ばんえいオークスは1,2番人気が勝つことが多い一方、一昨年や2016年（いずれも9番人気馬が勝利して3連単50万円以上）のようにレースが丸っきりおかしくなるかの両極端な面がある。定量戦なのに大波乱もあるというのはおかしな話だが、重量差ではなく670キロという絶対値に人気馬が挫けてしまうと大波乱になるのだと思う。

その点、今年の◎（7）スマイルカナは菊花賞で牡馬を相手に680キロを曳いてきているし、格付け的にも他馬とはだいぶ差がある存在。ここはアタマ固定でいいだろう。B3でもある程度の勝負ができる○（2）カツエアリー、▲（8）カフカと、夏以降成長が著しく、2着争いをしていた馬たちが末脚鈍ったところに差してきそうな△（4）ヨシノヒメの3頭を2着候補に。

3連単 フォーメーション
7 ⇒ 2・4・8 ⇒ 2・4・5・6・8・10（15点）

須田 鷹雄 氏：プロフィール

1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」（宝島社）でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。

今年の南部杯検討に際し、昨年のレースをご覧になってほしい。3番枠に入った（1）レモンポップが馬なりで先頭に立ち、道中の手応えも抜群。2番手イグナイターは4コーナー手前まで追走できたが、あとは突き放される一方。レモンポップは上がり3ハロンを34秒7でフィニッシュし、2着イグナイターにつけた2秒差は北日本時代も含めて最大着差。まさにレモンポップの独演会となった。

今春、2度目の中東遠征でも苦戦を強いられたが、今年JpnIへ昇格したさきたま杯を完勝。国内では11勝2着3回と連対パーフェクトを継続した。
今年も断然の人気を集めるのは確実だが、一つ気になることがある。最内1番枠を引き当てたからだ。1996年、南部杯が水沢から盛岡ダート1,600mへ移行して以降、1番枠の優勝は一度もなし。連対は何度かあるが、1番枠は鬼門になっている。

理由は以前にもお伝えしたが、盛岡マイルのコース形態。スタートしてほぼ直線800mは内に包まれると、外から被せられて自己ポジションを取りづらくなる。競馬の原則は基本内枠が有利だが、時に不利になる。

今年のマーキュリーカップを思い出してほしい。メイショウフンジンが1番枠に入り、逃げを疑わなかったが、外から（5）ヒロシクンが激しくハナを主張。それを見ていったん下げて外に出そうとしたが、クラウンプライドが外から被せて閉じ込めた。距離は2,000mだったが、仮にレモンポップが出負けしたらどうなるか。

もちろんレモンポップのスピードを信じているが、まずはスタートを注視してほしい。注目は△になってしまったが、（7）サヨノネイチヤ、（2）ミックファイアの南関東2頭。仮に南関東勢が優勝すれば南部杯史上初の快挙となる。

3連単 フォーメーション
1 ⇒ 4・7・14 ⇒ 2・4・7・14（9点）

松尾 康司 氏：プロフィール

テシオブログ編集記者。岩手競馬はもちろん、全国の競馬場、世界各国の競馬取材を続ける競馬ライター・予想家。

出走する10頭の前走欄を見ると、前走に「A」の文字があるのは（7）スマイルカナだけ。これはもう力量が上と考えるのが妥当で、ばんえい競馬では平地に比べると出現回数が少ない「頭鉄板」だと考えていいでしょう。まして3歳牝馬限定戦で、負担重量は全馬が同じ。単勝オッズは1倍台前半、それも元返しに近づくレベルになると思います。

したがって、3連単は絞るのが吉。競馬界には「頭が堅いと2着が……」という格言がありますが、今回は2着に人気薄が食い込むことを期待するのは悪手だと判断しました。スマイルカナに次ぐ馬がどれなのか、それがまったく分からない感じですからね。まして、前走がB3－1組が5頭、B4－1組が2頭、B4-3組が2頭。そして着順の差もまあまあある……となれば、前走がB3－1組で僅差2着だった（8）カフカを2列目に置く形でいいでしょう。

そのほかのB3-1組から臨む馬で勝負権がありそうなのは、4着だった（2）カツエアリーと6着だった（4）ヨシノヒメくらい。それで買い目を増やすくらいなら、3列目だと決めてしまうほうが妙味ありと判断しまして、最近の着順がいまひとつでも相手なりに動いている（5）オオネガイキンヒメを含めて押さえます。今回は”一点あたり豪華主義”というスタイルにしてみたいと思います。手を広げないで絞る、こういう形はまさに”勝負”です！

