ロマンと馬券は一致しないもので

地方競馬ファンとしては△（8）フジユージーンに期待してしまうところだろうが、今回はダイヤモンドカップで戦ったようなメンバーとはわけが違う。

中央勢の中でもタイセイミッションはやや分が悪いが、ダートは確実に走ると分かっている◎（7）サンライズジパング、前走で立ち直り見せた○（1）サトノフェニックス、間隔はあいたが底を見せていない▲（4）カシマエスパーダの三つ巴。

△と×ブラックバトラーは3着があったら大殊勲。

3連単 フォーメーション
1・4・7 ⇒ 1・4・7 ⇒ 1・4・6・7・8（18点）

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須田鷹雄：プロフィール

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」（宝島社）でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。

フジユージーンは初Ｊｐｎ挑戦で通用するか

みなさんが岩手競馬にかかわる人間に聞きたいことは一つ。（8）フジユージーンが通用するか否か―だろう。まずは優勝できる可能性をピックアップしてみたい。
１．デビュー戦の８５０ｍを２秒２差の大差で圧勝し、以降もワンサイドで８戦８勝。負けなしは未知数の強さを意味する。
２．今季２戦は気が先立って折り合いを欠いていたが、東北優駿では鞍上の指示に従い、力みなく走れていた。
３．夏は遠野馬の里へ移動して放牧。坂路で乗り込み「腰からトモ（後肢）にかけて肉付きが良くなった。欲しかった筋肉だったので非常にいい形になった」（瀬戸幸一調教師）。普段は水沢コースで調教しているが、どうしても変化に乏しい。坂路でさらにパワーアップできた。
４．ＪＲＡ、他地区地方馬は盛岡コース未経験だが、フジユージーンは盛岡４戦４勝。ダイヤモンドカップで１８００ｍを経験したのも強味。

今度は負の要素を記してみたい。
１．交流戦は南部駒賞、ダイヤモンドカップの２度のみ。しかも決して一線級ではなかった。今回はＪＲＡの強豪が相手。一気にメンバーが強化された。
２．メイセイオペラは骨折明けのダービーグランプリ、スーパーダートダービーはともかく、川崎記念４着。アブクマポーロに１秒８差つけられた。今回で全国区のペースを経験すれば今後につながるのは確実だが、“初”は割り引きが必要。

結論は△評価。心情的に勝ってほしいのは山々だが、不来方賞は高いステージを目指すためのステップ。もちろん健闘を祈っているのには偽りない。
本命は（7）サンライズジパング。ＪＢＣ２歳優駿でフォーエバーヤングの２着。皐月賞、日本ダービーにも駒を進め、ダート実績もある。やはり主軸視が妥当。

3連単 フォーメーション
7 ⇒ 1・4・8 ⇒ 1・4・6・8・10（12点）

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松尾康司：プロフィール

テシオブログ編集記者。岩手競馬はもちろん、全国の競馬場、世界各国の競馬取材を続ける競馬ライター・予想家。

かつてのダービーグランプリの傾向も参考に

1986年に地方全国交流でスタートした「ダービーグランプリ」は、92～95年までの1着賞金が5千万円。ネット投票も広域場外もない時代に、現金投票だけでそれだけの額を出せるのが岩手の競馬でした。そして96年からはJRAも含めた全国交流に。当初は11月（98年は雪のため12月に順延）でしたが、01年から9月中～下旬に移動。岩手競馬の経営悪化によって06年で廃止されるまで、勝ち馬はすべてJRA。岩手所属馬は3着3回となっています。

そのあと2010年に地方全国交流として復活して、今回は「不来方賞」の名称を引き継いでJpnⅡに格上げ。実質的に昔のダービーグランプリが戻ったと考えていいかと思います。となると、9月に実施された「G1のダーグラ」の連対馬がすべてJRA、というデータが存在感を出してくるわけで、そりゃフジユージーンにがんばってほしくても、的中を目指すためには心を鬼にせねばならんと思います。

ここ数年、岩手競馬の下級条件を中心に俯瞰的に見るようになりまして、そこで感じることは失礼ながら”全体的なレベルの低下”。最近は全国区で活躍できる馬が登場している地区が増えていますが、岩手はそういう点で微妙なのが現状です。8戦全勝のフジユージーンも、メイセイオペラやトーホウエンペラーの時代とは内容が違うような気が……。それが大注目となる形。ならば「人の行く、裏に道あり、花の山」。フジユージーンはキッパリ無印で、好走したら負けを認めて讃えたいと思います。

