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元高崎競馬騎手・Red Viewでおなじみ 赤見 千尋氏 |
赤見 千尋氏コメント
7月9日から、佐賀と荒尾の2歳馬たちによる常時交流競走が始まりました!
このたび7月9日から、佐賀と荒尾の2歳馬たちによる常時交流競走が始まりました!これにより、戦いの選択肢が増えるわけですが、若馬たちのレースというのは情報も少ないし、とかく難しいもの。さらに激化するであろう九州の2歳馬戦線を読み解くために、私なりの見解をお伝えしていきます。
2歳馬といえば、人間でいうところの、幼稚園児と同じ。幼稚園の運動会を想像してみて下さい――斜めに走ってしまったり、走ることを止めてしまったり…と、なかなか大人の思うようにはいきませんよね。それに、一度上手く走れなくても、「能力がない」と決め付けるのは早計というもの。
競走馬も全く同じです。何がなんだかわからないうちに、競走している状態。その中には、最初から素直に頑張る馬も、経験を積んで徐々に力を発揮する馬もいる。そういう意味でも、新馬戦と経験馬たちのレースとでは、ポイントが少し違うように思います。
怖がりなサラブレッドにとって、新しいことずくめの新馬戦は、緊張の連続です。
まずは新馬戦。怖がりなサラブレッドにとって、新しいことずくめの新馬戦は、緊張の連続です。初めてお客さんの前でパドックを回り、ファンファーレが鳴って、ゲートから飛び出すと周りにはいっぱい馬たちがいる。おっかなびっくり走ってるわけですから、鞍上との信頼関係は他のレースよりも大きく響きます。リーディング上位の騎手、ベテランの騎手、普段の調教から跨っている騎手から狙うことをお勧めします。
そして、もう1つのポイントがゲート。おそらくほとんどの馬が砂を被ったことがないですから、初めて砂を被ると大抵びっくりしてスピードが落ちます。なので、ゲートが速いことは絶対必須条件。ハナに行かなくても、砂を被るか被らないかで、レース中の精神状態が大きく違います。
続いては、経験馬たちのレースについて。新馬戦で上位に来た馬たちは人気になりますから、それ以外の変り身のある馬を探す時のポイント。新馬戦では負けてしまったけれど、次にガラッと変わってくる馬っていますよね。私が意識しているポイントは、前走最後の直線で脚を使っているかどうか。道中は砂を被ってなかなか進まなくても、最後の直線でいい脚を使っていれば、次に繋がるレースをしています。例え着外でも、ゲートを出ることに慣れるか、砂を被ることに慣れれば、道中の位置取りはもっと前になる。最後はいい脚を使えるわけですから、自然と着順も上がります。
あと体型についてですが、500キロを越える大型馬は、調教だけで仕上げるのはかなり難しいですから、1度使った効果は大きくなります。逆に小柄な牝馬は、使うとテンションが上がってご飯を食べなくなるので、新馬戦の方が狙いやすい、というのがセオリーです。
佐賀と荒尾、同じ右回りの小回りコースといっても、2つの競馬場の特徴は全く違います。
ここまでざっくりと若馬戦についてお話しましたが、ここからは佐賀と荒尾の違いについて。同じ右回りの小回りコースといっても、2つの競馬場の特徴は全く違います。
佐賀はとにかく先手必勝。3,4コーナーがキツイ上に、コーナーから立ち上がってすぐにゴールがあります。もし先行力がないならば、向正面である程度の位置にいて、キツイ3,4コーナーで上がっていく器用な脚が必要。中団より後ろから追い込むことは、相当能力が高くないと出来ません。対する荒尾は、3,4コーナーが緩やかなので、前半そんなに急がなくても、後半に追い上げることが可能です。佐賀はよりスピード重視、荒尾はより長くいい脚を使える馬を重視、というイメージを持っています。
まぁ、サラブレッドは生き物だし、固体差がありますから、一概には言えないんですけどね。たいがい、成長して大きなレースを勝つような馬は、新馬戦は能力のみで勝ってしまうことが多いですよね。もうこういう馬には、うんちくも何も通用しませんが…。若馬戦を見る時のポイントにしていただけたら、と思います。
佐賀は緑に囲まれていて、荒尾は海が臨める、どちらも自然豊かで素敵な競馬場。九州を背負って立つ、次世代スターはどの馬か、ぜひ探してみて下さい♪
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荒尾予想組合 |
荒尾予想組合コメント
まずは馬の仕上がり状態が一番のポイントになる。
2歳馬も古馬も予想のポイントは同じである。まずは馬の仕上がり状態が一番のポイントになる。続いては展開。逃げ馬が1頭で単騎逃げ必至のレースがあれば、逃げ馬不在で展開微妙なレースもあり、行きたい馬が揃って先行激化ムードなど展開を読むのも予想をするうえで重要だ。そして枠順、内枠・外枠では位置取りが大きく変わる馬もいる。ジョッキーでも強気に攻めて乗る人もいれば、スタート上手や下手なジョッキーもいる。剛腕で渋太い馬を動かす人や馬に負担をかけずあたりの柔らかなジョッキーもいるので馬との騎手の相性もポイントのひとつ。
