林:もう、ちゃんと卒業したいと思う時期に入ってきました。前期(入学~8月5日)は、訓練とか学校生活に慣れるということだけで頭がいっぱいだったんですけど、後期に入って卒業認定の筆記の試験が始まるってなると、そこで不合格となったら今回生(110回生)で卒業できなくなってしまうので、競輪選手になるための最低限のラインがだんだんと近づいて来たなと。
蓑田:競輪はギャンブルの世界なので、最初は規則を守らないといけないということを厳しく教えられたので、規則を守らなければいけないということで緊張していたんですけど、だいぶ生活にも慣れて来て、自主練習も自分で考えて出来るようになったので、今はとても充実しています。
土屋:わたしは、林さんが言っていたことも蓑田さんが言っていたこともすごく思うんですけど、あと付け足すとすれば、自分は適性試験で入校して、去年の11月くらいから少しずつ自転車に乗り始めたので、技能試験で合格した人たちと比べて自転車経験が少なかったんです。学校に入って来た時はわからないことだらけで、周りとの差も感じていたんですけど、だんだん乗り込むにつれて色んなことがわかってきて、自分の成長が感じられるのでそこは楽しいなと思います。
林:わたしは技能試験なんですけど、もともとボート競技をしていたので自転車競技出身ではないんです。自分のように自転車をやっていなかった人からすると、たまたま試験を受けるまでに時間があって、どちらで受けるかという選択肢の中で技能を選んだっていう。わたしの場合は適性でも受けられたけど、適性で受かる方が難しいというか、倍率が高いんです。体の身体能力を見られるんですけど、技能で受かる人よりも人数が少ないので。
林:想像の範疇を超えていることはいっぱいありました(笑)。
林:土曜の午前の訓練が終わった瞬間です。そこから日曜日の夜までは自分で考えて時間を使えるので、それが楽しみです。眠いと思ったら寝られるし。
蓑田:確かに、お昼寝が一番の楽しみかもしれないです(笑)。
蓑田:前はあんなに食べられなかったです。学校に入って400g以上は食べるようにしてるんです。だいぶ慣れて来ましたけど、毎日のことなのでけっこうキツイですね。
林:わたしはそこまで量は食べてないです。
土屋:体重を増やしたい人がたくさん食べているので。
蓑田:わたしはパワーがないので、その分しっかり体重をつけて筋力に変えていきたいなと思って、それでがんばって食べているんです。
蓑田:持久力はあるんですけど、ダッシュ力がないんですよ。そこが自分の課題です。
蓑田:そうですね。トライアスロンは3種目、水泳、自転車、ランニングがあるんですけど、わたしは水泳が苦手で、いつも自転車で1番になってそのままランニングで逃げ切るっていう展開だったんです。水泳がネックになって結果が出せない部分があったので、自転車だけだったらもしかしたら1番になれるかもしれないって思って。
林:いえ、実業団です。仕事もしていました。OLやってたんですよ(笑)。仕事と練習を両立していたので、プロというものに憧れがありました。
林:そうですよね。最初は自転車に親近感は何もなかったんです(笑)。ロード自転車も乗ったことないし、「こういうの好きな人いるよね」みたいな存在でした(笑)。(自分には)パワーがあるっていうことはわかっていたんですけど、ボートは両手両足を一緒の方向で動かすんですけど、自転車は左右バラバラに動かすので、最初その意味がわからなくて…。
ボート競技している人って実は走るのも遅くなっちゃうんですよ。両手両足を一緒の方向に動かすのもそうだし、ずっと脚を伸ばしていて、後ろに後ろに行く力を考えて動いているので、前に行く力っていうのが苦手になるみたいで。
林:大変でした。何だか変な感じだったし、自分の体が活かせてないっていうのをすぐに実感して、悔しさとかもどかしさが強かったです。その気持ちは今もありますけど。全然自転車と一体化していないっていうのがわかるので、そこを突破するのに今努力中です。