中心に取るのはレパードステークスで11番人気ながら2着に粘った（１）サトノフェニックス。レース直後、西園正都調教師が「1800mは大丈夫かなと思っていたんだけど、3着には3馬身でしょ。これだったら不来方賞に行くしかないでしょう」とニコニコ顔だった点を重要視しました。（７）サンライズジパングは札幌競馬場で仕上げてからの臨戦。JBC2歳優駿でフォーエバーヤングに僅差2着の実績を見直します。（４）カシマエスパーダも休み明けですが、底力が必要な盛岡2000mに対応できるとみて3番手に推します。

そして4番手は（６）ブラックバトラー。JBC2歳優駿は3着でもサンライズジパングから8馬身差でしたが、びっくり出遅れから最後方をポツンと一人旅だったことを考えると、個人的な印象としては衝撃的な3着。ここでも前が止まって浮上してくる可能性があると思います。

3連単 フォーメーション
1・7 ⇒ 1・4・6・7 ⇒ 1・4・6・7（12点）

馬連　ボックス
1・4・6・7（6点）

3連複　ボックス
1・4・6・7（4点）

ワイド　通常
1・7（1点）

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浅野靖典氏：プロフィール

競馬キャスターとして活躍。全国の競馬関連施設や競馬場巡り、競馬史研究などをライフワークとしている。

フジユージーンが期待と共に駆ける

今年からJpn2に生まれ変わった不来方賞。本命は(8)フジユージーンだ。前走の東北優駿を圧勝後は一ヶ月ほど遠野馬の里に移動、7月下旬に水沢に戻ってここに備えてきた。6月16日以来の実戦になるがここ直行というローテーションは当初の予定通り、中間の調整もごく順調で一週前の実質本追い切りも好タイムでこなしている。レースに向けての態勢は整った。

今回の課題はやはり遠征勢、それもJRA勢との対戦、その作るペースへの対応だ。正直それはそう簡単なものではないはずだが、フジユージーンの地力なら･･･と期待をかけてみたい。

対抗は(4)カシマエスパーダ。デビュー戦こそ敗れたがそこから3連勝、それも走る度に強さを増してきた印象がある。前走で破ったのが三冠路線の前哨戦・雲取賞を制したブルーサンだという事も価値が高い。スタートにやや難が残る点、初左回りの点は課題になるがここまでの勢いへの魅力はその不安を上回る。

三番手は(1)サトノフェニックス。2歳時はちょっと荒削りな印象があったがこの馬も走る度に安定感を増している。レパードSでも海外帰りの休み明けながら直線はいったん先頭に立つ勢い。人気薄の激走と見なすのは危険だ

以下はまず(10)タイセイミッション。前走完勝とはいえ1勝クラス、レースぶりもまだ不安定だけに過信は禁物だが、前々で押し切る形を取りたいこの馬にとって外枠は絶好枠になるはず。強気の立ち回りを挑んでくれば残り目も。(7)サンライズジパングは芝の三冠路線に挑んだ走りは立派なものだったが走りとしてはやや一本調子で器用さはまだまだ。ダートの方が走りがいい事、ハイレベルの戦いで得た経験値に賭ける。もう一頭は岩手勢から(12)バウンスライト。順調さでは他の馬にひけを取っていない。

3連単 フォーメーション
4・8 ⇒ 1・4・8 ⇒ 1・4・7・8・10・12（16点）

単勝
8（1点）

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横川典視氏：プロフィール

テシオブログ編集記者。競馬ライターとしての活動をはじめ、岩手競馬を中心に様々な方面で活躍中。

地元で8戦無敗のフジユージーンに期待

伝統の不来方賞が、今年からダートグレード競走に格上げされてパワーアップ。中央地方ともに強力なメンバーが集まりました！！
ここは地元で8戦無敗の（8）フジユージーンに期待しています。
超大型馬で、デビューした頃はゲートをモソッと出てだんだんと加速していく、という競馬スタイルでしたが、経験を重ね、今年に入ってからは返し馬の段階からかなり前向きさが出てくるようになりました。
すべて圧勝、楽勝ですが、１戦ごとに成長が伺える内容で、前走の東北優駿では前向きさの中にも落ち着きが見られました。
今回は一気のメンバー強化。
不安材料といえば、序盤から速いペースのレース経験がなく、揉まれたことがないので、前半どれだけスムーズに追走できるかではないでしょうか。
そういう意味では枠の並びは理想的。
フジユージーンの外隣は追い込み馬だし、早めに被せて来そうなのはタイセイミッションくらいのため、ごりごりに揉まれることはないと考えています。
このメンバーを相手にどんな競馬を見せてくれるか...とても楽しみです！

