JRA枠4頭だが、（5）ラブタスと（7）ヘリオスはピークを過ぎた感があるうえに60キロと58.5キロ。（1）サンライズホークも黒船賞以降奮わないが59キロ。中央馬では◎（9）エートラックスを推したいが、地方馬にもかなりチャンスがある。

昨年3着の○（3）スペシャルエックス、57キロはやや厳しいが▲（4）アラジンバローズには◎を負かしての1着まで期待。3着なら×（2）ギガースにもチャンスがある。

3連単 フォーメーション
9 ⇒ 1・3・4 ⇒ 1・2・3・4・5・7（15点）
1・3・4 ⇒ 9 ⇒ 1・2・3・4・5・7（15点）

須田 鷹雄 氏：プロフィール

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」（宝島社）でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。

今年の南部杯検討に際し、昨年のレースをご覧になってほしい。3番枠に入った（1）レモンポップが馬なりで先頭に立ち、道中の手応えも抜群。2番手イグナイターは4コーナー手前まで追走できたが、あとは突き放される一方。レモンポップは上がり3ハロンを34秒7でフィニッシュし、2着イグナイターにつけた2秒差は北日本時代も含めて最大着差。まさにレモンポップの独演会となった。

今春、2度目の中東遠征でも苦戦を強いられたが、今年JpnIへ昇格したさきたま杯を完勝。国内では11勝2着3回と連対パーフェクトを継続した。
今年も断然の人気を集めるのは確実だが、一つ気になることがある。最内1番枠を引き当てたからだ。1996年、南部杯が水沢から盛岡ダート1,600mへ移行して以降、1番枠の優勝は一度もなし。連対は何度かあるが、1番枠は鬼門になっている。

理由は以前にもお伝えしたが、盛岡マイルのコース形態。スタートしてほぼ直線800mは内に包まれると、外から被せられて自己ポジションを取りづらくなる。競馬の原則は基本内枠が有利だが、時に不利になる。

今年のマーキュリーカップを思い出してほしい。メイショウフンジンが1番枠に入り、逃げを疑わなかったが、外から（5）ヒロシクンが激しくハナを主張。それを見ていったん下げて外に出そうとしたが、クラウンプライドが外から被せて閉じ込めた。距離は2,000mだったが、仮にレモンポップが出負けしたらどうなるか。

もちろんレモンポップのスピードを信じているが、まずはスタートを注視してほしい。注目は△になってしまったが、（7）サヨノネイチヤ、（2）ミックファイアの南関東2頭。仮に南関東勢が優勝すれば南部杯史上初の快挙となる。

3連単 フォーメーション
1 ⇒ 4・7・14 ⇒ 2・4・7・14（9点）

松尾 康司 氏：プロフィール

テシオブログ編集記者。岩手競馬はもちろん、全国の競馬場、世界各国の競馬取材を続ける競馬ライター・予想家。

個人的に兵庫ゴールドトロフィーは現地でちょいちょい見させていただいておりまして、59.5kgのスーニが勝った2011年も現地で観戦。その後も59.5kgのドリーバレンチノが2着に入った15年、58kgのグレイスフルリープが勝った17年なども見ておりまして、イメージとして「ハンデが重くても大丈夫」というイメージがあります。その反面「最近の成績がビミョーな重い馬はキツイ」というイメージも持っております。

一方、軽い馬が上位に食い込んだケースも見ておりまして、たとえば52kgのイルティモーネ（兵庫）が2着に入った19年、53kgのジョーメテオ（浦和）が2着でサクラシャイニー（高知）が3着だった14年も現地。両方ともトップハンデの馬は、最近の成績がイマイチでした。昨年は57kg→59.5kg（トップハンデ）→53kgで、1番人気の58kgは5着。一昨年は重い馬3頭が3着以内を独占。3年前は58kg→59kg（トップハンデ）→52kg（イグナイター）でした。さて今年は？