当日パドックの気配は新馬戦には重要
デビュー戦(新馬)は仕上がり早く、ダッシュ・スピードのある馬を狙うべき。ある程度、ゲート練習や能力検査で各馬の仕上がり状態は判断できる。能力検査では馬体に余裕ある造りの馬が多く、その後、乗り込まれてレース当日には能力検査から馬体10キロ以上絞って仕上げられてくるケースが多いので馬体重の数だけではなく、当日パドックの気配は新馬戦には重要。
レース経験の少ない2歳馬には外枠は有利と言える
能力検査の動き平凡ながらデビュー戦でガラッと一変するパターンは枠順の違いとかもある。能力検査では内枠発走で出遅れて砂かぶり動きサッパリ見せ場なく終わった馬がデビュー戦では外枠になり多少の出遅れをしても砂かぶることなく加速しスピード見せて一変した馬も数多くいるのでレース経験の少ない2歳馬には外枠は有利と言える。
能力検査を叩かれて気合い乗り一変しり、スタートに進境見せるタイプもいる。やはり最終追い切り(レースに向けての最後の動き)で好タイムを叩き出し抜群の動きで仕上がりの良さアピールした馬はデビュー戦では期待していい。
ただ、今年からは九州ジュニアシリーズが始まり、荒尾所属の2歳馬は荒尾での新馬戦の認定競走が組まれておらず、デビューする馬は佐賀競馬へ遠征しレースを使うことになり、輸送競馬で馬場も初めてとクリアする課題は多くなりそうだ。
熊本・鹿児島・宮崎・大分と数多くの2歳九州産馬が毎年荒尾からデビュー
荒尾競馬といえば、九州産馬ですよね。3歳の2月には世代最強の九州産馬を決めるたんぽぽ賞(中央3歳500万下・地方オープン)と毎年8月には古馬最強の九州産馬決定戦の霧島賞(中央1000万下・地方オープン)があり、熊本・鹿児島・宮崎・大分と数多くの2歳九州産馬が毎年荒尾からデビューしている。荒尾競馬で活躍した兄姉を持つ血統や母が荒尾で活躍した馬もいれば祖母も走った馬だったなぁ〜と言うパターンもあり、当地馴染みの血統を探して2歳馬を応援しながら馬券を買い、楽しみ方もありますよ。
2歳戦で多く使われる距離は950メートルと1300メートル。
2歳戦で多く使われる距離は950メートルと1300メートル。950メートルの特徴はスタートが2コーナーからで内ラチ沿いは砂がやや深く1番枠と2番枠はスタートダッシュが付きにくいと言われ2歳の若駒は砂かぶり怯む馬も多く、その逆に外枠はスタートの下手な馬でもスムーズにレース運べるので好走するタイプも多い。1300メートルの特徴はスタンド前・直線半ばからのスタートで1コーナーまでの距離が短く、内枠のスピードタイプには有利と言われ内枠で少々の出遅れならコーナーワークで好ポジションが取れるが、逆に外枠の先行タイプは1コーナーまでの距離が短いのでスピードタイプが揃ってしまうと外々を廻されて位置が取り切れず中団や後方になりやすい。
最後に2歳馬で一戦毎に走破時計を縮めている馬は確実に調子上げ、力をつけ成長しているのでメンバーが強くなっていても、そういう馬は狙うべし。
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元「ハロン」編集長オッズパークブログでもおなじみ 斎藤 修氏 |
斎藤 修氏コメント
血のつながりを見るのも楽しい
2歳戦の楽しみは、まずなんといっても血統だ。新種牡馬の産駒がどんな活躍を見せるのか。また母やきょうだいが活躍馬で、実際にそのレースを見たり馬券を買ったことがあったりすると、そうした血統の2歳馬の活躍も楽しみになる。
今年、佐賀で行われた最初のJRA認定競走(5月29日)の勝ち馬ガルホーム(牡)が、新種牡馬ケイムホームの産駒であり、そして本特設サイトの活躍馬のコーナーでもすでに紹介されているとおり、母がアイディアルクインということには驚いた。
父ケイムホームは、北米で2〜3歳時にパシフィッククラシックなどGIで3勝を挙げた輸入種牡馬。すでに中央でも新馬勝ちが2頭(7月17日現在)出ていて、特に地方では各地の競馬場で勝ち馬が続々と出ている。
注目は、やはり母のアイディアルクイン。大井でデビューし、3歳(旧4歳)時は東京プリンセス賞2着、東京ダービー5着など、重賞タイトルにこそ手が届かなかったが、常に上位をにぎわした。5歳(旧6歳)6月に佐賀・真島元徳厩舎に移籍すると、牡馬の一線級を相手に九州王冠(荒尾)、九州大賞典(佐賀)と2つの重賞を制して引退した。
