レース展望
いよいよ共同通信社杯(GII)が9月15日(金)オッズパーク武雄(武雄競輪)で開幕する。
2017年賞金獲得レースも佳境に入る中、優勝賞金1,940万円 (副賞込 2,130万円)をかけ、豪脚たちが初秋の武雄を熱くかけぬける。
1.共同通信社杯の2つの特徴
共同通信社杯には他のビッグ戦にはない2つの特徴がある。1つ目は、自動編成によるレース番組の実施である。共同通信社杯は選考順位によって自動的にメンバーが振り分けられるオール予選から始まり、2日目も選考順位と初日の戦績で自動的に決まる。そのことから特定地区に偏りのあるレースや、細切れレース、自力型ばかり、追い込み型ばかりといった通常あまり見ることのない番組が組まれることもあり波乱決着が起こりやすい傾向にある。2つ目の特徴は共同通信社杯には、選考時点で上位25名の若手選手の出場枠があること。そして選抜された若手選手にとっては、オール予選から始まる本杯は自らの力を試し上位ステージへステップアップするための絶好の機会となっており、積極果敢な仕掛けが多くみられる。
2.オッズパーク武雄(武雄競輪場)の特徴
そしてもう一つ忘れてはならないのは、決戦の舞台、オッズパーク武雄(武雄競輪)は400mバンク中最長のみなし直線64,4mを持つ問答無用の追い込み優位のバンクであるという点。決まり手も差し・捲り断然となっており、自力型、特に先行タイプにとっては仕掛けのタイミングが難しく、逆に捲り、差しタイプにとっては最後まで追い込みチャンスが残るため、各ラインの勝負処の見極め方が大事になる。
3.レース展望
【関東】
中心は最強自在脚の平原康多。2017年前半戦は全日本選抜競輪優勝をはじめ圧倒的な存在感でレースを支配した。先のオールスターこそ新フレームとの相性悪く低迷したが、本杯までには修正し、他地区にとっては変わらず最もくみし難い相手となるだろう。武田豊樹も前半戦のGI戦で全て優出を決めるなど勝負強さは相変わらず。本杯を制しグランプリ出場まで一気に進めたいところ。木暮安由、吉澤純平、急成長の横山尚則、黄金世代107期のシンボル吉田拓矢、鈴木竜士と自力型の層の厚さでは他地区を圧倒しており、諸橋愛、神山雄一郎ら百戦錬磨の追い込み陣にとってもチャンスの多い戦いになりそうだ。
【北日本】
前半戦の主役が平原ならこの夏の主役は新田祐大。その新田は高松宮記念杯、サマーナイトを圧巻の大捲りで2連覇、オールスターも渡邉一成とのワンツー決着で準優勝と、大車輪の活躍で北日本をビッグ戦3連覇へと導いた。本杯も頼れるSS戦士渡邉一成、逃げ脚華麗な新山響平、復調気配の山崎芳仁、高松宮記念準Vで復活をとげた司令塔成田和也ら豪華メンバーとともにビッグ戦4連覇に挑む。
【中部】
深谷知広が長い低迷期を経て、パワーでねじ伏せる「らしい」走りを随所でみせつけている。エース浅井康太は、今シーズンいまだ優勝ゼロと勝ちきれないが、それでもタテヨコ鋭い動きで賞金ランク4位とさすがの安定ぶりを披露。記念杯2連覇中と武雄との相性の良さも武器に、浅井が盟友深谷と3年連続3度目の武雄攻略に挑む。豊橋記念制覇の金子貴志はオールスター以降、粘り強い自力、キメ脚を発揮、はまった時の強さは手を付けられない昨年本杯王者竹内雄作もオールスター決勝での失敗を取り返すべく仕上げてくるだろう。
【近畿】
今年3度の骨折負傷で満身創痍の王者村上義弘、同じく落車骨折のダービー王三谷竜生の状態はどうか。注目を集めた2人の復帰戦(向日町記念)で、村上は気迫あふれる走りで2勝、三谷も積極果敢な走りはみせた。あとは本杯までにどれだけの上積みができるかだが、まずは頼れるSS戦士稲垣裕之を主軸に、若くもスキがない古性優作、近況伸びある野原雅也らの奮戦に期待したい。近畿は自在性もある稲川翔をはじめ、村上博幸、南修二とタテも強い追い込み陣がそろっているだけにレース展開次第でチャンスは依然十分だ
【南関東】
南関東新時代到来!ここしばらくの間、南関東と言えば地味な地区という印象がぬぐえなかったが、近況一気に攻勢を強めている。その原動力になっているのがウイナーズカップ(GII)制覇の郡司浩平、先行意欲の高いヤングGP王者渡邉雄太、捲り強烈な和田真久留ら若手の活躍だ。これに石井秀治、近藤隆司ら看板レーサーが加わる強力自力勢を、渡邉晴智、成清貴之ら元気なベテランが引き締めるラインは侮れない勢力となろう。
【中四国】
南関東と同じく、数的不利もありビッグ戦での苦戦が続いてきた中四国だが、今回はエース原田研太朗に加え、スーパールーキー太田竜馬、成長株の取鳥雄吾ら機動力が持ち味の若武者が選出。特に原田はサマーナイト、オールスターで優出、太田も向日町記念決勝で地元近畿勢を封じるなど近況良く、その走りが地区全体にも活気を与えている。ビッグ戦では変幻自在な走りを求められてきた岩津裕介が、いよいよ他地区と渡り合える機動型を率いてGII攻略に挑む。
【九州】
強敵を迎え撃つ九州の中心は、地元武雄の山田英明。地元武雄の戦い方を知り尽くした山田がGI連続優出を決めた高い自在性をもって初タイトルを狙う。看板レーサー井上昌己、仕掛けはまれば抜群の破壊力を持つSS班中川誠一郎、北津留翼らが地元地区開催GIIでどのように走り、上位戦進出を図るのか。キメ脚鋭い園田匠、大塚健一郎の突っ込み、武雄記念通算V3の地元荒井崇博の一撃炸裂も期待十分だ。
競輪界トップメンバーたちの決戦『共同通信社杯(GII)』。自動編成番組、台頭する若手選抜選手、追い込み断然バンクと特徴的な要素も絡みあう最後の最後まで気を抜けない4日間の熱戦をどうぞお楽しみください。
(オッズパーク編集部)