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矢野吉彦さんの馬券術

矢野吉彦(やのよしひこ)

スポーツアナウンサー。テレビ東京「ウイニング競馬」実況を務め、ばんえい場立ち予想会などでも活躍。オッズパークブログ「ばんえい競馬情報局」でコラムを担当するなど熱烈なばんえいファン。

ばんえい競馬のレースを予想するのはタイヘン。私も、20数年前に初めて競馬場に足を踏み入れたときには何が何だかサッパリわかりませんでした。今でも、当然ながら百発百中で当たるわけはありません。でも、長年にわたっていくつものレースを予想し、その結果を目の当たりにしてきたおかげで、こうやって考えればなんとなくイイ線行く、というポイントは押さえられるようになってきました。ばんえい競馬ビギナーのみなさん、あるいはいまだに暗中模索でばんえい競馬と格闘しているみなさん、試しに私のやり方を参考に、ばんえい競馬のレースを予想して馬券を買ってみてください。

矢野吉彦(やのよしひこ)

まずは「キホンのキ」から

まずは"キホンのキ"から。ソリを曳いてダートコースを走るばんえい競馬では、ソリの重さ=ばんえい重量と、馬場状態=馬場水分が、各馬の走破タイムに大きな影響を及ぼします。ばんえい重量が重くなる、または、馬場水分が低くなる(ソリが滑りにくくなる=重馬場)と走破タイムは遅くなり、ばんえい重量が軽くなる、または馬場水分が高くなる(ソリが滑りやすくなる=軽馬場)と走破タイムは速くなります。当たり前のことですが、この大原則をしっかりと覚えておきましょう。

これを基に、各馬のタイムを比較します。何しろすべてのレースが距離200メートルで行われるわけですから、タイム比較はフツウの競馬よりやりやすいはずです。まず、競馬新聞の近走成績欄にある各馬の走破タイムを見比べましょう。ばんえい重量、馬場水分を考慮に入れて、今、馬券を買おうとしているレースのばんえい重量と馬場水分で走ったとき、一番速く走れそうな馬をそこから推測します。それが難しい、って?いやいや、この作業を続けることが、なんとなくイイ線行くようにするためには欠かせません。

もう少しヒントを!近走成績欄の見方

では、もう少しヒントを。近走成績欄には、レースの走破タイムのほか、スタートから①第2障害まで、②第2障害通過、③第2障害通過後からゴールまでの、3つの重要なタイムが載っています。競馬に、「テンよし、中よし、終いよし」という言葉がありますが、ばんえい競馬も同じ。①はテン、②は中、③は終い、ですから、それぞれのタイムがよければ、走破タイムは当然よくなります。

必ずチェックしなければいけないのが②。ばんえい競馬の勝負どころ、第2障害をいかにスムーズに超えるかは、レースの最重要ポイントです。これが速い馬をピックアップしておきましょう。

次は終いの③、フツウの競馬で言えば上がりタイムをチェック。これが速い馬は、第2障害を降りてからの末脚が確かということ。反対にこれが遅ければ、障害を降りてからは少々かったるい馬と考えられます。

そこまでチェックしたら、必ず①=テンのタイムを見るのを忘れずに。テンのペースが遅ければ、ユッタリした流れのレースで、道中は息を入れながら第2障害に到達しているはずです。その場合の②や③のタイムは、そういうペースだからこそ引き出されたものかもしれません。逆にこれが速くて、さらに②と③のタイムも速いとなれば、厳しい流れ、速い流れを克服して好タイムをマークしたことになります。もちろん、ばんえい重量と馬場水分にも大きく左右されますが、これを丹念に見ていくと、その馬がどういう走りをするタイプなのかが、なんとなくわかってきます。

つまり、テンからグイグイ行って第2障害を早めに越えて粘り込むタイプなのか、前半はユッタリ行って第2障害の登坂力と終いの脚で勝負するタイプなのか。大きく分ければその2つです。どちらも中=第2障害のタイムが悪ければ勝負になりません。だから、まず②を見るところから始めるわけです。

タイムの他にも、競馬新聞の成績欄には、その馬が前に行ってレースを進めるタイプか、後半の末脚勝負にかけるタイプなのかを推し量れる数字が載っています。それが道中の通過順位。第1障害通過、第2障害手前、第2障害上=通過の順位を見れば、各馬のレースの進め方がわかります。

これと、①〜③のタイムとを考えあわせると、レース展開がなんとなく見えてくるはず。そこまで見えてくれば、あとは逃げ馬が強いレースか、差し馬が届く流れになりそうか、などなど、フツウの競馬と同じように予想を組み立てればいいんです。

頭に入れておきたい馬の得手不得手

その際、頭に入れておきたいことがあります。それは、ばんえい競馬ならではの馬の得手不得手。平場のレースならいいけど、特別戦になると今イチ、という馬がいる一方で、平場よりも特別戦で実力を発揮するという馬がいます。平場より特別、特別より重賞でばんえい重量が重くなるのがばんえい競馬の原則。軽いソリのレースはペースが速くなって、道中で息を入れにくい展開になります。ダッシュ力のない馬には苦しい流れです。逆にソリが重くなると、小刻みに馬を止めて余力を蓄えながらのレースになるので、流れはユッタリに。すると、速い流れにはついていけず、前々でレースを進められない馬でも、先行集団から離されずに好位をキープできるようになります。

逃げ・先行馬が狙うのは、第2障害を越えた時点で後続馬との差を大きく広げること。差し・追い込み馬が目論むのは、第2障害を通過するまで、できるだけ逃げ・先行馬から離されずについていくこと。その綱引きをしたら、どの馬によりチャンスがあるのか。それを、走破タイムや①〜③のタイム、さらに各レースの通過順位を基に、ばんえい重量と馬場水分を加味してイメージするんです。

ばんえい競馬で理想的な強い馬とは?

ここから先は、ひょっとしたら余計な話になるかも。それを覚悟の上で書きます。ばんえい競馬で理想的な強い馬は、それこそ、テンよし、中よし、終いよし、というタイプ。自分でペースを作れて、第2障害のかかりもよく、末脚も確かなら、これに越したことはありません。

でも、そこまで完ぺきな馬はなかなかいないでしょう。逃げ・先行馬は、常に他の馬にマークされます。前半に後続を振り切ろうと無理をすれば、第2障害で引っ掛かったり、降りてからの末脚をなくしたります。逃げ・先行馬を負かそうとする馬は、そういう逃げ馬のもろさを突いてきます。また、出走馬の中には、無理して勝ちに行かず、とにかく障害をスンナリ抜けられるかどうかだけに目標を絞っている馬がいるかもしれません。スンナリ行かなくてもともと、でも、もしうまいこと越えてしまえば、アッと驚く大駆けも、なんていう馬です。そういう馬が絡み合っているから、予想通りに行かなかったり、思い切った穴予想が当たるときもあるわけです。それって、フツウの競馬と一緒じゃないですか?

自分流の馬券作戦を確立してばんえい競馬と末永いお付き合いを

というわけで、ばんえい競馬には、フツウの競馬に共通する部分と、ばんえいならではの特別な部分があります。それを見極めることもばんえい競馬を知っていく上での楽しみになるはず。私が何から何まで、手取り足取りでご案内するより、ここではこのへんでとどめておいたほうがいいと思います。さぁみなさん、ばんえい競馬の達人目指して、自分流の馬券作戦を確立させてください!そして、末永くばんえい競馬とお付き合いいただきますように!

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