アイディアルクインは、その産駒の活躍もすばらしく、現4歳のネオアサティス(牡、父アサティス)は九州ジュニアチャンピオン(佐賀)を制し、現在は大井に在籍している。3歳のデロース(牡、父ティンバーカントリー)は、残念ながらすでに登録抹消となってしまったが、九州ジュニアチャンピオンで2着と、もうちょっとのところで同重賞きょうだい制覇となるところだった。そして今年デビューしたガルホームは、JRA認定新馬戦に続いて、7月9日の九州ジュニアシリーズ2歳-1組戦でも9馬身差をつけて圧勝。重賞戦線での活躍が期待できそうだ。
ちなみにこの3頭は、いずれも母アイディアルクインが所属した真島元徳厩舎からのデビュー。そうした血のつながりを見るだけでも2歳戦は楽しい。
素質馬が多く入厩する厩舎に注目
2歳戦の予想は難しい。キャリアが少ない馬たちの争いで、予想の根拠となる要素が少ないからだ。特に新馬戦については、多くのファンにとっては馬の走りを見ずして予想をすることになり、専門紙のコメントなどに頼ることになる。
そこで注目したいのは、所属厩舎だ。馬産地・北海道や賞金の高い南関東以外の地方競馬では、2歳時から入厩する馬は少なく、層はそれほど厚くない。それゆえ素質馬が有力厩舎に集中することが多く、やはりそうした厩舎に勝ち星が集中する。そこで佐賀、荒尾それぞれ、昨年のすべての2歳戦における調教師勝ち星ランキングをつくってみた。
【佐賀】
13勝:東眞一(1)
11勝:真島元徳(4)
10勝:土井道隆
4勝:九日俊光(2)
3勝:大垣俊夫、三小田幸人(1)、中川竜馬(1)
2勝:西久保政等、山田勇(1)
【荒尾】
10勝:宇都宮徳一
3勝:平山良一(1)、松島壽
2勝:工藤榮一、坂本彰(1)
(いずれも1勝以下は省略。カッコ内はJRA認定競走の勝利数)
佐賀では上位3名の寡占状態。中でも真島元徳調教師は11勝のうち4勝がJRA認定競走というのは、やはり素質馬が多く入厩しているのだろう。荒尾では宇都宮徳一調教師がほぼ独占。さすがに日本では現役最多の2334勝(7月20日現在)を誇る名調教師だ。
ただ今年からは「九州ジュニアシリーズ」として、すべての2歳戦が佐賀・荒尾の交流戦として行われるので、活躍する厩舎の顔ぶれにも変化があるのかどうか。そうしたところも今年の九州2歳戦線の楽しみとなりそうだ。
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佐賀競馬予想紙 通信社 |
佐賀競馬予想紙 通信社コメント
材料が極端に少なく非常に難解なレースのひとつ
全てが未経験の馬が出走する新馬戦。材料が極端に少なく非常に難解なレースのひとつになります。
まず佐賀から見ると予想のポイントとして最も重要視するのは能力検査前に受ける発走練習の内容です。今の時期は900mからのスタートで流しくる馬、終い重点で追ってくる馬、それぞれの稽古をしてきます。900mを何秒でどんな脚色・手応えできたかが判断基準です。馬なりで60秒を切ってくる馬は仕上がりの良さがうかがえる内容と言えます。60秒以上かかって一杯や強めならまだ仕上がり途上と判断。発走練習の内容と合わせて能力検査の内容が重要になります。ここではタイムよりもレースぶりを重要視します。当然、砂をかぶってダメだった馬やスタートで遅れた馬などいますし、タイムだけでは判断できません。すんなりスタートして手応えに余裕残しできた馬などは本番でも走る傾向にあります。ただ、強調材料である発走練習と能力検査で見せなかった素振りを本番で見せることも多くあります。これが2歳新馬戦の怖さと面白さです。
追いかければ追いかけるほど個々の特徴がわかってきますし面白くなる
今回は荒尾の馬との交流戦になります。その点が更に難解さを深めます。荒尾は800mで能力検査が行われています。馬場差がありますし、直線の長さも違います。すでに数レース消化され荒尾能力検査の判断基準はわかってきました。今のところ800m53秒がひとつのメドです。単純に佐賀との馬場差を1秒プラスし、100m3秒もプラスで計4秒プラスすると57秒。これで佐賀との馬の比較をします。57秒なら本番で更にタイム短縮可能な数字と言えます。数字上の判断はここまでです。
あとは佐賀の馬も荒尾もパドック判断になります。馬体の増減はもちろんのこと、輸送で入れ込みがないかもチェックが必要です。入れ込みがなくても輸送疲れで元気がない馬もいますから、そこはしっかり見極める必要があります。
最終チェックが返し馬になります。フットワークの軽さなどを見ます。
2戦目以降の馬に関してはレースでの癖などをしっかり見ることです。内枠がダメだったり砂をかぶってダメだったり、偶数枠がダメな馬など様々です。
それぞれの馬の特徴を掴むとその後のレースが楽しみになるのは間違いありません。 距離も延びてきますし、条件が合うと好走します。穴狙いにはもってこいのレースです。
2歳馬は予想材料が少なく難解レースですが、追いかければ追いかけるほど個々の特徴がわかってきますし面白くなるレースです。








