大雨のピークは過ぎたとはいえ、週末までの総雨量はかなりのもの。金沢競馬場の馬場は（競馬場同士での比較では）乾きやすいほうだと思いますが、内ラチ沿いの路盤の傾斜度が高いので、そこはちょっと走りにくそう。それでも晴れ予報の月曜日は、通常より1馬幅（1mくらい）内側を通れる走りやすい状態になりそうで、基本的には逃げ先行タイプが有利だと思います。

そうなると、（9）メイショウフンジンが人気を集めそう。マーキュリーカップでヒロシクン、クラウンプライドが先手を主張したことで、メチャメチャ不完全燃焼となったうっぷんをここで晴らす爆逃げをすると思います。問題は、その左となりの枠にいる（8）ダイシンビスケス。好走のほとんどは逃げ先行で、吉原寛人騎手がメイショウフンジンにプレッシャーをかけながら追走すると推理します。長休明けですが、トレセンでは速い時計を出さずに入念に乗り込んでいる様子。そのあたりを考えて、昨年2着のメイショウフンジンのアタマはないと決め打ちます。

そこで注目するのが追い込みの2頭。（7）ディクテオンは最内が使えない金沢の馬場が合いそう。2周目の2コーナーあたりから一気に位置取りを上げる姿を想像します。（12）サンマルパトロールも後半に脚を使えるタイプで、流れ込んでくる可能性が高いと思います。（2）テンカハルも同様ですが、右回りでは17戦して3連対（3着2回）という点が微妙。こちらは3連勝式の押さえまでが妥当と判断しました。

という前提でフォーメーションを組みます。ダートグレードの白山大賞典は、地方所属馬の勝利がゼロ。なんとか不名誉な記録にピリオドが打たれることを期待したいのですが……。これは来年以降に期待しましょう。

3連単 フォーメーション
7・8・12 ⇒ 7・8・12 ⇒ 2・7・8・9・12（18）
馬連 ボックス
7・8・12（3）

浅野靖典氏：プロフィール

競馬キャスターとして活躍。全国の競馬関連施設や競馬場巡り、競馬史研究などをライフワークとしている。

今年はJRA勢が中心、地方勢はちょっとつけ入るスキがなさそうです。
JRA勢の中でも力の比較が難しいところですが、初めてのダートグレードに挑む（8）ダイシンピスケスを本命にしました。
昨年末の2勝クラスから一気にオープンまで3連勝と、ここに来て力を付けましたね。
逃げても番手でも競馬ができるのは強みで、他の馬の出方次第で競馬ができそうです。
ただ逃げたい（9）メイショウフンジンが外隣にいるので、そこのさばきがむずかしそうではありますが、スタートダッシュが速いですから、この馬が逃げる展開になるかもしれません。

地方経験が豊富な馬なので、初めての金沢はまったく問題ないでしょう。
約7か月ぶりの休み明けで当日の仕上がりが気になるところですが、坂路で入念に乗りこまれているので力を発揮してくれると思います。

メイショウフンジンは前走のマーキュリーカップで揉まれ弱さを露呈しました。
スタートがそれほど速くない馬なので、内枠だと厳しいですね。
今回は外枠ですし、ダイシンピスケスが行っての2番手が取れれば、しぶとい脚を使ってくれるのではないでしょうか。

ただ懸念がないわけではなくて、外隣の（10）ファルコンウィングがテンの速い馬なので、前走のヒロシクンのように被される形になるのは避けたいところ。
昨年は2着に来ている舞台ですし、スムーズに先行して自分の競馬をして欲しいです。

3番手は（7）ディクテオン。
今回のメンバーでは実績1番、小回りコースでも追い上げていける追い込み馬ですが、先行有利の馬場状態になると考えると、上記に挙げた2頭の方が持ち味を発揮しやすいのではないかと考えました。ただ実力のある馬なので、軽視はしていません。

（2）テンカハルはしばらく勝ち切れないレースが続きますが、マーキュリーカップでは差のない4着、いつでも上位争いに入ってくる可能性がある馬です。
2連勝中と勢いがある（12）サンマルパトロールは追い込み馬なので、小回りの金沢でどの辺りから加速できるかがポイントでしょう。

3連単 フォーメーション
8・9 ⇒ 8・9・7 ⇒ 8・9・7・2・12（12点）

赤見千尋氏：プロフィール

平成10年10月高崎競馬場にて騎手デビュー。以来、高崎競馬が廃止される平成17年1月まで騎乗を続け2033戦91勝。現在は競馬リポーター、ライター、そしてオッズパークの予想ブログ"赤見千尋のRed View"も好評執筆中。

地方馬は名古屋から4頭の遠征があって一応フルゲートにはなったが、地方重賞の勝ち馬はいても近走特別戦でも勝ちきれずという馬がほとんどというメンバー。唯一、（4）アンタンスルフレは昨年秋に北國王冠、東海菊花賞を含め3連勝のときの勢いがあれば中央勢の一角崩しの期待にもなったが、近走の成績ではなんとも厳しい。ゆえに馬券圏内は中央勢の争い。

（9）メイショウフンジンは昨年のこのレースで2着。逃げてケイアイパープルにぴたりとマークされる厳しい展開も、直線ではケイアイパープルを振り切り、最後はウィルソンテソーロに半馬身交わされたもののよく粘った。ただ前走マーキュリーカップJpnIIIでは1番枠で内に包まれ惨敗したように、自分の形に持ち込めないともろいところもある。今回は外目の枠でもあり、ほかに逃げる可能性は（8）ダイシンピスケスだけで、よほど2頭で競り合ったりしなければ昨年の雪辱が期待できそう。

ダイシンピスケスは1勝目、2勝目が地方の条件交流で、その後足踏みが続いたが、ここに来てオープンの仁川ステークスまで3連勝と力をつけた。今回はそれ以来7カ月ぶりの実戦がどうかだが、栗東の坂路でしっかり時計を出しており、それなりの仕上がりにはありそう。

JpnII勝ちのある（7）ディクテオンは、1頭だけ他の牡馬より3kg重い57kgを背負うのがどうか。前述2頭が競り合ってハイペースなら末脚勝負のこの馬にチャンスが巡ってくる。

近走いまひとつの（2）テンカハルだが、昨年、日本テレビ盃JpnIIでウシュバテソーロの2着、浦和記念JpnIIでディクテオンの3着があったように、地方の長距離戦は能力を発揮できる舞台。

（12）サンマルパトロールも初勝利が地方の条件交流で、ここに来て2勝クラス、3勝クラスと連勝の勢いでどこまで。

中央5頭は、先行するメイショウフンジン、ダイシンピスケスに、直線末脚勝負のディクテオン、テンカハル、サンマルパトロールと、脚質がはっきり分かれているだけに、ペースや展開がカギを握りそう。

斎藤修氏：プロフィール

NAR『ウェブハロン』、『優駿』、週刊『競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』『地方競馬中継』解説。ドバイ・香港・シンガポール・アメリカなどの競馬にも足を運ぶ。1964年生まれ。