という観点から出走馬を見ると、60kgの（5）ラプタスをどう考えるかが最初の関門。佐賀のサマーチャンピオンは60kgで2着でしたが、あのときは出走全馬の騎手が地方所属という特異事例。しかもラプタスはパドックの気配がとても良かった……。でもこのレースで3回とも3着以内という実績は不気味。最終的に、押さえる必要があると判断しました。

次に重いのは（1）サンライズホーク。昨年の勝ち馬ですが、最近は先行できなくてイマイチの成績。それでも前走の武蔵野ステークスは5着でも好位で粘り込んだ内容は上々で、12～1月が3戦3勝という実績を考えるとヌケにはできません。

でも58.5kgの（7）ヘリオスは最近の成績的に厳しそう。57kgの（9）エートラックスは、4月の兵庫チャンピオンシップが余裕ある逃げ切りでしたが、前走が負けすぎという点を考えて無印にします。

地方所属でもっとも重い（4）アラジンバローズも無視できない存在。勝ち切る可能性まであると見ました。問題は55kg以下の馬でして、気になるのは「ハンデ戦になった07年以降、55kgで3着以内に入った馬はゼロ」というデータ。54kgも岩手のラブバレット（17年）が2着、兵庫のオオエライジン（11年と12年）が3着に入った例があるだけです（09年は牝馬のラヴェリータ（JRA）が54kgで3着）。今年の54kgの2頭はどうなのか……と考えると、3着候補が妥当では。53kg以下の馬も同様かなと思います。

ただし、（6）エコロクラージュは2列目に入れる手があるかも。もともとJRAの牧浦厩舎でデビューする予定が仕上がりが遅く、兵庫に移って3歳2月に初戦という経歴があるプロフィール。牧浦厩舎のサンライズホークと、元・牧浦厩舎のエコロクラージュが両方とも上位に入る目は考えていいかと思います。

3連単 フォーメーション
1・4 ⇒ 1・4・5・6 ⇒ 1・3・4・5・6・8・10（30点）

浅野 靖典 氏：プロフィール

競馬キャスターとして活躍。全国の競馬関連施設や競馬場巡り、競馬史研究などをライフワークとしている。

今年もまたフェブラリーＳ覇者対前年の覇者の構図になった南部杯。本命は（1）レモンポップを採る。
昨年の逃げ切り勝ち、それも後続に大差を付ける圧倒的な勝利の印象は1年経った今でも強烈。それはファンのみならず関係者にとっても同様で、他馬の陣営からも「あの馬が今年も強いだろう」という声が必ず聞こえてくるほど。これがさきたま杯のような小回りコースなら、あるいはもっと長い距離なら、紛れが生じる余地もあるだろうが、ワンターン・マイルという力を出しやすいコース形態、特にレモンポップのような快速先行馬にとってはベストとも言える舞台でとなると、いきおいレモンポップの出方にどう対応するか？が話の前提になるのは仕方がないとも言えるだろう。

さて、レモンポップの前走・さきたま杯は終始行き脚を促す厳しい形にはなったが、それは小回り・1,400ｍの条件で勝つために採った策であって、それで勝ち切ったことを高く評価していいもの。直前の追い切りでの併走遅れも実質的な本追い切りは事前に済ませており大きな影響は無いと見ていいもの。
カギは馬場状態で、今年は好天が続いた状態で本番を迎えることになりそうなだけに昨年のような超高速馬場ではない公算が高く、昨年のような大差勝ちまでは無いと考えるのが妥当なのだろうが、それでもこの馬の先行力は計算できるはず。

対抗は（4）タガノビューティー。追い込んで届かずが多いのは陣営も認めるところ。しかし末脚は常に強烈でG1級でも勝利目前まできているのも確かだ。昨年のこのレースや今年のかしわ記念、さきたま杯は前が止まらない状況に追い上げきれなかったが存在感はしっかり見せている。昨年のかしわ記念のように競り合う形に持ち込めたなら惜敗続きにピリオドも。
（14）ペプチドナイルが三番手。フェブラリーＳは11番人気からの勝利だったが、本格化してきた今、その人気が彼の実力を反映したものとするわけにはいかない。この馬にとってのカギであり懸念は大本命の影響を受けやすい脚質になるという点。フェブラリーＳのように勝負所までスムーズに、脚を使わずに流れに乗っていけるかが焦点で、それには◎の出方が大きく影響する。うまく流れを掴めたなら･･･だが果たして。