林:ボート競技は体重制限があるんですけど、体重を落とすのが練習よりもレースよりもキツくなってしまったということもあります。いろんな要素があったんですけど、一番は場所の問題です。愛知県でずっとボートをやっていたんですけど、兄2人は地元で仕事をしていて、わたしだけ離れていて。年齢も20代後半になってきて、結婚とかも現実的になってくるじゃないですか。そうなった時、地元から離れている場所で結婚するのかなと考えたら、ちょっと厳しいなと思ったんです。両親が近くにいたり、何かあった時に兄弟で助け合える場所で暮らしたいって、兄の結婚式の時に実感したんです。それで、九州に一回戻って九州の中で仕事を探そうと思って。
土屋:高校生の時に進路で悩んで、最初は大学進学を考えていたんですけど、本当にそこに行きたいのかなって、ちょっと自分でもわからなくて。その時にテレビでガールズケイリンを見て、父にも勧められたし、みんなと違うことをしたいなって思って決めました。自転車には全然乗ったことがなったんですけど、もともと陸上をやっていて、その練習でパワーマックスとかに乗った時に他の人よりも得意だったっていうのがちょっと自信になりました。
蓑田:まずは競輪場に電話しました。競輪選手を目指す人はここに電話して下さいみたいな感じで、要項に書いてあったんです。電話したら、自分の経歴を聞かれて、その後面接でやる気があるかどうかを聞かれて。そこから選手会の方に紹介してもらって師匠を決めるんですけど、「こんな候補生がいますがどうですか?」みたいに、お見合いのような感じで(笑)。わたしの場合は住んでる地元が近い選手にお願いして、一緒に練習させてもらってます。
蓑田:そうです。技能試験の人は基本的にそうだと思いますよ。師匠に教えてもらって、育ててもらうんです。
林:わたしの師匠は、「プロになったら自分でやれるようになれよ」っていうスタンスの人なので、特に指示がない時もありました。師匠がいない時は兄弟子にお願いしたりして練習していますね。グループで練習する人もいるし、一匹狼的な人もいるし。あとは、居る人とするっていう時もありますね。
蓑田:先行で日本一になることです。自分の力でゴールまで走り切るというのは、本当にカッコイイので憧れます。風の抵抗が全然違うので、先行で走り切るのはすごく力が要りますから。目指しているのは奥井迪(ふみ)選手です。先行して風を切ってゴールする姿がすごくカッコいいので、わたしもそういう選手になりたいです。
土屋:わたしも先行選手を目指しているっていうのと、まだ高校を卒業したばかりで社会を経験していないので、人として尊敬されるようなしっかりした人になりたいっていうのがあります。
林:わたしは、ボートでも味わった日本一をもう一度味わいたいっていうことと、あとは雰囲気というか、オーラのある選手になりたいです。強いっていう意味では姉弟子の小林優香選手に憧れます。今3つタイトルを獲っているすごい選手です。自分が競輪場で練習を始めたのが3月だったんですけど、5月に小林選手がデビューしてずっと見ていたので、憧れざるを得ない存在です。小林選手を超えれば、日本一になれるよって周りからも言われているので、そこを目指しています。かなり高い目標ですけど、実現できるように頑張ります!
林 真奈美(はやし まなみ)
生年月日:1985年12月30日
出身地:大分県
登録予定地:福岡県
ホームバンク:久留米競輪場
スポーツ歴:
陸上(小4~小6)、ボート競技(高校3年間・社会人実業団9年間)元ボート日本代表
血液型:O型 / 身長:165.5㎝
蓑田 真璃(みのだ まり)
生年月日:1991年11月1日
出身地:千葉県
登録予定地:千葉県
ホームバンク:千葉競輪場
スポーツ歴:
バレーボール(中学・高校)、トライアスロン(大学)
血液型:O型 / 身長:161.5㎝
土屋 珠里(つちや じゅり)
生年月日:1996年9月27日
出身地:栃木県
登録予定地:栃木県
ホームバンク:宇都宮競輪
スポーツ歴:
空手(2年)、水泳(5年)、陸上(6年)
血液型:B型 / 身長:163㎝
インタビュアー:赤見 千尋(あかみ ちひろ)