オートレースドキドキコラム

難走路への対応

2024年04月12日

 一日を通して良走路、もしくは重走路なら対応もしやすいが、徐々に走路が変化してくると...。
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 4月9日の川口オートは暴風雨で第1Rが始まり、そこからは雨も風も徐々に治まっていったが2、3Rあたりはまだ走路に水たまりができていて最も悪条件でのレースとなった。その第2Rで1着を取った選手は「(水たまりの)抵抗がないようになるべく足をつかないようにして走りました。足をつくと水の抵抗で、足が後ろに持っていかれちゃうので。風も強くて難しかったですね。試走はうまく走れなかったです」。やはり通常の重走路とも違い、気を使った走り方になるようだ。
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 第3Rで勝利した選手からは、ひと味違ったコメントが聞かれた。(今日の雨は降り方がひどかったですね)と話を振ったところ「いや、これが一番好きです。雨が降れば降るほどみんなが走りにくくなるし、みんな嫌がれば嫌がるほどチャンスあるので」と、逆転の発想もあるようだ。特殊な重走路にも「あまり足をつかないようにした。足をつかないで走ればいいのは知っていたし、ちょん、ちょんとつくくらいにして走りました」。対策面もバッチリだ。
 
 第5Rあたりからは水たまりがなくなってきたが、そのレースを制したのは雨巧者で定評のある選手。(同じ重走路でも濡れ方とか水の量とかで感じは違いますか?)「全然違う。試走からタイムが違うしね。でも、自分は走り方は特に変えない。川口走路は外を回れるから。他の場は違うよ。今日の2Rとか3Rだと足がつけないくらいだったから足を持っていかれちゃうけど、今はそんなに水がなかったからね。(今さらですけど、重走路をこなすコツとかあるんですか?)コツなんかないよ。セッティングも晴れと変わらないし。メンタルがでかいよ」。雨巧者のコメントに多いのが『雨は気持ちで乗る』だ。
 
 第7Rくらいになると、走路に乾いた部分がポツポツと見え、いわゆるブチ走路。(走路状況が変わってきて、レースも難しかったと思いますが?)「どこまで(車を)寝かせていいか分からないから怖かった。まだ寝かせられる、まだ寝かせられるって探りながら走ってました。朝練は嵐の中、乗りましたよ。その時とレースは全然、状況が違ってました。朝は水がたまっていたから、キャブの調整だけ変えていって、レースは乗りやすかったですよ」。走路状況の変化に、キャブ調整で合わせられた様子。
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 第8Rの試走ではだいぶ走路の水気が減ってきたが、レース前に小雨が降り、再び走路一面に乾いた部分がなくなった。そこで1着の選手は「まあ、濡れ切っちゃったんで、重走路だと思っていきました。タイヤも雨タイヤでいきました。タイヤは迷ったんですが、もう1回雨が降ってくれたので結果的に良かったです」。タイヤの選択が走路状態にうまくマッチしたようだ。
 
 第9Rは試走で雨が降っていたがレースでは止んで走路はブチに近かった。1着選手は「エンジン的に乗りやすかったです。自分の場合はドシャ降りだからセッティングをどうするとかはなくて、内を回りたいか外を回りたいかによってセッティングを変えます。今日はうまく合ってくれましたね」。
 
 第10Rはだいぶスピードが出る走路状況に変わっていった。「1、2コーナーはまだ滑る感じで3、4コーナーは食いつく感じがありました。3、4コーナーの方が乾きが早かったかな」と1着選手のレース後のコメント。走路状態はかなり特殊だったようだ。「自分は雨でも晴れのセッティングで乗るんですよ。前は雨のセッティングもやってたんですけど、そこまでやると訳わかんなくなっちゃうので。乗り方は変えますけどね」。難走路でも乗り手でカバーしていた。
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 第11Rになると、ほぼ良走路に近いタイムが出ていた。勝った選手は「ほとんど9割方晴れだった。準備も晴れ用で行ったよ。今日はレースまでに3回タイヤを換えたよ」。走路コンディションを考えて入念にタイヤを選び、それが奏功。
 
 優勝戦は上がりタイム3・378が出て良走路と言える状態だった。優勝者は「いろんなパターンのタイヤを作っておいてって感じで、タイヤの準備が忙しかったですね」。万全の状態でレースに臨めるように手を動かしていた。
 
 走路の状態によって選手はいろいろ対応を考えなければならないので大変ではあるが、それがうまくいった時は喜びもひとしおだろう。

 文/高橋

 

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