△筆頭は大井（7）サヨノネイチヤを。いろいろ初物尽くしなだけに過大な期待は禁物だろうが、帝王賞でもJRA勢の間に割って入っているように今の勢いは魅力十分。先行勢の動き次第では一角崩すシーンも想像してみたい。
そして（2）ミックファイア。マイルに矛先を変えてここ参戦も早い時期から決めていた。間隔は開いたが仕上がりは順調、あとは長距離輸送の影響がどうか？だけ。

（10）ダイシンピスケスは中距離で伸びてきた近走だが左回り・マイルを苦手にはしていない。間隔短めとは言えひと叩きされて挑んでくる点も有利と考えたい。

3連単 フォーメーション
1・4 ⇒ 1・4・14 ⇒ 2・4・7・10・14（15点）

横川 典視 氏：プロフィール

テシオブログ編集記者。競馬ライターとしての活動をはじめ、岩手競馬を中心に様々な方面で活躍中。

ここまでの23年間JRA勢が勝利してきた兵庫ゴールドトロフィーですが、今年こそ地方馬にもチャンスがあると思っています。
本命にしたのは（3）スペシャルエックス。
昨年のこのレースでは53キロで3着と健闘。自分の形ではなかったものの、最後に伸びて来て新たな一面を見せてくれました。
そこからまた1年が経過し、ポラリスサマースプリントと道営スプリントを制覇。
スムーズに先行できた時の強さは圧巻で、54キロで挑めるのも好材料。
久しぶりの1,400m戦ですが、すでに結果を出しているコースなので特に気になりません。初の地方馬勝利を期待しています。

対抗は（9）エートラックス。
黄金世代と言えるような強さを見せている3歳世代の中でも、トップクラスの力がある馬です。
園田ではすでに兵庫チャンピオンシップを勝利。あの時は先手を主張して逃げ、チカッパを退けての1着でした。
前走の東京盃では大敗してしまいましたが、今回のメンバーであれば先行できると思うので、巻き返しは必至でしょう。

3番手は（2）ギガース。この馬もレベルの高い3歳世代。
楠賞では好位から早め先頭の攻めの競馬で、僅差3着と見せ場十分の内容でした。
53キロであれば、歴戦の古馬相手でも十分通用すると思います。

（11）マックスは東京盃で僅差の2着と大健闘。
もともと力のある馬でしたが、展開一つでダートグレードにも手が届くことを証明しましたね。
前走JBCスプリントで久々の1,400mを走っていて、続けてこの距離が使えるというのはプラスに働きそうです。
決め手勝負になれば（10）フォーヴィスム、59キロでも力のある（1）サンライズホーク、7歳の今年充実期に入った（4）アラジンバローズまで。

3連単 フォーメーション
3・9 ⇒ 3・9・2 ⇒ 3・9・2・11・10・1・4（20点）

赤見 千尋 氏：プロフィール

平成10年10月高崎競馬場にて騎手デビュー。以来、高崎競馬が廃止される平成17年1月まで騎乗を続け2033戦91勝。現在は競馬リポーター、ライター、そしてオッズパークの予想ブログ"赤見千尋のRed View"も好評執筆中。

競馬をこよなく愛す人力舎の芸人、盛岡出身のアンダーパーの藤原です。

盛岡競馬、秋の風物詩「南部杯」の季節が今年もやって参りました。
南部杯が終わると秋の皮を被った冬が到来し、ストーブの準備が始まる我が故郷。
馬券で懐を温かくして冬に備えたい所です。