3連単 フォーメーション
7 ⇒ 8 ⇒ 2・4・5（3点）
3連複 フォーメーション
7 ⇒ 8 ⇒ 2・4・5（3点）
馬連 通常
7 ⇒ 8（1点）
ワイド 通常
7 ⇒ 8（1点）

浅野 靖典 氏：プロフィール

競馬キャスターとして活躍。全国の競馬関連施設や競馬場巡り、競馬史研究などをライフワークとしている。

今年もまたフェブラリーＳ覇者対前年の覇者の構図になった南部杯。本命は（1）レモンポップを採る。
昨年の逃げ切り勝ち、それも後続に大差を付ける圧倒的な勝利の印象は1年経った今でも強烈。それはファンのみならず関係者にとっても同様で、他馬の陣営からも「あの馬が今年も強いだろう」という声が必ず聞こえてくるほど。これがさきたま杯のような小回りコースなら、あるいはもっと長い距離なら、紛れが生じる余地もあるだろうが、ワンターン・マイルという力を出しやすいコース形態、特にレモンポップのような快速先行馬にとってはベストとも言える舞台でとなると、いきおいレモンポップの出方にどう対応するか？が話の前提になるのは仕方がないとも言えるだろう。

さて、レモンポップの前走・さきたま杯は終始行き脚を促す厳しい形にはなったが、それは小回り・1,400ｍの条件で勝つために採った策であって、それで勝ち切ったことを高く評価していいもの。直前の追い切りでの併走遅れも実質的な本追い切りは事前に済ませており大きな影響は無いと見ていいもの。
カギは馬場状態で、今年は好天が続いた状態で本番を迎えることになりそうなだけに昨年のような超高速馬場ではない公算が高く、昨年のような大差勝ちまでは無いと考えるのが妥当なのだろうが、それでもこの馬の先行力は計算できるはず。

対抗は（4）タガノビューティー。追い込んで届かずが多いのは陣営も認めるところ。しかし末脚は常に強烈でG1級でも勝利目前まできているのも確かだ。昨年のこのレースや今年のかしわ記念、さきたま杯は前が止まらない状況に追い上げきれなかったが存在感はしっかり見せている。昨年のかしわ記念のように競り合う形に持ち込めたなら惜敗続きにピリオドも。
（14）ペプチドナイルが三番手。フェブラリーＳは11番人気からの勝利だったが、本格化してきた今、その人気が彼の実力を反映したものとするわけにはいかない。この馬にとってのカギであり懸念は大本命の影響を受けやすい脚質になるという点。フェブラリーＳのように勝負所までスムーズに、脚を使わずに流れに乗っていけるかが焦点で、それには◎の出方が大きく影響する。うまく流れを掴めたなら･･･だが果たして。

△筆頭は大井（7）サヨノネイチヤを。いろいろ初物尽くしなだけに過大な期待は禁物だろうが、帝王賞でもJRA勢の間に割って入っているように今の勢いは魅力十分。先行勢の動き次第では一角崩すシーンも想像してみたい。
そして（2）ミックファイア。マイルに矛先を変えてここ参戦も早い時期から決めていた。間隔は開いたが仕上がりは順調、あとは長距離輸送の影響がどうか？だけ。

（10）ダイシンピスケスは中距離で伸びてきた近走だが左回り・マイルを苦手にはしていない。間隔短めとは言えひと叩きされて挑んでくる点も有利と考えたい。

3連単 フォーメーション
1・4 ⇒ 1・4・14 ⇒ 2・4・7・10・14（15点）

横川 典視 氏：プロフィール

テシオブログ編集記者。競馬ライターとしての活動をはじめ、岩手競馬を中心に様々な方面で活躍中。

2歳時には黒ユリ賞を勝ち、イレネー記念でも2着と牡馬に混じっても世代トップレベルの力があることを証明しました。
今シーズンはなかなか勝ち切れませんでしたが、9月の秋桜賞を勝つと、ばんえい菊花賞も勝利。前走はA2で5着ですから、他の馬たちが普段B級で戦っていることを考えると、実績的にも抜けています。
しかも定量戦で他の馬たちと同じ670キロを曳きますから、死角はないのではないでしょうか。

問題は相手探し。
今シーズン一度も大崩れしていない（8）カフカを推したいです。
黒ユリ賞では5着でしたが、そこからかなり力を付けました。ここ最近は4戦続けての2着。あと少しで勝ち切れないものの、安定して力を発揮しています。
久しぶりの重賞挑戦で、どのくらい成長しているか試金石になる一戦になりそうです。

