果での総合優勝は、1着と3着と結果を残した田中直人騎手。2位は関本騎手で、3位は飛田騎手となりました。




ところで、岩手競馬では2月初旬に「調教始め式」が行われます。多くの騎手は大晦日からそこまでが「冬休み」。
ただ、高橋騎手は「僕はこれが"仕事納め"。水沢の最終日のあとも体を動かしていました」とのこと。大坪騎手は盛岡に戻って冬休みを取るそうですが、逆に鈴木騎手は「前日までが冬休みで、このあとは茨城の牧場に行く」そうです。


2025年の岩手競馬は、3月9日(日)の水沢で開幕。岩手も佐賀も引き続き熱い戦いが続いていきます!