◎は二連覇を狙う（1）レモンポップ。
距離、枠、初場所など不安視されても一蹴して勝つ昨年JRA最優秀ダート馬。
強いです。強いとは何か？そう、頭固定です。

対抗は（4）タガノビューティー。
スタートで後手を踏むタイプながら、最後は良い脚を使って上位に入ってくる安定感が売り。
昨年よりも過程は順調ですし、今回は先手を取りたいメンバーの多い中で、前が崩れた時は…ウヒヒ！と想像をしてしまいたくなりますね。じゅるり（ヨダレが垂れる音）

▲はマイル適正に疑いの余地なし（14）ペプチドナイル、△の一頭に距離短縮は良い方向に働く気がする（10）ダイシンピスケス。
ただ、共に脚抜きが良い馬場の方が展開は向きますから当日の馬場次第ですね。

そして個人的注目は（8）アラジンバローズ。
兵庫所属ですが元々中央OPクラスで好走していた馬。
日程が変更になった佐賀サマーチャンピオンで勝ったタフさも含め、地方所属では注目したい一頭です。

3連単 フォーメーション
1 ⇒ 4 ⇒ 2・7・8・10・14（5点）
1 ⇒ 2・7・8・10・14 ⇒ 4（5点）

アンダーパー藤原 氏：プロフィール

人力舎芸人・競馬大好き芸人・オッズパークライブMC担当。岩手県盛岡市出身・初の南部杯予想に参戦！

（9）エートラックスの前走東京盃JpnIIは、直線追うのをやめてしまって惨敗だったが、兵庫チャンピオンシップJpnII、北海道スプリントカップJpnIIIでは、のちにJBCスプリントJpnIでハナ差2着に好走するチカッパと1、2着を分け合った。兵庫チャンピオンシップJpnIIIは今回と同じ57kgで1分28秒4という勝ちタイム。園田が白い砂になって以降のこのレースの勝ちタイムとも遜色なく、能力発揮なら勝ち負けが期待できる。

（4）アラジンバローズは、サマーチャンピオンJpnIIIを勝ったときはハンデ54kgに恵まれたようなところもあったが、定量57kgのJBCスプリントJpnIでも、勝ったタガノビューティーから0秒3差の3着に健闘。今回、JRAの古馬が58.5kg以上を背負うところでの57kgならチャンスはありそう。このレース、過去23回JRA勢の全勝だが、地方馬初勝利の期待もかかる。

（2）ギガースは、楠賞ではゴール前3頭接戦で3着に敗れたが、4コーナー先頭で直線を向いて、早めに抜け出してしまうと他の馬を待ってしまうという癖が出てしまったかもしれない。春の兵庫チャンピオンシップJpnIIIはエートラックスの5着だったが、今回エートラックスがそのときと同じ57kgに対して、ギガースは53kgと4kgも軽くなった。能力発揮なら逆転まであるかもしれない。

（1）サンライズホークは昨年このレースを含めダートグレード3連勝と快進撃を見せたが、その後はやや落ち込んだ。ここ2戦で復調という走りを見せただけに、あとは昨年より2kg重いハンデ59kgの影響がどうか。

（5）ラプタスは地方の小回り1,400メートルのダートグレードで5勝。この兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIでも、一昨年59kgを背負って勝利。今回トップハンデ60kgだが、今年のサマーチャンピオンJpnIIIでも60kgでアラジンバローズに3/4馬身まで迫って2着。このレースはこれまで3回出走していずれも3着以内と相性のいいコースだけに侮れない。

（11）マックスは東京盃JpnIIでチカッパに半馬身差2着。JBCスプリントJpnIも0秒9差6着なら好走といえる内容。中央の強敵相手でも崩れることがなく、上位食い込みはありそう。

昨年ゴール前接戦の3着だった（3）スペシャルエックスは、4歳になって昨年より1kg増のハンデ54kg。内枠で包まれると厳しいので、すんなりハナをとれるかどうかが鍵になりそう。

斎藤 修 氏：プロフィール

NAR『ウェブハロン』、『優駿』、週刊『競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』『地方競馬中継』解説。ドバイ・香港・シンガポール・アメリカなどの競馬にも足を運ぶ。1964年生まれ。