（4）ヨシヒメの成長ぶりも目立ちますね。
馬体重は夏に1トンに乗り、順調に成長を続けています。

前走は6着とはいえ大きく負けていないですし、牝馬同士の重賞ならばチャンスはあると思います。

夏辺りから成長を感じる（2）カツエアリー、馬体重が順調に増えている（6）ヤマノヒメまで。

3連単 フォーメーション
7 ⇒ 8・4 ⇒ 8・4・2・6（6点）

赤見 千尋 氏：プロフィール

平成10年10月高崎競馬場にて騎手デビュー。以来、高崎競馬が廃止される平成17年1月まで騎乗を続け2033戦91勝。現在は競馬リポーター、ライター、そしてオッズパークの予想ブログ"赤見千尋のRed View"も好評執筆中。

競馬をこよなく愛す人力舎の芸人、盛岡出身のアンダーパーの藤原です。

盛岡競馬、秋の風物詩「南部杯」の季節が今年もやって参りました。
南部杯が終わると秋の皮を被った冬が到来し、ストーブの準備が始まる我が故郷。
馬券で懐を温かくして冬に備えたい所です。

◎は二連覇を狙う（1）レモンポップ。
距離、枠、初場所など不安視されても一蹴して勝つ昨年JRA最優秀ダート馬。
強いです。強いとは何か？そう、頭固定です。

対抗は（4）タガノビューティー。
スタートで後手を踏むタイプながら、最後は良い脚を使って上位に入ってくる安定感が売り。
昨年よりも過程は順調ですし、今回は先手を取りたいメンバーの多い中で、前が崩れた時は…ウヒヒ！と想像をしてしまいたくなりますね。じゅるり（ヨダレが垂れる音）

▲はマイル適正に疑いの余地なし（14）ペプチドナイル、△の一頭に距離短縮は良い方向に働く気がする（10）ダイシンピスケス。
ただ、共に脚抜きが良い馬場の方が展開は向きますから当日の馬場次第ですね。

そして個人的注目は（8）アラジンバローズ。
兵庫所属ですが元々中央OPクラスで好走していた馬。
日程が変更になった佐賀サマーチャンピオンで勝ったタフさも含め、地方所属では注目したい一頭です。

3連単 フォーメーション
1 ⇒ 4 ⇒ 2・7・8・10・14（5点）
1 ⇒ 2・7・8・10・14 ⇒ 4（5点）

アンダーパー藤原 氏：プロフィール

人力舎芸人・競馬大好き芸人・オッズパークライブMC担当。岩手県盛岡市出身・初の南部杯予想に参戦！

牡馬相手に2番人気でばんえい菊花賞を制した（7）スマイルカナの能力が抜けている。2月には黒ユリ賞を制し、イレネー記念でも2着だったという実績も十分。ばんえい菊花賞を勝った賞金でB1からA2にクラスが上がった前走はいきなりのA2-1特別で、着順こそ5着だが、障害ひと腰で勝ち馬と8秒3差は善戦といえる内容。他9頭がB3以下というメンバーで、今回その馬たちは前走より35〜50kg重い重量となるなか、スマイルカナは前走より15kg軽くなっての定量670kg。ばんえい競馬ゆえ絶対とはいえないものの、よほどのことがなければ負けないのではないか。

（8）カフカは今シーズン15戦5勝で3着以内を外したのが2回だけで、それも4着。確実に力をつけた。B3に昇級しても、勝ちきれないながら2着4回に3着1回。相手筆頭はこの馬。ただ前走でも道中で抑えがきかず、障害をひと腰で越えられたぶん勝ち馬と差のない2着に持ち込めたものの、折り合いという面で不安はある。

ばんえいオークスは過去10年で、1番人気【4-1-1-4】、2番人気【3-2-1-4】と中心は1、2番人気ではあるものの着外も少なくなく、また9・10番人気も2勝、3着2回の馬券圏内がある。昨年は2→1→3番人気と上位人気での決着だったが、3歳牝馬のレースらしく波乱も期待できる。今年はスマイルカナの軸堅で、能力拮抗のヒモ荒れを期待する。

斎藤 修 氏：プロフィール

NAR『ウェブハロン』、『優駿』、週刊『競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』『地方競馬中継』解説。ドバイ・香港・シンガポール・アメリカなどの競馬にも足を運ぶ。1964年生まれ。