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  • GIRLS KEIRIN × Odds Park Ver.2

    日本競輪学校1泊2日体験記!

    赤見 千尋

―競輪学校とは

静岡県は修善寺にある日本競輪学校に行って来ました!ここは日本で唯一の競輪学校であり、プロとして競輪選手になるためには必ず卒業しなくてはならない学校です。修善寺駅から車で約15分、途中から野生のシカが飛び出してくるような山道を登って行き、山の中腹から頂に面した約50,000坪という広大な敷地面積を誇ります。その中には、400mバンクが2つ、333mバンクが1つ、250mバンクが1つ、さらに屋内ローラー場や自転車整備場、校舎、体育館、生徒宿舎に至るまで、競輪選手になるためのありとあらゆる訓練をする施設が整っています。

競輪学校への受験資格は間口が広く取られています。例えば他の公営競技選手になるために存在する制限、年齢や身長、体重、視力などの制限は一切ありません。そのため、他のスポーツ競技を極めた後に競輪学校に進む生徒も多く、幅広い才能を持った人材が集まっています。現在の生徒数は、109期(男子のみ)50人、110期(女子のみ)22人。5月に入学し、翌年の3月に選手資格検定試験を受け、合格した者のみが選手になれます。約11か月という短期間でプロ選手になるために、競輪学校では日夜厳しい訓練が行われているのです。

―1日目スタート

競輪学校に到着し、まず最初にいただいたのがお昼ご飯。1日2食のわたしにとって、競輪学校体験の中で一番辛かったのが食事です。とっても美味しいし、管理栄養士さんがバランスを考えて作ってくれる素晴らしい食事なんですが…とにかく量が多い!なんと1日の摂取カロリーは、男子が5000キロカロリー、女子は4000キロカロリーを推奨しているそう。一般の成人では、1日2000キロカロリーが理想的と言われていますから、とんでもなく多い量なのです。話には聞いていましたが、トレイにてんこ盛りに乗った品々を見ただけで、満腹感でいっぱいになりました。が、そこはせっかくの競輪学校体験。「(よっぽどのことがない限りは)残してはいけない」というルールに従い、有難くいただきました。

満腹になったあとは、眠い目をこすりながら授業に参加。この日は、1時限目が生活(ホームルーム)、2時限目はスポーツ医学でした。他にも自転車整備技術やスポーツ栄養学、法規などの授業があり、競輪選手になるための知識をしっかりと学びます。

―恐怖の自転車体験

 1泊2日中かなりの大雨が降っていたのですが、1日目の午後、一瞬だけ雨が上がった時間がありました。その隙を突いて、念願のバンク体験!自転車といえばママチャリしか乗ったことがないわたしですから、ピストレーサーというレース仕様の自転車に跨るのは初めての経験。「ブレーキがないうえに、脚をペダルに固定する」というのは、想像以上に恐怖感がありました。しかも、普通の自転車と違って‟ペダルが空転しないので、止まるその瞬間まで脚の回転を止めてはいけないんです。教官から「絶対僕が受け止めるから!」と言っていただき、覚悟を決めてスタート。最初はおっかなびっくりユルユルと走っていたのですが、ペダルが思った以上に軽くて、どんどんスピードに乗って行きました。2、3周もすると「自分で止まることができない」という恐怖も忘れ、鼻歌混じりに気持ちよく風を切っていました(笑)。6周回ったところでスピードをゆるめ、教官に受け止めてもらって無事停止。「上手いですねぇ」と褒められたので、今度は角度のついたコーナーに挑戦することに!1周目からグングンスピードを上げて、2周目から傾斜のある部分を攻めてみたのですが…。正直、かなり怖い!教官から「そのスピードなら絶対に落ちないから」と言っていただいたんですが、コーナーが近づいて来ると壁が迫って来るようで、どうしても平らなところまで下りてしまう…。何度も何度も挑戦したのですが、気持ちが負けてしまい、結局角度のついたコーナーを走ることができませんでした。

このあと女子生徒たちがやってきて、ロケットという訓練をスタート。3人~4人がグループになり、バンクの頂上の部分から下りの傾斜を使い一気にロケットのように下ってダッシュするのです。わたしなんて、緩い傾斜の部分でビビっていたのに…。頂上の辺りは、立っているのもやっとなほど角度がついているのに…。改めて、競輪選手の脚力とハートの強さに脱帽したのでした。

