朝日新聞社杯競輪祭　著名人予想

いよいよ今年最後のG1――競輪祭が幕を開けます。
このシリーズで“グランプリへの切符”が最終確定するだけに、毎年レースは自然と熱を帯び、選手たちの気迫がバンクを震わせます。

現在のボーダー付近では、松本貴治が10位、新山響平が11位。
新山選手は昨日、「もう取りにいくしかない」と覚悟のコメント。もちろん、その言葉以上に“賞金の一円でも積み上げないといけない”という思いがあるはずで、一走一走がまさに勝負の連続となるでしょう。

そして――今年も深谷知広がボーダーライン上。
昨年のあの光景を鮮明に覚えているファンも多いはずです。地元・静岡で迎えるはずだったグランプリ。熱烈な声援が後押ししたものの、古性の強烈なブロックを受けて痛恨の落車。夢の切符は無情にも手のひらからこぼれ落ちました。

愛知から静岡へ移籍し、南関の勢いを生み出した立役者。
かつて師匠・金子の前で先行し、師匠の優勝に人一倍喜んだ――あの記憶の舞台も競輪祭でした。

もちろん、今は嘉永がタイトルを奪い、勢いがつき始めた地元・九州勢にも注目すべきですが、今年に関してはどうしても思いが向かうのです。
「深谷は、今年こそグランプリを決められるのか？」
この一点が、シリーズ全体に特別な影を落としているように感じます。

私は今年も小倉から生配信でお届けします。
少しでも多くの方に“現地の熱”を届けられるよう、全力で頑張っていきますので、ぜひ気軽に覗きに来てください。皆さんと一緒に、この熱い6日間を味わえるのを楽しみにしています。

初日から30万車券が2本という、荒れ模様のスタートとなった競輪祭。私は当然そんな大穴は取れていませんが、やはり競輪祭はこうでなくっちゃ！という思いです。

女子王座戦はまさかの児玉碧衣選手が不発の3着で35万オーバーのビッグ配当。そして、男子戦は落車もあっての30万オーバーですか。とにかく、負けが込んでいても一発逆転は必ずある。そう信じて前向きに戦うことが大事です。

個人的に気になったのは古性選手。去年から今年前半あたりの凄みが影を潜めて、落車から感じていた異変が確信に変わった1日でもありました。怪我の後、悪いながらも結果を出してきた古性ですが、今回脇本選手が不在なので、ラインの前で走るケースも増えるでしょう。そんな中でグランプリへ向けての収穫があるのかどうか？このあたりは特に注目して見ていきたいところです。

ボーダー付近の選手で動き際立ったのは松本貴治選手。元々、自力でも短い距離で勝負するイメージが強いのですが、昨日は迷わずのロングスパート！同じボーダー付近の新山選手を窮地に追いやる逃げ切り勝ちですから。完全に明暗が分かれる形となりました。

そして、本日は深谷選手が2レースで登場！危なげなく初戦を突破できるかどうか？とにかく前半レースから魅力的なカードが目白押し！本日もメディアドームでの戦いを熱く楽しんでいきましょう！

悪くても悪いなりに結果を残す――それをさらりと、当然のようにやってのけるのが“超一流”の証です。展開が特別ハマったわけでもないのに、きっちりと近畿ワンツーを決めてみせた古性選手。その勝負強さはやはり「さすが」としか言いようがありません。

ただ、古性選手の強さは数字やレース運びだけでは語りきれない“目に見えない何か”をまとっているように感じます。幸運と言ってしまえば簡単ですが、それだけで片付けられない、不思議な流れを引き寄せる力――そんなものを度々感じるのです。

昨日のレースでも、簗田選手と芦澤選手が中団でもつれ合う形になりましたが、もし簗田選手がもっと冷静に後ろ中団で車間を斬っていたなら、古性選手の仕掛けは不発に終わっていた可能性もあった。ほんのわずかな展開のアヤが、勝負の行方を変える。それを味方につけられる古性選手の運もまた“実力”なのだと、改めて思わされるレースでした。

車券の方も昨日はまずまずの収穫。とはいえ、私が「運も実力のうち！」などと胸を張って言えるには、まだまだ遠い道のりです。それでも、当たりを一つひとつ積み重ねていく感覚は、やはり競輪の醍醐味。今日も熱く、冷静に的中を狙っていきたいところです。

競輪祭3日目。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

グランプリの賞金ランキングを改めて眺めれば、9位・深谷知広、10位・松本貴治、11位・新山響平――まさにボーダーライン上の三者。普通なら一戦一戦を慎重に、確実に勝ち上がりたい…そう考えても不思議ではありません。ところが、この3人に“守り”の二文字は似合わない。ぶつかり合う気迫、その強気のスタイルは一切ブレません。

中でも光っているのが松本貴治選手。
近況は自在に立ち回るイメージが強く、航続距離は短め。しかし今節は別人。初日は新山選手に対して正面から力勝負を挑み先着、そして昨日は杉浦選手を叩き切って主導権を奪い、粘りの3着。積極策がしっかり結果に結びついています。気づけば4日目は2次予選A。グランプリへの扉を、ひとつ力強くこじ開けました。

一方、新山響平選手も負けてはいません。
真骨頂の突っ張り先行から必死の粘り込み。初日の9着から崖っぷちで迎えた勝負所を、薄氷の2次予選Bでなんとか突破。望みを繋ぐ一走となりました。

そして深谷知広選手。
後藤選手を叩けず窮地に追い込まれながらも、岩本選手の献身的な“迎え入れ”に応え、鋭い捲り返しで3着へ滑り込み。こちらも2次予選Bに名を連ね、まだドラマは終わらせません。

運命の4日目以降、さらに何が待ち受けているのか――
熱気は加速する一方です。本日もどうぞお楽しみに。

同期だから競りはない、練習仲間だからそこまでシビアにいかない−−そんな“空気”を予想の材料に入れたくなる気持ちは、誰しもあります。けれど、勝負の世界にその空気を持ち込むのは、言ってしまえば甘えであり、馴れ合いでもある。

阿部力也選手が一気に台頭するきっかけを与えたのは、紛れもなく古性優作選手。同期・100期の縁から岸和田で一緒に汗を流し、阿部選手は今年の名古屋ダービーでついに決勝へ。古性選手もその飛躍を喜んでいたはずです。
──しかし、レースとなれば話はまったく別物。

中野選手の番手に古性選手が飛びつき、阿部選手と競りに入るあの瞬間。情より勝負を選ぶ、あの迷いのなさ。
近畿は他地区と比べても、昔から“妥協なし・甘えなし”のガチンコ文化が色濃い。別線でも手を抜かない。だからこそ、あの古性選手の選択は、むしろ当然であり、超一流の判断力を見せつける場面でもありました。

そして、さらに痺れたのはその後です。
中野選手の捲り返しの勢いが少しだけ鈍った、その一瞬。古性選手はためらうことなく中野選手の内−−あの狭いインを割っていく。咄嗟の判断で、あのルートを選べる胆力。そして、それを完璧に成功させてしまう技術。
これまでも数々の“古性アクロバット”を見てきましたが、今回もまた新たな伝説が積み上がった、そんなレースでした。

競輪祭はいよいよ準決勝へ。
今年のG1も残りわずか2日。さあ、最後の瞬間まで、この祭りを全力で味わい尽くしましょう。