NARグランプリ2023レポート第三弾!~調教師編~

2024年03月05日

2月22日に都内で行われたNARグランプリ授賞式のレポート。最終回となる第3弾は、調教師部門の各賞を受賞したみなさんの声を、競馬リポーターの大恵陽子がお伝えします。


NARグランプリ調教師部門の受賞者

まずは地方競馬全国リーディングにあたる最優秀勝利回数調教師賞を受賞した田中守調教師(高知)。
2010年以来2回目の受賞で、前回は「今みたいにインターネットでの情報も充実していないし、大晦日まで全国リーディングだなんて知らなかったです。(赤岡)修次と一緒に授賞式に行ったんやけど、『こんな世界があるんや』ってくらいビックリしました」と振り返ります。
あの時と同じく、今回も赤岡修次騎手とのダブル受賞となりました。


「年間を通してこれだけの勝ち鞍を挙げられて、馬を預けてくださっているオーナーさんに感謝申し上げたいです。1頭1頭の馬に対して、しっかり調整・調教をしてくれた厩舎スタッフ、ジョッキー、関係者の皆さん、そしてファンの方にはすごく励ましていただいて感謝しています」


「またこの授賞式に来たい」と願って以来、13年ぶりの最優秀勝利回数調教師賞受賞となった田中守調教師(高知)


そう話した30分前には姫路競馬場で管理するリケアサブルが兵庫ユースカップを勝利。重賞での活躍も目立ち、特に昨年は14年ぶりの高知三冠馬となったユメノホノオの活躍が印象的でした。一方で、蹄鉄を固定する釘の消耗するスピードが他の馬よりも早く、頻繁に釘が折れて装蹄師に来てもらったり、レースでは立ち眩みしそうなほど大出遅れをしたり、とハラハラドキドキさせる馬でもあります。それが魅力でもあって

「なかなか大変な馬でね。いい意味でユメノホノオに振り回された一年だったなと思います」


と笑顔を見せました。
勝率は大晦日まで競った結果、僅差の2位。賞金も全国2位と、すべての部門において非常に高い成績を残しましたが、「数字的な目標は全く考えていません。馬も人も怪我なく、無事に一年を過ごすことができればいいかなと思います」と締めくくりました。


最優秀勝率調教師賞は柏原誠路調教師(兵庫)が8年ぶり4回目の受賞。
前述したように大晦日まで田中守調教師と大接戦を繰り広げていました。


「年末が近づくまでは結構勝たせていただいていたんですけど、『これなら獲れるかな』と意識し始めたからか、何が悪いのか分かりませんけど、全然勝てなくなってしまいました。勝たないと勝たないとって思う中、12月30日に一つ勝ってくれたのが、田中守先生とのちょっとの差になって、運が良かったと思います」


最優秀勝率調教師賞は4回目の受賞となった柏原誠路調教師(兵庫)


ただ、昨年の目標はあくまでも地元・兵庫でのリーディングでした。
13年は兵庫リーディングと最優秀勝率調教師賞にダブルで輝いただけに、今回もそうなれば最高でしたが、飯田良弘調教師99勝に対し、柏原誠路調教師90勝と、あと一歩届きませんでした。


「長男がうちの厩舎で厩務員をしていて、兵庫リーディングを獲るために一緒に頑張ってきました。でも、最後に飯田良弘調教師に離されて、何もかもダメになったなと思っていたら、長男が厩務員の最多勝と、ギリギリで最優秀勝率調教師賞を得られたので、それだけは良かったなと思います」


長男・竜太厩務員は大晦日で退職し、現在はJRA競馬学校厩務員課程に在籍。JRAで調教師になるという夢を叶えるべく、新たな歩みをはじめています。
柏原誠路厩舎も今年は新たなタイトルを目指します。


「兵庫ダービーを勝ちたいですね。重賞は全然獲れていないので、スタッフとどうしたら勝てるのかを考えて狙いたいですし、地元リーディングももちろん狙いたいです」


最優秀賞金収得調教師賞はお馴染みの小久保智調教師(浦和)が5年連続9回目の受賞。
賞金がアップした高知競馬の田中守調教師のほかにも、JBCスプリントJpnI制覇の新子雅司調教師(兵庫)、ジャパンダートダービーJpnIを勝った渡邉和雄調教師(大井)といったビッグタイトルを手にした調教師もいた中、堂々の受賞です。


「多くの方に支えられての賞で、光栄に思います。とにかく勝たなきゃいけないという思いでやっていたので、昨年の数字に関しては少ないと言えば少ないかなと思います。今年は最低限、地方通算2000勝を達成したいです」


5年連続での最優秀賞金収得調教師賞を受賞した小久保智調教師(浦和)


それぞれの喜びと、さらなる飛躍に向けた言葉が聞かれたNARグランプリ授賞式。
今年はどんな人馬が活躍を見せてくれるでしょうか。


文/大恵 陽子