対抗は（7）サンライズジパングにしました。
久しぶりのダート戦ですが、この馬は二刀流なので特に心配していません。
唯一気になるのは休み明けで今の状態がどうか、というところですが、札幌ダートでしっかりと時計を出しているので、走れる状態にあると思っています。
JBC２歳優駿の時のように、自分から動いていく競馬ができるのは強み。
武豊騎手が騎乗するのも心強いポイントです。

３番手は（1）サトノフェニックス。
前走のレパードステークスでは海外帰りの休み明けということで人気を落としていましたが、先行して僅差２着に粘り、改めて力のあるところを見せてくれましたね。
ここも先行からの粘り込みに期待です。

３連勝中の（4）カシマエスパーダにも注目。
レースぶりがどんどん良くなっているし、前走は雲取賞を勝ったブルーサンに完勝。
ここでもまったくヒケを取らない存在です。

北海道勢２頭も展開次第で上位争いに食い込む可能性はあると思います。
（6）ブラックバトラーは末脚確かなので、速い流れになれば。
（5）パッションクライは前に行って粘るタイプなので、自分のリズムで先行できればでしょう。
（10）タイセイミッションは砂を被るか被らないかでレースぶりが全然違う馬。
揉まれにくい外枠に入ったのは強調材料です。

3連単 フォーメーション
8・7 ⇒ 8・7・1 ⇒ 8・7・1・4・6・5・10（20点）

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赤見千尋氏：プロフィール

平成10年10月高崎競馬場にて騎手デビュー。以来、高崎競馬が廃止される平成17年1月まで騎乗を続け2033戦91勝。現在は競馬リポーター、ライター、そしてオッズパークの予想ブログ"赤見千尋のRed View"も好評執筆中。

地元で迎え撃つフジユージーン

早くからダート三冠への挑戦が期待されていた（8）フジユージーンが、いよいよ中央勢との対戦となる。中央勢で選定されていたなかからサンライズソレイユが回避して、相手は4頭。前走東北優駿ではほとんど追われることのないまま大差の圧勝。それまで必ずしも順調にはこられなかったなかでも充実ぶりを見せた。中央勢は東京ダービー1、2着馬よりやや格落ちと思えるメンバーで、フジユージーンにとっては地元戦だけに、勝ってジャパンダートクラシックへと駒を進めてほしい。

中央勢の筆頭格は（4）カシマエスパーダ。新馬戦こそ4着だったが、その後3連勝。前走鳳雛ステークスでは2番手から直線抜け出す余裕のある勝ち方で、まだ底を見せていない。地方や左回りなど初めての条件をクリアできれば、あっさりというシーンもあるかもしれない。

（1）サトノフェニックスは、兵庫ジュニアグランプリJpnIIでハナ差2着に負けて以降、もどかしいレースが続いているが、前走レパードステークスGIIIは、UAEダービー出走取消からの帰国初戦で11番人気という評価ながら、1番人気ミッキーファイトと直線一騎打ちとなって1馬身差の2着。さらなる上昇があれば好勝負も期待できそう。

（7）サンライズジパングは、JBC2歳優駿でフォーエバーヤングに1馬身半差2着という実績。その後芝を使われてダートに戻ってきた。芝の一線級のスピードを経験しての上積みがあれば勝機はある。

北海道から遠征の2頭、（6）ブラックバトラー、（5）パッションクライは、ともに京浜盃JpnIIでは差のある敗戦だったが、地元三冠で経験を積んでの上積みがあれば上位食い込みも。

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斎藤修氏：プロフィール

NAR『ウェブハロン』、『優駿』、週刊『競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』『地方競馬中継』解説。ドバイ・香港・シンガポール・アメリカなどの競馬にも足を運ぶ。1964年生まれ。