バンクでは軽快にペダルをこいでいたつもりでしたが、いざ自転車から下りてみると脚がガクガク…。膝が笑ってしまって、なかなか上手く歩けません。そんな状態で連れていかれたのが、屋内ローラー場。ローラーとは、まさに名前の通り3本のローラーが横に回転する上を自転車で走るのです。ローラーが回るんですから、ものすごく不安定なのです。教官から「これは初心者にはできないでしょう」と言われ、先ほどのバンク体験で撃沈したわたしとしては「絶対やってやる!」という強い気持ちで挑みました。もちろん、サドルの後ろを教官に持っていただいて。しかし、それでもかなり不安定!どう不安定かというと、横ぶれがすごいんです。強風に煽られてハンドルを取られるように、右に左にガンガンぶれまくり。「脚を止めると転びますよ」と脅されたので、必死にこぎ続けました。「上手いですねぇ」と褒められて、調子に乗ってこいでいたら、いつの間にか教官が目の前にいるではないですかっ!‟教官が手を離している"という現実に気づいた瞬間、大きく右にぶれましたが、なんとかこらえることができました。バンクは攻めきれなかったけれど、ローラーは制覇。これで1勝1敗です。

続いて向かったのは…競輪学校と言えばこれ!というくらい有名な登坂走路。バンクとローラーで脚がガクガクな上に、このそびえ立つような壁を見た瞬間心が折れました。ヨロヨロとこぎだしたものの、早々に自転車を下りて徒歩に切り替え。自分の脚で上っても相当な坂道です。坂というか、壁にしか見えません。これを自転車で上るとは…競輪選手恐るべし。

ということで、自転車練習は1勝2敗で負け越したわたし。ぐったりしながら向かった先は、またしても食堂。恐怖の夕ご飯の時間です。生徒たちは、ごはんの量が何グラムであるかきちんと計っていました。一緒に食べた蓑田生徒は、なんと400gも食べるそう!わたしのお茶碗を見て、「それしか食べないんですか?」と言っていたけれど、これでも普段よりは多いんです!!

生徒は夕食前に入浴を済ませているので、食事のあとは自習時間。4人部屋の自室で各自自習に励みます。その後の19:45~20:50までが自由時間。でもこの時間を使って体育館に自主練に行く生徒も多く、1日の中で自由に過ごす時間はほとんどありません。22:00に消灯となって就寝。わたしも久しぶりに運動したので、ぐっすりと深い眠りにつきました。

―2日目スタート

朝は6:30に起床の合図がかかり、6:50には錬成が始まります。この日は雨降りのため、体育館へ集合。ラジオ体操のような競輪学校体操を行ったあと、教官から「ゆっくりのペースで3周半走るだけですから、赤見さんも一緒にどうですか?」と軽く言われたで、みんなにくっついて走り出しました。想像してみて下さい。体育館の中を走るのではなく、体育館の2階にある観覧席を走るんです。観覧席は右と左に分かれていて、1階に繋がる階段が左右2つずつ、計4つあるのです。ということは、3周半走る間に階段の上り下りが14回!それもダッシュで!「どこが軽くなんだよ…」と思ったけれど、なんとか食らい付いて行こうと頑張りました。それでも2周目に差し掛かったところで下りの脚がガクガクになり、あえなく撃沈。生徒たちにとって「軽く走るだけ」の階段の上り下り、まったくついていけませんでした。

そして迎えた朝ご飯。朝からさすがの品ぞろえです。競輪学校での食事も3回目ですから、だいぶ慣れてきました。が、しかし。この日は午前中が授業で、まったく動かないままお昼ご飯に突入。またしても元気にモリモリ食べている生徒たちを横目に、ここでわたしはギブアップ。ルール違反ですが、食事を残してしまいました。ごめんなさい。競輪選手は体が資本ですから、ご飯を食べる能力も大事なんだと実感したのでした。

―プロの競輪選手になるために

午後からは先週始まったばかりの競走訓練(模擬レース)が行われました。男女別で7人~8人が一組になり、レース形式で走ります。審判やスターターも教官のサポートを受けながら生徒たちが担当し、実際のレースさながらの白熱したバトルが展開されました。わたしは出走表を見ながら勝った生徒に印を付けていたのですが、生徒たちにお話を聞いたところ、この訓練では勝つことにこだわるよりも、自分で動いて先行すること(レースの主導権を取ること)に重きを置いているそう。実際にプロの競輪選手になった時、自分で動ける自力型の選手になることを目標としている生徒たち。バンクの中でガンガン先行する姿は、とても眩しく輝いて見えました。

1泊2日という短い時間でしたが、とても貴重な体験をさせていただきました。何より感じたのは、生徒たちの礼儀正しさ。必ず立ち止まって「こんにちは!」と元気に挨拶してくれるのです。来年の3月にここを巣立っていく生徒たちが、どんな姿で競輪場に現れるのか…今から待ち遠しいです。

レポーター:赤見 千尋(あかみ ちひろ)

【プロフィール】
平成10年10月高崎競馬場にて騎手デビュー。以来、高崎競馬が廃止される平成17年1月まで騎乗を続け2033戦91勝。現在は競馬リポーター、ライター、そしてオッズパークの予想ブログ"赤見千尋のRed View"も好評執筆中。

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