【コラム】2023年に達成された記録

2023年12月29日

 2023年もいよいよ残りわずかとなったところで、今年達成された印象的な記録を振り返ってみたい。
 
 まずはなんといっても、兵庫のイグナイターがJBCスプリントを制したことだろう。JBCは2001年にクラシック、スプリントの2レースで始まり、今年で23年目。2歳戦のJBC2歳優駿を除けば、昨年まで地方馬はクラシックで1勝、スプリントで3勝、レディスクラシックで1勝を挙げていたが、いずれも南関東所属馬。南関東以外の馬がJBCを制したのは初めて(2歳戦を除く)のこと。また兵庫所属馬によるGI/JpnI制覇も初の快挙となった。
 イグナイターは昨年からJBCスプリントを最大目標と掲げ、盛岡開催だった昨年は見せ場をつくるも5着。そして今年は、昨年同様盛岡のマイルチャンピオンシップ南部杯JpnI(2着)をステップに臨み、直線の追い比べから抜け出した。
 JBC開催は昨年盛岡、そして今年大井と、イグナイターにとっては必ずしもベストとはいえない2年連続でワンターンの1200メートル、しかもアウェーの舞台で勝ちきったことは素晴らしい。
 
 もうひとつ兵庫で達成された記録に、川原正一騎手による、地方競馬最年長重賞勝利記録がある。
 これまでの記録は、2018年9月19日に大井の的場文男騎手が東京記念をシュテルングランツで制した際の62歳12日だったが、川原騎手は8月10日の兵庫ジュベナイルカップをマミエミモモタローで制し、64歳4カ月27日と、記録を一気に2年以上も更新。さらに同馬では8月31日の兵庫若駒賞、10月12日のネクストスター園田も制し、その記録を64歳6カ月28日まで伸ばしている。
 1976年に笠松でデビューし、2005年6月に兵庫に移籍した川原騎手には他にもさまざまな記録がある。
 12月25日現在、地方競馬通算5794勝は、的場騎手に次ぐ現役2位で、歴代では4位。そして川原騎手ですごいのは、笠松、兵庫それぞれの所属で各2000勝以上を達成していること。
 また笠松所属時の1997年には地方代表としてワールドスパージョッキーズシリーズに出場して優勝。さらに兵庫所属時の2013年にも同シリーズに2度目の出場を果たした(7位)。
 その2013年には地方競馬で年間267勝を挙げ、54歳で全国リーディングとなっている。
 
 通算勝利数の記録では、愛知の角田輝也調教師が4月13日に地方競馬史上初の通算4000勝を達成。12月25日現在4126勝で、まだ60歳という年齢だけに、その記録はまだまだ伸ばしていきそうだ。
 
 ばんえい競馬では、今井千尋騎手が11月6日に通算100勝を達成。2022年12月10日のデビューから332日目での100勝は、金田利貴騎手が22年1月10日に達成した395日を短縮する、ばんえい競馬での通算100勝最速記録となった(07年度の帯広単独開催以降)。
 なお今井騎手は今年、12月25日現在で102勝。国内の女性騎手による年間最多勝記録は20年に宮下瞳騎手(愛知)が達成した105勝。ばんえい競馬は、28〜30日の3日間開催を残しており、今井騎手はその記録を更新するかどうか注目となる。
 
 今年は各地で三冠馬が誕生するなど、傑出した3歳馬の活躍が目立った。
 大井ではミックファイアが中央馬相手のジャパンダートダービーJpnIを制し、2001年のトーシンブリザード以来無敗のまま南関東三冠を制覇。そしてダート競馬の体系変更によって今年が最後となったダービーグランプリ(盛岡)の最後の勝ち馬としても名を刻んだ。
 ほかには、北海道でベルピット、高知でユメノホノオが三冠を達成した。
 岩手では牝馬のミニアチュールが三冠目の不来方賞を取りこぼしたものの、牝馬によるひまわり賞、OROオータムティアラを併せると変則四冠制覇。
 名古屋では牝馬のセブンカラーズがデビューから無敗のまま東海ダービーを制した。ただその後は脚部不安で長期休養となっている。
 また金沢では石川ダービーを制した牝馬のショウガタップリが、今年佐賀で行われた西日本ダービーを6馬身差で圧勝した。
 
 そして12月27日、金沢で行われた今年限りの重賞・移転50周年記念金沢ファンセレクトカップをハクサンアマゾネスが単勝1.1倍の断然人気にこたえて勝利。重賞通算21勝とし、カツゲキキトキト(愛知)が保持していた国内の平地重賞最多勝記録を更新した。

文/斎藤修